日大の背任事件 理事長の沈黙許されぬ (2021年11月23日 中日新聞)

2021-11-23 21:59:42 | 桜ヶ丘9条の会

日大の背任事件 理事長の沈黙許されぬ

2021年11月23日 中日新聞
 日本大学=写真=の元理事らが、大学の資産を流出させたとして東京地検に背任罪で起訴された。しかし、田中英寿理事長は沈黙を続けたままだ。私学といえども、大学は公共性の高い機関である。説明責任を果たすべきだ。
 事件では元理事の井ノ口忠男被告や医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳被告らが、日大の付属病院の建て替えや医療機器納入をめぐり、大学の子会社を使い、計四億二千万円の資産を流出させ、一部を私物化したとされる。
 籔本被告は井ノ口被告を通じ、田中氏に数千万円を謝礼として渡したと供述。田中氏は授受を否定しているが、検察は所得税法違反の疑いも視野に捜査している。
 田中氏は日大相撲部出身で、アマチュア横綱にも三回輝いた。二〇〇八年に理事長に就任後、今回問題となった子会社を設立。井ノ口被告に運営を任せてきた。
 井ノ口被告は一八年、コーチを務めていたアメリカンフットボール部での悪質タックル事件で、一度は理事を引責辞任したが、田中氏の判断で一年二カ月後に復帰。籔本被告も大相撲の日大出身力士の後援会長を務めるなど、「田中ファミリー」の一員だった。
 理解しがたいのは親密な元理事らが起訴され、自らへの謝礼疑惑が浮上しているにもかかわらず、田中氏が公の場での説明を一切避けている点だ。理事会や評議会のメンバーも田中氏の絶大な権力を恐れてか、口を閉ざしている。
 アメフト部事件でも、調査した第三者委員会が「組織統治の機能不全」を指摘し、田中氏に説明を求めたが、同氏は無視した。
 日大では一九六八年に二十億円に上る使途不明金が発覚し、学生たちが追及。大学側は一度は経営の全面公開や理事の総退陣を約束したが、後に覆し、改革は頓挫したという歴史的経緯もある。
 ゆがんだ経営がいつまでも放置されてよいはずがない。日大は国から年九十億円の私学助成金を受け、税法上の優遇措置も受けている。経営の透明化は当然だ。
 田中氏の沈黙は許されない。不健全な経営を長く放置してきた文部科学省も、監督責任を問われなければならない。
 

 


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