ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

本能寺炎上と高舘炎上

2012-06-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「俺を死んだ事にしてくれ」
白い布に包まれた懐剣 吼丸を取り出した。
和田「こ…」見せられた懐剣は煤で汚れ、焼けて縮れた髪が絡まっていた…「この髪は?」
義経「妻のだ」
松殿「娘…葵の髪か?」
義経「高舘に火を放った時、火の粉が髪に付いた。それで切り落としたと聞いている」
松殿「なぜ、娘にそのような危険な役を…。しかも、妻を連れ去られる失態を演じ…」
義経「妻が捉えられるとは…」
松殿「考えてもみなかった?想定外突発性無差別事件で責任は無いとでも言うのか?」
義経「危険と知りつつ、妻に遺体隠蔽工作を指示したのは、俺だ」
池田「待って下さい。それには、私の母も関与しています」
義経「まだ、関与しているとは決まっていない。利用されているだけかも知れない」
池田「しかし…」
義経「その問題は、妻を連れ戻した後だ」
和田「そのために、死ぬ?」煤けた懐剣を見て…「亡霊となって連れ戻すとでも言うのか?」
義経「死んだ事にすれば、自由に動ける。このままでは動き難い」
源という出生が邪魔になった。
源氏の元棟梁であった事実と、それに取り巻く過去が行動の自由を奪う。だから、
「源 義経は高舘で自刃したと、兄 頼朝にこれを見せろ」包み直した吼丸を和田に渡した。
和田「…」
義経「ここで名を改めようと思う。みなもと…から、やまもと…山本の姓を名乗り…」
松殿「かつての影武者に成り済まそうと言うのか」
山本「別に…。ただ、山が好きなだけだ」
池田「伝説の軍配師、影武者…山本…義経…」
和田「源 義経の遺体は無く、懐剣は焼け残っていた…か」
山本「首が無ければ、遺留品鑑定の臨場だ。それで頼朝の納得するだろう」
※1189年 4月30日 藤原四代 泰衡は義経を自刃に追い込んだ。“炎上する高舘の中”で妻子と共に自刃を図ったとされる。その後、泰衡は義経の首として源頼朝に差し出し、奥州存続を図ったが、その首に疑問を持った頼朝は、その年の7月、奥州を責め滅ぼした。
泰衡は打ち取られた。その額には木釘が打ち抜かれていた。