人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

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当サイトは列車の旅と温泉をメインに鉄道・旅行を楽しみ、また社会を考えるサイトです。

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●管理人の著作(いずれも共著)
次世代へつなぐ地域の鉄道——国交省検討会提言を批判する(緑風出版)
地域における鉄道の復権─持続可能な社会への展望(緑風出版)
原発を止める55の方法(宝島社)

●管理人の寄稿
規制緩和が生んだJR事故(国鉄闘争共闘会議パンフレット「国鉄分割民営化20年の検証」掲載)
ローカル鉄道に国・自治体・住民はどう向き合うべきか(月刊『住民と自治』 2022年8月号掲載)
核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

引退間際の急行「能登」に乗る

2010-02-12 22:52:19 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
2010年2月12日、金曜日、夜。年休を取得した私は上野駅のホームにいた。来る3月改正で、上野~金沢間を走る夜行列車「北陸」「能登」が揃って廃止になるので、その最後の姿を記録するとともに、「能登」に乗っておこうと思ったのだ。日頃、当コラムでさんざん「葬式鉄」(廃止の時しか現場に出てこない鉄道ファン)を批判しておきながら、自分が同じ行動を取るのはどうかという罪悪感にさいなまれるが、自宅からここまで鉄道で来たのだし、これから「能登」に乗るのだし、その後も北陸各地を回るのだから、写真だけ撮ってさっさと帰ってしまう連中とは違うという自負心もあった。それに、昨年3月の改正でとうとう半世紀の歴史を誇った九州寝台特急が姿を消した。東京~北陸間の夜行も今回消える。北陸新幹線、北海道新幹線の工事も順調に進んでおり、2015年には北海道夜行も消え、「夜行列車」という言葉自体が死語となる可能性が高い。夜行列車の姿を記録にとどめておこうと思うなら、ここ数年がラストチャンスであることは間違いないのだ。

そんなことを考え、上野駅で「あけぼの」(今回はとりあえず廃止対象ではない)、「北陸」を撮影しながら「能登」の入線を待つ。23時13分、ようやく「能登」が入線。2号車に乗り込む。23時33分、定刻に上野を発車。大宮では、遅れている京浜東北線の乗り継ぎ待ちのため「能登」も10分遅れとなったが、高崎で停車時間をカットしてダイヤを定刻に戻す。その高崎を過ぎると、夜行列車らしく車内は減光され、私は急速に眠気に襲われた。

翌朝、目を覚ますと列車は富山を発車してしばらくした頃だった。後ろ向きに走っていることに気付くが、長岡(新潟県)で進行方向が変わるのだからこうならないほうがおかしい。座席を回そうか考えたが、終点まで1時間を切っている状況で回してもたかが知れている。

車窓には雪がちらついている。「能登」を降りた後は、いよいよ越美北線に行く予定になっている。覚悟して出発したとはいえ、越美北線が雪で動かなかったらどうしようと思ったが、おそらくそんなことはなかろうと悪い考えを頭から追い出す。金沢から越美北線の始発駅、越前花堂までは100キロメートルもないのだから、ここまで来て行かなかったら乗り鉄の名が廃るというものだ。

「能登」は2月13日午前6時29分、定刻通り金沢に到着した。

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寒かっただるま市

2010-02-11 21:08:18 | 日記
毎年2月11日恒例の白河だるま市に出かけてきた。早いもので、08年、09年に続き3回目だ。地元・白河では「だるま市は寒くなる」と言われているが、その通りになった。朝から雨混じりの雪だ。

毎年、だるま販売店各店のほか、700近い露天が並ぶ。その規模はちょっと他では見たことがないほどだ。地元民の話によれば「地元の露店しか出店させないルールがある」とのことだが、とてもそうは見えない。

しかし、私の見る限り、不況の影は確実にここにも忍び寄っている。露店の数は目に見えて減っているし、だるま販売店以外の露店は悪天候もあって立ち止まる人もまばらだった。

たかだか数百円の露天の商品すら誰も手を出さない。それを見て私は背筋が寒くなった。100円ショップさえ売れず、閉店セールで行われたジーンズ無料配布に客が殺到した昨年末の出来事を思い出した。小沢幹事長の金脈問題も結構だが、早急に経済対策をしないとみんな生活が崩壊してしまう。そんな経済危機の実態も見えてきた寒い1日だった。

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妻のPC大往生、そして骨董品大復活

2010-02-09 22:32:43 | IT・PC・インターネット
1月17日付エントリにてお知らせした妻のPCのその後だが…

私が症状から予想したとおりのHDD異常に加え、マザーボード異常、そして内蔵DVDマルチドライブとマザーボードを結ぶケーブルの異常も重なり、「修理費7万円」のご託宣が下った。…冗談じゃない。そんな金があったら新品が1台買えちゃうよ。

そういうわけで、誠に残念だが、修理しないまま妻のPCに別れを告げることにした。2004年に発売されたばかりの頃買ってから6年、本当によく使ったと思う。ノートの特性を生かし、買った直後は持ち運んで使用することが多かった。今思えば、この頃の酷使が響いたような気がする。

さて、こうして妻のPCが大往生を遂げてみると、我が夫婦にとって不都合な事態が発生した。

これまで、妻は独身時代から持っていたこのPCで料理のレシピを調べたり、通販で買い物をするという実用的な使い方をしてきた。私も独身時代からのPCがあるので、出先に愛機を連れて行っても何も問題がなかった。だが、これからは私のPCを2人で共用することになったため、私がひとりで出かけるときにPCを連れて行くと、その間、妻は一切ネットで調べ物や買い物ができなくなってしまう。

さて、どうしたものかと考えた末、押し入れの肥やしとなってはや数年、今やその存在すら忘れかけていた私のオモチャ、日立PERSONA HPW-600JCを出先用限定で復活させることにした。なんと、Windows CEが搭載されたハンドヘルドPC(というよりPDA)。1999年製で、文字通り前世紀の遺物である。今の若い人からは「PDAってなんですか? PDFの間違いですよね?」とか言われそうな気がする。(ハンドヘルドPCとかPDAといった用語の意味がわからない方は、ここらへんで調べてほしい。)

名古屋時代に大須のPCショップで、企業リース落ちで9,800円だったかの格安で入手したものだった。もともと大した期待はしていなかったが、CE機であるため周辺機器やアプリの制限が多く、しばらくすると予想通り(?)押し入れの肥やしになっていった。

そんな前世紀の遺物がなぜ復活することになったか。それは、私の出先での用途を考えるとこの程度のマシンでもじゅうぶんだとわかったこと、そして、携帯電話の機能の充実で、このマシンにない機能はほぼ携帯で補えるようになったからである。

もともと、私は出先では大したことはしていない。せいぜい資料作成と月刊誌の原稿執筆くらいである。ただ、新幹線などで移動している時間帯を有効に使いたくてPCを持ち出していた程度の話だ。つまり、持ち運びに便利なコンパクトさがあり、ワードが使える程度でじゅうぶんなのである。

このマシンを入手した当時は、携帯電話が定額制でネットやりたい放題なんてサービスはなかったから、結局、ネットをやるにはこのマシンを出先のどこかでネットにつながなければならなかった。そんなとき、CE機であるが故に制約の多いこのマシンは使い勝手が悪かった。なにせ、私の身の周りにあるネット関連機器で、このマシンで動作するのはBuffalo製LANカード LPC2-Tだけしかないからである。電話回線にも無線LANにも接続できず、有線LANもこのカードしか動作するものがない。しかも、その当時は客室でLANが使えるホテルなんて数えるほどしかなかったから、いつしかこのマシンを使うのが面倒になっていったのである。

ところが、ほぼ5年ぶりにこのマシンを稼働させてみると、ネットを取り巻く状況は当時と大きく変わっていた。いまやビジネスホテルは有線LAN完備が当たり前になったし、仮にLANが確保できなかったとしても、ネットは携帯電話で代用できる。しかも、「N700系のぞみ」では窓側全座席にコンセントが付き、電源の心配をする必要もなくワードで原稿執筆できるようになった。このマシン自体はとっくに過去の遺物になってしまっているのに、携帯電話の機能充実やLAN整備の進展のおかげで、過去の遺物の足らざる部分を補うことができるようになり、かえってこのマシンのありがたみが増すという、何とも皮肉な結果になったのである。

しかも、HDDを搭載していないために256MB程度の非力なメモリでもサクサク動くし、アプリもバンドルしてあるもの以外使えない代わりに動作は速い。HDDを積んでいないため、一部のメモリ常駐型ウィルスを除けばウィルス感染の心配もない。最近では、PCの動作を重くしている要因の半分以上はウィルス対策ソフトであり、そのウィルス対策ソフトをインストールする必要がないのだから、見た目のスペック以上に動作が速く感じられる。正直、ウィルス対策ソフトを入れないだけでこんなに動作が速いのかとびっくりしてしまうほどだ。

そういうわけで、私は出先ではしばらくこのマシンを使ってみることにする。有線LANさえ確保できれば、場合によってはWEB更新さえできるかもしれない。

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【お知らせ】原稿アーカイブに原稿3本アップ、他

2010-02-08 22:35:11 | 運営方針・お知らせ
管理人よりお知らせです。

1.「原稿アーカイブ」カテゴリに、原稿3本を追加しました。以下のリンクから飛べますので、興味のある方はぜひどうぞ。

脱・便利さ(2007年7月25日 季刊総合誌投稿原稿)

最高裁判所裁判官国民審査制度を考える(2009年9月29日 月刊誌投稿原稿)

日本航空「倒産」から見えてきた航空行政と空の安全問題(2010年1月25日 月刊誌投稿原稿)

2.トラックバックを承認制に戻しました。
いろいろ考えた末、トラックバックのみ閉鎖から承認制に戻しました。一度は双方向性を捨て、割り切って情報発信に徹しようと思いましたが、トラックバックくらいは…との思いからこうした措置を取りました。

ただし、過去の経緯から見てトラックバックが所期の機能を発揮するかどうかは未知数だと思います。商業サイト、アダルトサイト等に読者を誘導することだけが目的のトラックバックが寄せられた場合、スパムと見なし承認しませんので、ご承知ください。

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大雪到来

2010-02-07 11:05:21 | 日記
新潟県でも26年振りに80センチの積雪をもたらした寒波の影響で、ここ白河でも20センチの積雪となった。記録的暖冬だった昨冬にはなかった2年振りの大雪だ。

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ブログの時代は終わり?

2010-02-05 23:55:11 | IT・PC・インターネット
新たなソーシャルメディアの人気に押されつつあるBlog(japan.internet.com)

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Blog の役割はそろそろ終わるのだろうか。

かつて最先端のコミュニケーション手段とされていたBlogが、若いインターネットユーザーのあいだではもう人気を失っていることが、Pew Internet & American Life Projectの実施した最新調査で明らかになった。

3年前は、ティーンエイジャー (ここでは12歳から17歳まで) および若年成人 (18歳から29歳まで) の28%がBlogをやっていると答えていた。しかし、2月3日に発表された2009年の調査ではティーンエイジャーの14%、若年成人の15%にとどまっている。

なぜ、これほど急激に落ち込んだのか? Pewのシニアリサーチャーで、今回の調査レポート執筆者の1人でもあるAmanda Lenhart氏によれば、新たな形態のソーシャルメディアが定着したいま、若いインターネットユーザーの多くは、もはやBlogに意義を感じていないという。

ただし、その上の世代になると話は別だ。今回の調査でBlogをやっていると答えた30歳以上の回答者は11%に達し、2006年の7%から上昇した。

だが、デジタルネイティブとも呼ばれる若い世代の場合、人気のソーシャルWeb形態は、長々と文章をつづる独立したBlogからソーシャルネットワークサイトに移ったようだ。ソーシャルネットワークサイトにプロフィールを持っていると答えたティーンエイジャーは、2006年の55%から大きく増えて73%にのぼっている。

Pewの調査で、大きな話題となっているマイクロBlogサービス『Twitter』を利用していると答えたティーンエイジャーは8%にとどまっている。この数字は、仮想世界にキャラクタを持っていると答えた人の割合とほぼ同じだ。

Twitterなどのステータス情報更新サービスは、若年成人層でもっとも人気が高かった。Pewの調査では、18歳から29歳までの若年成人層の3分の1が、Twitterのほか、Facebookの機能など同様のステータス情報更新サービスを利用していると回答した。
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ブログの時代が終わりつつあることは、日本でも間違いないと思われるものの、その次に来るものが何かというと、ふわふわした感じで何とも言いようがないというのが実態だろう。ブログは、明らかに「おじさんのメディア」になりつつある。

興味深いのは、米国の10代にブログ登録人口が少なく、SNSやTwitterの登録も少ないということである。米国の10代はネットへの関心が薄れつつあるのだろうか? 仮にそうだとしたら、米国のIT業界は10年後、死屍累々になるかもしれない。

日本の場合、事情はやや異なっている。10代はそもそもPCよりケータイを使っている比率が高いから、PCでしか利用できないサービスは軒並み登録率が低くなっている。もし、日本の10代のケータイ依存が今後も続くとしたら、伸びるのはおそらくTwitterよりもiphoneのほうではないか。

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「限界集落」と化した地方における公共サービスとは

2010-02-04 23:51:11 | その他社会・時事
農産物直売所/高齢者への対応を急げ(日本農業新聞論説)

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 季節の産物が並ぶ農産物直売所へ出向くのを楽しみにする人は多い。売り台の産物を眺めたり、POP(購買時点広告)を読んだりすると、季節や農家の暮らしを感じる。だが、直売所へ行きたくても行けない人たちがいる。地域に住む「交通弱者」のお年寄りだ。地産地消の拠点として存在感を増す直売所は、さまざまな地域貢献策をとっているが、「食育」に偏るきらいがある。地域の先輩、JAの先輩であるお年寄りへの目配りも考えたい。

 まずは、直売所へ出荷する高齢会員への対応だ。お年寄りが庭先の畑で孫をかわいがるように育てた作物を、直売所まで日々運ぶのは大変だ。車の免許を持たない人もいる。お年寄りが丹精して作った少量の作物や漬物を直売所に並べる手伝いを考えたい。

 直売所会員は高齢化し、担い手づくりが共通の課題である。各地の直売所で育成策を探るが、スムーズに進んでいない。ならば、現役のお年寄りにできるだけ長く活躍してもらうことだ。直売所側が集荷を担えば、まだまだ生産を継続できるお年寄りは多い。

 直売所による集荷は、既に各地で取り組みが芽生えている。福井県では今年度から、「ふるさと畑緊急総合サポート事業」を始め、直売所側の集荷に道筋を付けようとしている。この事業は、中山間地域などで高齢であったり、輸送手段がなかったりして出荷されない農産物を集めるため、直売所に集荷費用を一部助成する事業だ。いずれ、どの直売所も取り組まなければならない課題といえよう。

 次は地域に住む高齢の消費者対策だ。買い物にも不自由するお年寄りは着実に増えている。今、スーパーや生協が行う「ネットスーパー」の利用が増え、幼児を抱えた女性だけでなく、お年寄りにも利用が広がっている。直売所としても検討すべき課題である。JA直営店では、福岡県JA北九のアンテナショップ「土間もやい 黒崎店」が、買い物した商品を当日、自宅に配達する「お買いもの便サービス」を始め、高齢者らから好評だ。買い物に出づらいお年寄りから注文を取り、届ける事業へ進展すれば、さらに喜ばれよう。ぜひ実現してもらいたい。

 直売所の良さは、生産者を身近に感じながら買い物ができる点だ。友達や知り合いの産物を見るのも楽しい。宅配では味わえない楽しみだ。具体的な対策はまだ見られないが、マイクロバスなどで巡回し、お年寄りを直売所に案内できないだろうか。行政や福祉団体と連携して、デイサービスなどの送迎で直売所ルートを作りたい。5億円以上を売り上げるJA直営の大型直売所が各地にでき、地産地消の拠点としての地位を確立してきた。JA直売所が「弱者への目配り」をすれば、直売所の、そしてJAの社会的地位を高め、地域の人々から信頼されることにつながる。
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ここにきて、地方の交通弱者の問題がクローズアップされ始めた。鉄道ファンとして、20年前からローカル線の実態を見ている私にしてみれば、何を今さらの感はあるが。

とりわけ、ここ10年ほどの日本は、大都市部さえ生き残れば地方などなくなってもいいという政治が行われてきた。その結果、地方では鉄道はおろかバスも消え、自治体のマイクロバスやオンデマンドタクシーが唯一の交通手段というところが目立ってきている。早急に対策を講じなければ、買い物に行けなくてお年寄りが「孤独死」などという事態が起こりかねない。いや、実際、報道されないだけで、すでにそのような事態はどこかで起こっているのではないか。

長年、地方交通の実態を見てきた当ブログだが、みずからの無力を最も感じるのは、このような事例に遭遇したときである。実際、ビジネスのために活動している民間企業はこんな時、全くアテにならない。ハコモノ行政のツケで財政赤字まみれになった自治体も動けない。集落共同体もお年寄りなど弱者ばかり。そうなると、次の出番は農協などの協同組合やNPOなどの非営利法人である。私企業のように利潤目的でなく、自治体のように財政赤字や法制度の縛りもそれほどなく、バブル期に危ないビジネスに手を出さなかったおかげで財政も健全で、かつある程度自由に動ける若者も組織でき、新しい存在であるため昔からの集落共同体的しがらみもない。そんな新しい時代に適合した新たな「公共」のあり方が、今後の鍵になりそうな気がする。

公共性をもって維持すべき経済分野には積極的に国や自治体が関与せよ、とかねてから当ブログは主張しているが、実際のところ、厳しい財政赤字と公務員の人材難(数は確保していても、時代に合った生産的思考のできる人材の枯渇)の中で、国や自治体が新しい公共サービスの担い手となるのはもはや困難ではないかと思うことがしばしばある。新しい「公共」は、国・自治体からではなく、NPO法人や協同組合など、従来は「公共」の周辺部をうろうろしながら、その主流を担い得なかった人たちの中から生まれてくるのではないかという予感がしている。そして、そのとき、新しい「公共」の中心的担い手となるのはおそらく、女性と若者だろう。少なくとも、既得権益の確保と自己保身しか頭になく、自分にとって得になることでなければ動こうともしない中堅男性が、その担い手になり得ないことはすでにはっきりしている。

あり得べきシナリオの中で最有力なのは、苛烈な「派遣切り」などの体験を通じて、もはや都会では食べられないと悟った若者や女性たちの間に、地方を見直す機運が生まれ、従来の発想にとらわれないアイデアと行動力を駆使して、彼ら彼女らが地方再生という仕事にみずからの居場所を見つけていく、というものである。ついでに言えば、若者や女性を食べさせることができなくなりつつある大都市の姿を白日の下にさらけ出したという意味において、2008年末の「年越し派遣村」は、やはりひとつのエポックメーキングな出来事であったといえる。少なくとも当ブログは、あの悲劇的ながら未来への希望も混在した年末年始の出来事の中に、我が世の春を謳歌してきた大都市の断末魔をはっきりと見たのだ。

農協は、NPOと異なり、昔ながらの地域的しがらみを持って自由に動けないことも多いに違いないが、それでもこの論説記事にあるような取り組みを農協が率先して進めようとしていることは注目すべきだと思う。農業の社会的地位が低下して危機感を持った農協が、生き残りを賭けて「総合地域再生サービス業」に打って出るための揺籃期なのかもしれない。焼け野原になった地方に最後の砦として残った農協が、今後、どのような積極策に打って出るのか、当ブログは注視したいと考えている。

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能力もないのに態度は横柄…ダメだこりゃ

2010-02-03 23:47:32 | その他社会・時事
ひょっとして……“バブル組”に苦しめられていませんか?(Business Media 誠)

…ええ、苦しめられてますとも、思い切り。

過去に苦しめられたのは、ほとんどがこの就職活動もろくにせず入社したアホ世代だ。仕事もできないくせに声だけでかくて横柄である。他の職員の前で部下を罵倒、平気でお前呼ばわりしたり、呼び捨てだったり。「オイ」「お前」などという口の利き方のバブル組もいる。今どき警察官でもこんな口の利き方はしない。

世の中のことを一番よく知っているのはタクシー運転手と歓楽街の女性従業員と言われる。いずれも顧客の本性、本音が一番よく出る場面で接客をする人たちだ。街の景気も、この人たちに聞くとよくわかるという。そのタクシー運転手にまでそんな態度をとるような人間は、おそらくそれがその人の本性だと言われても反論できないだろう。

もちろん、この年代の人間が全てそうだと言い募るつもりは毛頭ないが、管理職にほとんど何の権限も与えられていない職場で仕事をしているこの私でさえ、この世代の横柄な管理職に対し、何回、首を絞めてやろうと思ったかわからない。

正直、こんなアホどものために会社の資源が浪費される一方、純粋で可能性のある若者たちが就職さえ見つけられないでいることにやりきれなさを感じる。未来ある若者に就職市場を開くためにも、この年代のアホを企業はさっさとパージしてほしい。

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東海道新幹線、相次ぐミス~お膝元の「技術」は大丈夫か?

2010-02-02 23:23:16 | 鉄道・公共交通/安全問題
東海道新幹線新横浜~小田原間で29日に起きた架線切断事故は、架線の老朽化ではなく、パンタグラフへのボルト付け忘れという、きわめて初歩的な人為ミスであることが判明した。その上、翌30日にはまた新横浜~小田原間で信号(ATC)異常のため列車が一時運転を見合わせる騒ぎがあった。JR東海のお膝元で技術の継承が途絶えつつあるのではないかという危惧を抱かざるを得ない。

2008年6月、JR不採用問題を巡る訴訟に証人として出廷し、「安全・安定輸送のため」に人材活用センター(国鉄「改革」反対派組合員を隔離収容したセンター)を作ったとうそぶいた葛西敬之会長に、今、改めて当ブログは問う。新幹線の海外売り込みやリニア建設にうつつを抜かしている場合なのかと。

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東海道新幹線のボルト締め忘れ、ベテラン社員も見逃す(朝日新聞)

 週末のダイヤを大混乱に陥れた東海道新幹線の停電事故は、架線でも車両でもなく、作業員のボルト付け忘れという単純な人為ミスが原因だった。JR東海は「普段から人為ミス防止に向け、対策や教育をとっているが、機能しなかった」と釈明した。

 JR東海などによると、事故で外れたパンタグラフ上部の「舟体(ふなたい)」には、架線から車両に電気を取り込む「集電舟」などがある。

 通常、舟体は年数回ある本格検査の際しかボルトの着脱は行わないという。簡易検査主体の大井車両基地にとっては、今年度初の作業だった。

 ただ、ボルトを付け忘れた社員2人はそれぞれ3年と10年程度の経験しかない若手と中堅だったとはいえ、確認役の車両技術主任は約30年の経験を持つベテランだった。3人は事故後の同社の聞き取り調査に、当初は「自分たちは、しっかりやった」と話したという。しかし、同時に交換を行った6号車のパンタグラフには付いていた確認マークが、12号車には付いておらず、付け忘れであることがはっきりした。

 ボルトがないまま1千キロ以上走りながら、事故までの間、パンタグラフが外れなかったのは、偶然でしかない。上からのしかかる舟体の重さと、下からバネの力で伸びようとするアームで「サンドイッチ状態」になっていたのだ。

 同社関係者は「脱線などに発展するミスではない」というものの、舟体とアームの重さはそれぞれ約12キロあり、市街地などで起きれば大事故に発展するおそれもあった。

 また、ボルトはパンタグラフ以外にも使われるため、作業後に余っていても付け忘れに気づきにくかったという。にもかかわらず、チェックシートなどでミス防止の仕組みを取っていなかった。

 国土交通省によると、パンタグラフのボルトの付け忘れによる事故は、在来線では過去に数例あるが、新幹線では極めて異例。担当者は「鉄道は、新幹線も在来線も車両ごとに部品が違う。点検項目を法令で定めるのは難しく、事業者に任さざるを得ない」と話す。同省は徹底した再発防止策の提出を同社に求めている。

 JR他社のある幹部は「極めて初歩的なミス。東海は海外展開やリニアに熱心で、足元がおろそかになっているのではないか」と指摘する。東海道新幹線では事故2日後の早朝にも変電所の作業員が配線を誤り、上下14本が遅れるトラブルがあった。JR東海の長田豊・新幹線鉄道事業本部副本部長は会見で「部品の数量管理や作業記録を改善し、再発防止に努める」と述べ、態勢面の見直しを始めたことを明らかにした。(小林誠一)
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<東海道新幹線>信号故障で運転見合わせ 3800人に影響(毎日新聞)

 31日午前6時ごろ、東海道新幹線の新横浜-小田原間で信号トラブルがあり、同区間の上下で約30分間運転を見合わせた。このトラブルで上下14本が最大で76分遅れ、約3800人に影響が出た。

 JR東海によると、午前6時に下り「ひかり493号」が始発の新横浜駅を出た直後、前方に列車がいないのに信号機が停止信号になった。平塚変電所(神奈川県平塚市)で30日に電力関係の工事を行った際、信号装置の配線を誤ったことが原因と分かり、配線を正常に戻して復旧させた。

 東海道新幹線では29日に品川-小田原間で下りの架線が切れ、約3時間半停電するトラブルがあったばかりだが、JRによると、29日の事故との関連性はないという。【佐々木洋】
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「極めて初歩的なミス。東海は海外展開やリニアに熱心で、足元がおろそかになっているのではないか」という「JR他社のある幹部」の指摘は全く正しい。技術の継承ができなくなりつつあるのではないか。

ヒューマンエラーはいつどこででも起こりうる。そのエラーを補うシステムが必要だが、鉄道会社が多種多様な車両を運用している以上、そのひとつひとつについて行政が点検基準を定めることは困難かもしれない。しかし、記事にもあるように市街地でこの事故が発生していれば大きな被害が出る可能性もあった。国土交通省はせめて鉄道事業者から車両ごとに点検・保安基準を提出させ、事後であっても専門家を交えてその妥当性を審査するような仕組み作りをすべきだろう。

JR東海が、車両の点検基準を見直さなければならないのは当然である。しかも、今回のトラブルを通じて、補助吊架線が85年以来、四半世紀にわたって交換されていなかった事実も明るみに出た。この際、架線の交換基準の策定も含めた東海道新幹線の技術・安全の立て直しに真剣に取り組んでもらいたい。

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【お知らせ】コメント・トラックバック欄を閉鎖しました

2010-02-01 21:32:37 | 運営方針・お知らせ
本日付けで、コメント欄を閉鎖しました。

2007年11月17日付けでコメント欄を開放して以来、途中、承認制への変更を含みながら2年2ヶ月にわたって運営してきましたが、最近寄せられるコメントを総合的に判断し、閉鎖することが相当と判断しました。今後、コメントを書き込むことはできませんので、申し訳ありませんがご承知おきください。

とはいえ、親しい鉄道ファン仲間には携帯電話を含めたメールアドレスを連絡してありますので、管理人との連絡体制という意味で実害は生じないものと思います。当ブログ管理人への連絡は、メールをご利用ください。>親しい仲間の方

同時に、トラックバックも事前承認制から「不可」に変更しました。これにより、当ブログは開設以来、何らかの形で守ってきた「双方向性」を完全に捨てたことになります。

最近の当ブログは、「原稿アーカイブ」のカテゴリに象徴されるように、ある程度ジャーナリズム性を持たせた運営とするよう心がけており、いつかは双方向性を捨てる決断をしなければならないと考えていました。

これからは、世間の評価に惑わされることなく、公共交通の再生・地域再生をメインテーマとしたジャーナリズムとして、このブログを押し出す方向で運営をしていきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

※過去のコメント・トラックバックの扱いについて

過去、当ブログ宛てにいただいたコメント・トラックバックは全て「保留」に変更しました。表示されていませんが、今後、再びコメント・トラックバックを復活させる日が来たときに、再表示させられるよう、データ自体は残してあります。

一方的に非表示にしてしまい、申し訳ありませんが、ご容赦ください。

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