daiozen (大王膳)

強くあらねばなりませぬ… 護るためにはどうしても!

「モンテクリスト伯」より (中)

2014年10月03日 | 小さな本箱
騎士道精神を支える心


さて、デュマは卑劣な奴らをどのような手段で叩きのめしたのでしょうか。
もちろん、デュマはモンテクリスト伯の意思と手に正義を行わせています。

ヴィルフィール検事総長・ダングラール男爵・モルセール伯爵の卑劣な心。
モンテクリスト伯(ダンテス)は卑劣な三人の罪を次々に暴いていきます。
金欲まみれ・権力欲まみれ・名誉欲まみれの卑劣な三人は自ら災いを招く。

ヴィルフィール検事総長の不倫した夫人との間に産れた子は殺人犯になる。
その殺人犯の公判中にヴィルフィールは被告が己の息子だと気づくのです。
しかもヴィルフィールの妻は殺人を重ねた末に追い詰められて自殺します。
罪が露見したヴィルフィールは全ての栄誉を失った末に、自滅するのです。

ダングラール男爵の妻は不倫した末に、極悪非道な殺人に奔る息子を産む。
成長した極悪の息子と娘を金目当で結婚させようとするダングラール男爵。
崩壊した家族を作ってきたダングラールは破滅して家族はバラバラになる。
ダングラールは預かった金を横領してイタリアに逃げ、盗賊に襲われます。
ダングラールは若き日のモルセールに卑劣な手口を教えた男でもあります。

モルセール伯爵はダンテスの恋人メルセデスに横恋慕して、奪った男です。
卑劣な手段をつかって無実のダンテスを密告して・監獄に送らせたのです。
仕えていた主人を敵に売り、その妻子を奴隷に売り飛ばして資産を築いた。
モルセールは息子を資産家ダングラールの娘と結婚させようと考えている。
妻メルセデスには愛想尽かしされ、息子にも去られるモルセール伯爵です。
結局、卑劣な行いは社交界の知るところとなり、モルセールは自殺します。

この物語が爆発的な人気を博したのは、フランスの老若男女の支持による。
正義が邪悪を倒すストーリーにフランスの子供は実に痛快に感じた訳です。
しかし今日の日本人の感覚を云えば『面白い物語だが…』と述べるけれど、
その後に『現実の世の中は正義だけでは生きていけない』と続けるのです。
己の国の正義を否定する…それが日本人なら、どのような国民でしょうか


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