羊のプチ冒険

フランス語と英語の通訳案内士(未年生まれ)が考える、こんな事、あんな事・・・

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芸者、芸妓、舞妓・・・はたして、その実体は?

2015-01-11 23:48:38 | 通訳案内士
「ゲイシャ、フジヤマ」の国から、「マンガ、技術、おもてなし」の国へ。しかし、それでも、「芸者」人気は衰えないようで、外国人観光客の中には、芸者さんに会いたい、あるいは、せめて見てみたい、という方も多くいます。

京都の祇園界隈で舞妓さんや芸妓さんを写真に収めたいと待ち構えている観光客の方も多いですね。それも、男女問わず。中には一緒に写真を撮りたいと、お願いする人たちも。

しかし、最近では“和服で京都観光”がちょっとしたブーム。一見舞妓さん風ですが、その実、観光客ということもあります。何しろ、着物からかつら、かんざし、下駄までセットでレンタルしてくれる店もありますから、日本人女性はもちろん、アジアからのお客さんの場合でも、一見本物の舞妓さんのように見えてしまうことがあります。もちろん、着物の着方や立ち居振る舞い、歩く早さなどで、見分けはできますが・・・

さて、東京では「芸者」、それが京都では「芸妓」。しかも、「舞妓」もいる・・・その違い、またどのような修行をしているのか。二つの通訳案内士団体による研修が昨年12月と今年1月に京都でありました。花街、京都では「かがい」と発音されますが、その花街ウォーキングツアー研修、そして、舞妓さんの踊りを楽しみ、お座敷芸を試してみる研修、その二つの研修に参加してみましたので、その復習を兼ねて、「これは、知らなかったな~」、とか、「う~ん、これは面白い」といったことを、両団体のベテランガイドの方々がまとめて下さった資料を基にまとめてみます。


(がんこ高瀬川二条苑の庭の夜景、舞妓さんの舞を見ながら食事することもできます、広告ではありませんが)

今でも、舞妓さんを目指して花街に飛び込むのは、中学卒業後すぐ。しかし、高校卒業を望む親御さんも少なくなく、「宮川町では高卒資格を得るための通信制課程の受講を支援」(朝日新聞:2014年12月3日)しているそうです。また、以前新たに門をたたく希望者が減ったこともあり、リクルートに力を入れ、今ではウェブサイトを活用しているところもあるとか。花街も世につれ・・・ですね。また、増える外国人のお客様に対応しなくてはと、「講師を招いての英会話講座も始めて」(朝日新聞:同上)いるそうです。伝統としきたりの花街も、ずいぶん変わって来ているんですね。逆に、一見時代の先端を行っているような業種ほど遅れている、なんていうこともあるのかもしれません。

さて、中学校を卒業して花街へやって来て、いきなり舞妓になれるほど甘い世界ではないのは、言うまでもないですね。まずは、「仕込みさん」として置屋に住みこんで、舞妓としての立ち居振る舞いや芸事(舞・鼓・太鼓・三味線・琴・笛・能楽・長唄・常磐津・浄瑠璃・小唄・華道・書道・絵画など)、そして京ことばを学びます。今日では京都以外の出身者が大半を占めているそうで、京ことばの習得も一苦労。服装は普段着で、ノーメイクでよいそうですが、厳しい修行が10カ月から1年ほど続くことになります。そのあまりの厳しさに、舞妓への夢を断念し、故郷へ帰るというケースも少なくないそうです。そうした挫折がかなり見られる現状から、中学3年の夏休みに、1~2週間の実体験をしてもらうインターン制度を始めたところもあるとか。民間企業並みですね。

無事、1年近くの「仕込みさん」を卒業すると、「見習いさん」に。1か月ほど、見習い茶屋へ通い、お座敷を見学させてもらうことになります。見習いさんになると、地毛で髪を結い(割れしのぶ)、普段着から着物へと変身。しかし、舞妓さんと言えば「だらりの帯」ですが、見習いであることが分かるようにその帯を短くまとめて「半だら」にするそうです。

お客さんの前に出しても大丈夫だろうとなると、「お店出し」。舞妓としてのデビューですね。振り袖にだらりの帯、おこぼ(厚底の下駄)を履いて、髪には花かんざし。しかし、1年目は、紅をさすのは下唇だけ。また、「花かんざしの『ぶら』と呼ばれる飾りがあごのあたりまで下がっている」(朝日新聞:同上)ことで、舞妓1年生であることが分かるようになっています。なお、割れしのぶに結った地毛は1週間結い直すことがないので、崩れないよう、寝る時も首に当てる高枕を使うそうです。

舞妓として修業と経験を積むこと4~5年で、芸妓へ(襟替え・・・舞妓の朱い襟から芸妓の白い襟に替わる)。20歳を過ぎる頃ですね。芸妓になると、かつら着用、着物の袖は短くなり、帯は「お太鼓」、履物は草履や下駄へ。化粧も含めて、少女のかわいさから、女性としての美しさへと変身します。

芸妓として数年経つと、置屋の「おかあさん」が立て替えてくれた着物代、修行代などの費用相当分を稼ぐ、つまり年季があけて、「自前さん」になる。フリーランスの芸妓さんになるわけですね。しかし、それでも、修行が終わるわけではなく、一生、修行。日本舞踊専門の芸妓である「立方」(たちかた)、あるいは三味線や唄専門の芸妓の「地方」(じかた)となることが一般的ですが、中には、置屋やお茶屋を経営する人も出てくるそうです。

こうしてキャリアを積んでいく舞妓・芸妓。現在どのくらいいるかご存知ですか。昨秋の時点で、京都にはお茶屋が137軒あり、そこに舞妓が66人、芸妓が179人いるそうです。昭和初期には総勢1,800人ほどいたそうですから、随分少なくなったような気がしますが、それでも、20~30年前からは微増傾向にあるそうです。

舞妓さん・芸妓さんが活躍するのは花街。現在、京都には五つの花街があります。

・祇園甲部
最大の規模を誇る花街で、お茶屋66軒、舞妓22人、芸妓67人、と言われています。江戸時代初頭からの花街で、幕末から明治初期には、西郷、高杉、桂など多くの歴史上に人物が密談の場所に利用し、中には木戸孝光、伊藤博文、山形有朋、陸奥宗光など芸妓を娶った要人もいました。踊り(花街ごとに流派が異なります)は井上流、「都をどり」を毎年四月に祇園歌舞練場にて開催しています。修行の場は、八坂女紅場(やさかにょこうば)学園。なお、華道は五花街ともに裏千家です。


(祇園地区にある小路)

・祇園東
12軒のお茶屋に、舞妓6人、芸妓10人。1881年に祇園甲部から分かれた花街です。舞は藤間流。京都の花街で唯一、秋に舞踊公演「祇園をどり」を祇園会館で行っています。

・宮川町
お茶屋20軒、舞妓23人、芸妓37人。祇園祭の際にお神輿を鴨川のこのあたりで洗うことから宮川という名がついたそうです。出雲阿国が歌舞伎を始めた場所に近く、芝居町や茶屋街として発展した地域。舞は若柳流。毎年4月に、宮川町歌舞練場で「京おどり」を上演し、修行は東山女子学園で行っています。


(三味の音が聞こえてくる宮川町界隈)

・先斗町
舞妓8人に芸妓41人。鴨川沿いの三条通りから四条通りの間の約500mの地域。18世紀初頭、お茶屋、旅籠ができ、茶立て女が働き始めたのが起源とか。舞は尾上流で、修行を行うのは、鴨川学園です。

・上七軒
舞妓7人に芸妓22人。15世紀中頃、北の天満宮の火災後の修復作業で残った建材を払い下げて七軒のお茶屋を建てたのが起源という、京都最古の花街。西陣に近く、「旦那衆の奥座敷」とか「外の居間」と呼ばれていたそうです。舞は花柳流。

ところで、舞妓さんには複数の「おかあさん」と「おねえさん」がいます。置屋とお茶屋の女主人が「おかあさん」。おかあさんが日常の立ち居振る舞いから、お座敷に出る際の衣装などを指導してくれます。また「仕込みさん」から舞妓として「お店出し」するまでで3,000万円ほどかかるとも言われています。それを舞妓・芸妓としての花代で返すということになるのでしょうね。一方、芸妓はみんな「おねえさん」。いろいろと相談に乗ってくれるそうです。

出演料のことを東京では玉といいますが、京都では上記の通り「花代」。午後6時から8時までの2時間が一般的で、一本のろうそくの燃え尽きる時間が単位となり、花一本とか、花二本といいます。ただ、その表す時間が花街により異なり、複雑。祇園甲部では一本=5分ですから、2時間では24本になります。上七軒では一本=30分ですので、2時間で4本。この花代、舞妓、芸妓、またそのキャリアの長さ等に関係なく一律。気になる金額ですが、直接払うのではなく、お茶屋さんに食事代等も含めて払うそうで、お茶屋さんの格や食事内容等により上下しますが、目安としては、2時間で、舞妓1名・芸妓1名に食事・飲み物代を加えて、お客様3人の場合、1人あたり5万円弱になるとか。舞妓・芸妓の花代をお客の人数で割りますから、お客の人数が多い方が、一人当たりの負担は軽くなりますね。

上記で「お茶屋」とか「置屋」とか出てきましたが、花街ではうまく分業体制が出来上がっているようです。お茶屋は、お客の好みなどに合わせた舞妓・芸妓や部屋の組み合わせを考え、ひとつのお座敷をコーディネートする、言ってみればプロデューサー。置屋は、舞妓・芸妓の育成・管理を行う、いわばタレントプロダクション。またお茶屋は自ら料理をすることはありませんから、ケータリング担当の仕出し屋が加わります。こうした人たちが作り上げるお座敷で芸を見せるのが舞妓・芸妓というわけですね。

なお、一見さんお断り、といわれるように、付け払いのお茶屋さんでは信用のおける、そして品行方正な人物でないとお客になれません。そのため、常連客の紹介が必要になりますね。そうした紹介状が無理な場合は、食事と舞妓さん・芸妓さんがセットになったパッケージを用意している料亭などに頼むのがいいそうです。ネット上で調べることが可能です。

なが~い復習になってしまいましたが、まだまだ面白い情報はあるはず。芸妓さんが一生修行なら、浅学の身は、一生勉強です。
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