ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~崇拝と、服従と~

2013-04-10 | 散華の如く~天下出世の蝶~
「生きては行けませぬ~」
マムシの娘に道三二世、うつけの妻に鬼の妻、
斯様言われなき噂で、まるで私が蛇神に鬼神。
信長「全て事実であろうが」
帰蝶「事実無根。私は鬼ではありませぬッ」
もし、丸らが成長し、母の鬼の噂を耳にしたなら、
もし、鬼の母が鉄砲を、バンバンぶっ放したなら、
「丸らに、丸らに…嫌われまするぅ~」
嫌にございます、嫌にございます、
それだけは…殿、それだけはぁ~、
おいおい、お~いおいと泣き崩れ、
信長「勇ましき母の鬼姿、誰もが付き従おう」
帰蝶「恐怖で従うのと、慕って従うのと違いまする!」
そう言うたら、神妙な顔付きになられ、
信長「ふむ。では何故、民は仏に従う?神を信ずる?」
帰蝶「は?」
信長「清流、時に濁流。畏怖なるを信心、手を合わせるのか、濃?」
帰蝶「それは、神々の御怒りを…、鎮めんが為にございましょう?」
信長「神は何故、突如として怒るのか、民の命を獲るのか、濃?」
帰蝶「それは…」
毎年のように、清州は氾濫し洪水する。
殿も手伝い土嚢を盛り、堤防を作るが、
清洲の龍は、容易く飲む込んでしまう。
「今年も多くの民が呑まれた…」
帰蝶「心痛む思いにございます」
信長「何故か、濃?」
帰蝶「神は、民に、知らしめる(気付かせる)ので、ございます」
信長「知らしめる…?」
帰蝶「水は、上から下へ。逆らっては進めぬ事を、知っているのでございます」
信長「ふむ…」