ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~サルの力量~

2013-01-13 | 散華の如く~天下出世の蝶~
藤吉郎「はッ」
ひょっとこが顔をキリリッと引き締め、
私を、真っ直ぐ、見つめた。
その真っ直ぐ過ぎる瞳が、私に、何か、訴え掛ける。
サルの眼力に威圧され、私は、たじ…、身じろいだ。
帰蝶「と…殿の御為、存分に尽くされよ」
私が、サルの気迫に負けた瞬間だった。
藤吉郎「ははッ」
勝ち誇ったサルは、ひひッと笑い、
余興に戻り、戦に行ってしまった。
帰蝶「あの者…」
こい「濃姫様。あの者に、心許しては成りませぬ」
こいは、サルの危険な香りを感じていた。
帰蝶「…あの顔に心許す姫は居らぬ」
こい「ミテクレの優劣で、才は量れませぬ」
現に女たち、一瞬にしてサルの虜に成った。
帰蝶「あぁ…」
たたあれだけで、人の心を掴むとは。
殿が、サルを囲った意味が分かった。
市姫「あッ、信長の兄上様」
殿は、十五、六から編成された小姓部隊の先頭にいた。
どうだ、存分に楽しめたであろう?と、
まぁ、悠長に笑って…戦に行かれたわ。
さて、
帰蝶「こい、一つ。頼みがある」
こい「は?」
帰蝶「こちらへ」
こい一人を殿の間に招き入れ、
殿から授けられた小箱を出し、開いて見せた。
こい「まぁ…、こんなに」