ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

視察@鳥取

2014-12-21 22:29:18 | 日記
8月12日は鳥取へ移動し、鳥取県庁で「手話言語条例」についてお話をお伺いしました。

手話はフランスでろう学校ができて発展していく一方で、口話法が急速に普及し、手話が使えなくなった。

日本では1933年に手話が禁止となり、1993年に手話の使用が認められるまでの60年間は口話法で学校の授業も行われ、学習面でも支障があった。

2009年のタウンミーティングでろうの方から「手話は言語」との意見を受け、鳥取県将来ビジョンに「手話は言語」と入れることに。

同時期に、障害を知り障害のある方が暮らしやすい社会をいっしょに作っていく運動「あいサポート運動」を開始しており、あいサポート運動のように手話言語条例を鳥取県から始めて広められないか要望があった。

そこで、2013年に手話言語条例を制定。

議会での採決時には、全国からろう者や関係者が100名ほど集合した。

マスコミが大きく取り上げ、後押しになった。

条例制定にあたっては、日本財団の協力を得て、研究会で検討を重ねた。

日本財団は手話言語法を作る運動をサポートし、立ち上げ時の2,3年は財政面の8割を支援してもらっている。

条例の特徴は手話を言語として認めること。

手話が言語として禁止されてきた歴史もあり、ろう者の人たちから公的に「手話は言語」と位置付けてほしいという意向があった。

福祉分野だけでなく、幅広い取り組みを行っていく。

一般の学校の授業の中でも取り入れていくなど。

その他、普及啓発や手話通訳者の養成、事業者への支援、知事会見への手話通訳導入、すべての児童・生徒に手話を学ぶ機会を作るためハンドブックの作成、手話通訳や要約筆記・介助支援の報酬単価引き上げ、聴覚障がい者センターの設置などを行ったりしている。

さらには、これまで手話に関わっていなかった高校生が参加できるきっかけとなるよう、11月23日に「手話パフォーマンス甲子園」を開催する。

他の障がい者団体からの反発を想定していたが、結果的に反発はなかった。

制定の意向を表明した際に、他の施策にも言及したことと、あいサポート運動の定着も影響したと思われる。

各障がい者団体は、自分の障がいには詳しいが、他の障がいについてはあまり知らないこと多く、鳥取県ではあいサポート運動で一緒に冊子を作ったりして協力してきたので、どうして手話だけという反発はなかったのではないか、

といったお話でした。

手話は禁止されてきた歴史があり、ろう者が差別的な扱いを受けてきたことを知る人は少ないのではないでしょうか。
その意味でも、手話言語条例は画期的なものといえると思います。
また、県庁受付にあるタブレットから手話対応ができるようにしているなど、手話がふつうに使えるように取り組まれており参考になりました。
それだけでなく、「あいサポート運動」という障害の理解や手助けを広げるための運動も展開されており、興味深かったです。
そのような素地があって「手話言語条例」の制定につながったといえるのではないでしょうか。
現在神戸市会でも与党4会派で「手話言語条例」の制定にむけて取り組みが進められていますが、それだけでなく「あいサポート運動」のような運動も取り組んでいくべきであり、条例制定を契機にそのような運動が広がっていくよう期待したいと思います。

参考:鳥取県 手話言語条例 ホームページ http://www.pref.tottori.lg.jp/220879.htm
あいサポート運動 ホームページ http://aisupporter.jp/




視察@松江 その2

2014-12-19 23:03:40 | 日記
続いて、「空き家を活かした居住促進に関する条例」についてお伺いしました。

松江市内に空き家は総務省の推計値で12000戸あるといわれているが、どこにどれくらいあるか不明で、水道局の閉栓データ、各自治会に調査を依頼するなどして、空き家の実態調査を行っているところ。

市民から様々な相談を伺う窓口「伺います」係を設置したところ、条例施行前に57件の苦情があり、実態把握とフォローアップを行った。

市民・議会から放置された空き家についての指摘が多く、平成23年10月1日 に「空き家管理条例」を施行。

所有者の公表、行政代執行の仕組みなどを定めただけでなく、除却・活用の推進や町中、町中以外に分けての支援制度を設けるなどしている。

まずは、一元的に相談を受けつけ、管理・活用・景観などそれぞれの担当課に割り振って対応している。

官民連携も強化し、全日本不動産協会島根県本部、宅建協会と連携して、平成26年3月31日に「空き家バンク」を設置した。

空き家提供者と空き家利用希望者の間に市が入り、松江市として現地調査をして建築基準法で問題ないものを登録する仕組みで、まだ取り組み途上だが、すでに成約2件、現在のストックは9件で、年間18件を目標としている。

条例施行後の空き家の相談件数は、7月末現在72件、口頭指導30件、注意喚起33件、指導通知4件、調査中5件。

空き家の利用促進は、新婚、Uターン等まちなかの住宅に居住の人に1万円家賃補助、まちなか住宅改修上限の20万円上乗せなど、まちなかへの居住に手厚く支援している。

全体的には、中古住宅の取得支援の利用者が多く、平成25年度191件だったのが、平成26年度は7月末ですでに228件になっている、

といったお話でした。

空き家対策については、神戸市においても建築物の安全性の確保等に関する条例の一部を改正したり、「まちなか防災空地」と「古民家再生」が行われるなど一定の取組みが進められていますが、中古物件や空き家を流通させることが一番の空き家対策であり、そのための取り組みはまだまだ不十分ではないかと思います。
松江市のお話では、市が一定関与することで安心感を生み、流通促進につながっているとのことでした。
神戸市でも同様の制度を導入するなどして、市が一定関与し良好な中古物件の流通を促進すべきではないでしょうか。
今年5月に設置された「空き家ストックを活用した中古住宅市場活性化プロジェクトチーム」での検討状況に注目したいと思います。




視察@松江 その1

2014-12-18 22:43:19 | 日記
8月11日、12日は会派の視察でした。

8月11日は松江市役所にお伺いし、「歴史的建造物、保存から活用へ」という取り組みについてお伺いしました。

平成23年2月から「松江市歴史的風致維持向上計画」を作成し取り組みを始める。

認定都市になり認定都市5都市で会合し、市長が萩市を見学して感激し、松江の特徴は歴史・文化であるとして新たに「歴史まちづくり部」を創った。

都市整備部/歴史まちづくり課・景観政策室、産業観光部/松江城国宝化推進室、教育委員会/文化財課・史料編集室を新しい部にし、方向性を打ち出したところ。

「歴史的風致維持向上計画」に基づいて、松江城北側エリア、武家屋敷が立ち並ぶエリア、松平家の菩提寺を含むエリアなど5か所を重点区域に指定して事業展開し、歴史的建造物の積極的な保存と活用として松江城石垣修理、佐太神社の中の3棟を1年ずつ1棟ずつ修理、興雲閣解体修理などを、歴史的建造物の周辺整備として、弁天波止場常夜燈、明々庵への茶の湯の道、佐太神社参道の工事を、伝統文化・行事・工芸の承継としてホーランエンヤ伝承館整備、佐陀神能記念公演といったことを行なっている。

また、八雲の視点でもう一度見直し「また八雲があるきはじめるまち」「協働から 共に創る 共創のまちづくり」を進めるため、まちなみ魅力向上とまち歩き観光の推進として、公民館ごとに29の地域で地元が中心となって地域の大事なものなどを取り上げてマップを作成した。

そのマップを活用して子どもたちの地域学習や街歩きに活用したり、マップができたことで案内板も整備したりしている。

今後、松江駅から松江城を歩いていった時の街並みも整備していきたい。

街並みの保存のため、屋根は日本瓦、窓は格子、など協定を結んでモデル事業を行っている。

文化財以外の歴史的建造物は、昭和20年以前の建築物が約12,000棟、松江城周辺にも約3000棟あるが、その保存の取り組みは遅れており、取り壊される状況が増える傾向にある。

建物の保存については、建築学会に調査委託しており、まず外観から1次調査対象を抽出し、得られたデータを基に保存方針、基準、認定などを学識経験者も入った外部の委員会で検討する。

まずは松江駅~松江城付近を対象に調査を行いたい、

といったお話でした。

松浦市長の旗振りのもと取り組みが進められていますが、組織再編して「歴史まちづくり部」まで創設しており、その熱意を感じました。
実際の保存と活用は端緒に就いたばかりですが、新しい発想での取り組みは興味深いものがありました。
とくに市内の29の地域でまち歩きマップを作ることは、市民にまちづくりへ参画してもらうことと観光振興の両面の効果があるといえ、参考になりました。
松江市と神戸市とは歴史的経緯や建築物の状況などは異なりますが、神戸市にも茅葺住宅など歴史的建造物が多くあり、昨年ジュネス邸の保存問題もあったことから、「保存から活用へ」という考え方を参考にまちづくりを進めてもらいたいと思います。

参考:日経グローカル 松浦市長インタビュー記事 http://www.nikkei.co.jp/rim/glweb/glocal_pdf/244PDF/244interview.pdf


海外視察@台湾 その4

2014-12-16 23:24:48 | 日記
その後、中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)でお話をお伺いしました。

中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)は、1970年に台湾の対外貿易促進を目的に、台湾政府と業界団体の支援により設立された非営利公的貿易振興機構で、日本のジェトロに相当する組織。

TAITRAの本部は台北にあり、台北本部と国内4箇所の事務所(新竹、台中、台南、高雄) と世界各地にある約60の海外事務所をネットワーク化して、台湾企業・メーカーの国際競争力の強化、海外企業のビジネスマッチング、世界市場への進出 、外国企業の台湾調達、投資及び技術協力提携などをサポートしています。

毎年約80社・85名程度の訪問団で日本に行き、商談会や会社見学などを行っている。

商談会は、ホテルなどに商品を持っていって行うことが多く、取り扱いは日用品が多い。

神戸には行ったことはないが、受け入れの商工団体があれば行くことはできる。

例えば、神戸商工会議所に神戸の企業を集めてもらい、そこに参加するなど。

将来、輸出入代理など相互連携できる余地は十分ある。

神戸から台湾で展示会などをする場合の受け入れもできる。

その他、日本の10〜20の展示会に参加している。

さらに、人材育成の事業も行っている。

大学卒業後に2年間学ぶコースで、貿易関係の実践内容などを学び、卒業前のラスト3か月は海外で研修を行う(1年のコースもある)。

2年で学費は約30万元で、政府から補助も出ている、

といったお話でした。

日本への訪問団が神戸に行ったことがないのはショックでした。
神戸と台湾は長い交流の歴史があるわけですから、神戸市はTAITRAにもしっかりとアプローチしていくべきと感じました。
また、人材育成も行っているのは驚きました。
政府の補助もあり、国家レベルで対外貿易促進に取り組む熱意を感じました。
日本や神戸も企業任せにせず、TAITRAを参考に、人材育成に取り組むべきではないでしょうか。

参考:中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)ホームページ http://www.taitra.gr.jp/


海外視察@台湾 その3

2014-12-10 22:25:34 | 日記
7月23日は、台風の直撃で新竹県を訪問する予定が中止に。

テレビ局関係の方や貿易関係の方などとお会いし、神戸や台湾の将来の可能性といったお話をお伺いしました。

有意義なお話をたくさんお伺いしましたので、今後に活かしていきたいと思います。

7月24日は、まず台北医科大学にお伺いし、医科学研究所理事長の張文昌教授に神戸医療産業都市との連携などについてお話をお伺いしました。

張教授は、1990年に神戸大学の西塚教授(当時)と共同研究をされていたり、シンポジウム等でポートアイランドの医療産業都市を訪問されたことがあるなど、神戸と縁のある方です。

台湾はバイオに力をいれており、張教授もバイオ研究に携わっている。

国家科学委員会が日本と交流しており、北海道大学と健康食品についての交流などを行っている。

京阪神とはバイオの方がコネクションがある。

臨床は台湾の方が安いが人口が少ないので、中国や日本の企業と連携したりしている。

台湾の中でも新竹にはバイオメディカルサイエンスパークがあり、医療機器開発に力が入れられている。

台湾のバイオの会社にはアメリカの企業での経験者が多く、それが強み、

といったお話でした。

神戸の医療産業都市はフランダースや中国医薬城などと連携していますが、張先生のような神戸に縁があり、日本でも台湾でも人脈のお持ちの方ともしっかりと連携して、医療産業都市のさらなる発展・充実に取り組んでいくべきと思いました。

また、新竹との連携を強化していくことも神戸にとって有意義ではないかと感じました。




海外視察@台湾 その2

2014-12-03 23:51:03 | 日記
7月22日は高雄から桃園に移動し、長栄海運(エバーグリーンマリン)でお話をお伺いしました。

長栄海運は、台湾を拠点とするグループ企業エバーグリーングループの中核をなす海運会社で、150以上の貨物船を保有し、世界80か国・240の港湾に立ち寄り、コンテナ貨物輸送の規模は世界第4位の会社です。

大阪港は神戸港の2倍の20万TEUの貨物を取り扱っている。

  
神戸からは台北や高雄などアジア行きが多いが、北米行きは少ない。

  
それは、エバーグリーン社のやり方では時間がかかるため。

K-LINEなどとアライアンスを提携しているが、その連携を広げていけば神戸港での貨物の取扱量も増える可能性はある。

神戸と大阪の埠頭会社が合併して、どんなメリットが出てくるのか期待している。

  
例えば、神戸と大阪の両方に寄港して、トン税や入港料、パイロット料などの税金・料金が減免されるかなど。

世界中のほとんどの船会社が赤字で、エバーグリーン社も赤字なので、その様な支援があれば助かる。

北米への航路は荷物があればやりたいが、北米から日本への輸出はスクラップなどいいものが少ないので、あまりやりたくないのが本音。

  
日本の入港料は高く、1300~1400TEUの場合だと台湾の4倍の料金がかかるので、低減策を講じてもらいたい、

といったお話でした。

高雄港や長栄海運のお話をお伺いして、荷主や船主の立場で港湾のあり方を考えないと貨物量を増やすことは難しいと実感しました。

平成26年10月1日に神戸港・大阪港両埠頭会社が経営統合されましたが、その統合メリットを生かし、神戸港を荷主や船主が利用したい、利用しやすい港にしていく必要があるのではないでしょうか。





海外視察@台湾 その1

2014-12-01 23:55:32 | 日記
7月21日から24日まで、会派で台湾への視察でした。

7月21日は高雄港についてお話をお伺いしました。

高雄港は台湾で5つある国際貿易港の1つ。

入港口が2つあり、北側の第1港区は水深12.5mで3万トン級の船舶の入港が可能、南側の第2港区は水深17mで13000TEUの船舶の入港が可能となっている。

1300万TEUの貨物を取り扱うことができる(2013年度に実績は994万TEU)。

港は北側のエリアから発祥し、南側へと拡張され、それとともに機能も移っていった。

全体の広さは17736ha。

沖合には南北の長さが7㎞、幅200メートルの島があり、防波堤のような役割をしている。

さらに南側の海岸を埋め立てて拡張工事が行われている。

現在約370本の航路があり、台湾の輸出入貨物の約63%を取り扱っている。

国道1号線につながるコンテナ専用高速道路が整備され、アクセス向上につながっている。

最新設備や高効率による質の高いサービスと低価格の実現で、付加価値型ハブ港への転換に成功した。

   
また、自由貿易ゾーンが2005年1月に設置・稼働し、多くの企業が進出して、高雄港の機能を高めている。

   
自由貿易ゾーンは、土地を提供し、そこで製造して輸出すれば関税がかからない。

   
さらに拡張計画でハブ港としての機能を強化するとともに、旅客にも力をいれていく。

   
高雄港がハブ港、ロハス港、エコロジー港としてさらに発展できるよう努めていく、

といったお話でした。

中国やアジア諸国に近いという立地上の有利さもありますが、コンセプトを持ってアクセス面や自由貿易ゾーンも含めて整備がなされており、進んでいると感じました。

神戸港においても、そのような視点で国家ぐるみで総合的な整備を進めていく必要があるのではないでしょうか。