札幌駅前では、毎月1日に、JRローカル線廃止に反対する「北の鉄路を守る!いちの日行動」が行われています。私もほとんど毎回、リモートで参加してスピーチをしています。
この行動では、私は事前にスピーチ原稿を作らず、その時々の最新の話題を織り交ぜながら自分の言葉で話すことを原則にしているので、話した内容を後日、当ブログに掲載することは、普段はしていませんが、昨日の行動では、かなり重要なことを話した気がするので、忘れないうちにスピーチ内容を以下、ご紹介することにします。
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札幌駅前をご通行中のみなさん、こんにちは。
今日から、JR北海道の運賃値上げが実施されました。今日、切符を、あるいは定期券を買ってみて、改めてその高さ、値上げ幅の大きさに驚いた方も大勢いるのではないかと思います。
私の知人に札幌から新千歳空港まで通勤している方がいます。自宅のある札幌から新千歳空港まで6か月定期券を買ったところ、営業キロ46.6kmでなんと229,260円でした。「あまりに高いので、新幹線定期券かと思っちゃうよ」と言われました。JR北海道の運賃の高さは、もはや常軌を逸したものになりつつあります。
なぜこんな事態になっているのでしょうか。今日は、少し歴史を振り返ってみたいと思います。
JRグループが発足したのは1987年4月1日で、今日でちょうど38年を迎えました。JRグループ発足で分割され、なくなった旧国鉄は、1949年の発足から、分割民営化直前の1987年3月まで38年間の歴史でした。つまり、今年でJRになってからの歴史が旧国鉄時代に並んだのです。私は、こんなにも不公平で持続不可能なJR体制が、国鉄と同じだけ長く続くなんてありえない、続くわけがない、続くことなどあってはならないと思ってきました。
国鉄時代と並んだJR38年の歴史の中で、私たちは何を失ったのでしょうか。北海道では、国鉄末期の特定地方交通線の整理によって、ざっと全体の3分の1の路線が消えたといわれます。残った3分の2の中から、2016年以降の路線整理の中で、またも全体の3分の1ほどが消えました。国鉄末期からの全体で見ると、北海道の鉄道路線の半分が消えたことになります。これほどメチャクチャなことが行われたのが「JRの38年」です。
国鉄分割民営化の過程では、10万人を超える労働者が職場と生活を奪われました。1991年の信楽高原鉄道の事故では、JRから乗り入れてきた急行列車の乗客など42人が亡くなり、2005年のJR福知山線脱線事故では107人が犠牲になりました。150人もの乗客の命が奪われたのです。
今日は、ご通行中のみなさんに問いかけたいと思います。北海道から線路の半分を奪い、新幹線定期かと見間違うほどの桁外れの高い運賃負担を道民に強いたのは誰でしょうか。10万人を超える国鉄労働者から職場と生活を奪ったのは誰でしょうか。150人もの乗客の貴い命を奪ったのは誰でしょうか。すべて政府、自民党、そして民間企業となったJRです。そしてこれこそが「JR38年の決算」です。
北海道では、線路閉鎖をしないままの保線作業が常態化し、安全も崩壊しています。先日、北海道運輸局はJR北海道に改善指示を出しましたが、何度改善指示を繰り返しても、今のJR北海道にはそれを実行できるだけの力はありません。運輸局、そして国交省は、紙切れ1枚の改善指示を出してお茶を濁すのではなく、このような事態を生み出した自分たちの鉄道政策、そして「間違っていた」と明確な結論が出ている国鉄分割民営化について、反省と総括をすべきです。それなくして日本の鉄道の再建はあり得ません。
私たちはJRの次を目指して、進んでいかなければなりません。ともに頑張りましょう。