ひと日記

お気に入りのモノ・ヒト・コト・場所について超マイペースで綴ります。

Window pane plaid suit

2010-12-02 04:00:00 | 白井さん


 2010年もいよいよ師走を迎えました。このブログのカテゴリー“白井さん”も今日で88回目の更新で、何となく縁起が良いです(笑)。因みに、明日12月3日は白井さんのお誕生日!

 『ワン・トゥ・スリー!(1・2・3)』(白井さん談)

 と憶えるそうです(汗)。ブログからで大変失礼ではありますが、白井さん、お誕生日おめでとうございます(笑)。

  

 日中は陽射しに暖かさが感じられ、まだオーヴァーコートを羽織るのは些か躊躇いもありながら、朝晩の冷たい空気はもう既に冬の到来を告げている今日この頃。

 秋と冬の境目、今日の“白井さん”は枯葉舞い散り始めたこの季節にぴったりの装い。それは薄枯れの芝か、はたまた翡翠の色か、ヘリンボーンの織り柄をほんのりと浮かび上がらせた淡いミックス調のグリーンに、縦と横で微妙に色調を変えた橙のウィンドウペインを配したSBスリーピースの着こなしです。

  

 ブリッグ(煉瓦色)の縞のボタンダウン、襟元は濃茶のウールタイ(小紋)、鶯色のペイズリーのチーフ、足元は中茶ロイヤルスウェードのウィングティップ、今日はホーズの色はシャツの縞に合わせて。

 細部に至るまで所謂“アースカラー”で統一しつつ色の分量にも気を配り、柄ものを巧みに取り入れて大人の遊び心も演出、これぞ“白井流の真骨頂”ともいえる“晩秋の着こなし”。

 今日のシャツはルチアーノ・バルベラ(伊)。白井さんは“手持ちのバルベラのシャツは全部BD(ボタンダウン)”と仰るほどなので、当然秀逸なパターンを持つシャツであろうことは想像に難くないですが、白井さんは特に肩付け根部分に2本の“タック”が入っていることを評価されていました。白井さんからの又聞きですが、ルチアーノ氏曰く、氏の祖父が着ていたシャツにそのような意匠が施されていたのだとか。

     

 “ハッ!?中折れ!?すわ!オーヴァーコートが遂に今期初登場か!?”

 と思いきや、今日の白井さんは“白井流コート5点セット”のコート抜き!!つまり、帽子、手袋、マフラー、ステッキの4点セットです。

 分厚く上質なファーフェルトを使用した中折れは、白井さんが40年以上前にイタリーのボルサリーノに特注で作らせた逸品。本体の色・素材のみならず、リボン・ライニング・すべり革に至るまで色及び素材を指定したという完全別注品。

 帽子の色に合わせて他の二点も濃茶のアイテム。マフラーは“フワッフワ”ガーゼ織りのカシミア、そして、手袋は“カルピンチョ”、巷では“カピバラ”の呼び名で知られる齧歯目(ネズミ目)最大の動物の革を用いたノーライニング仕様。

 私は初めて見ましたが、“カルピンチョ”の革の表面には、小さめで比較的はっきりとした“斑”が浮いており、柔らかさはペッカリーに、表面の質感はカーフのスウェードに近いかもしれません。

 これまで見たことのない例外的な合わせ方に驚いた私に白井さんは、

 『全然“アリ”だよ。』

 と一言(笑)。よく考えればこの時期だけにしかできないある意味“贅沢”な着こなしなのかもしれませんね!

  

 さて、来る12月16日(木)、今年も信濃屋さんのクリスマスパーティーが開催されるそうです!

 今年は更にパーティーのプレイベントとして、白井さんが所有されている古き良きアメリカ靴を皮切りに、その時代時代の紳士の足元を彩った信濃屋オリジナルシューズの数々など、合計数十足が信濃屋馬車道店さんの紳士フロアで一同に会し、12月11日(土)~16日(木)の期間中、陳列されるとのこと!素晴らしい!!



Vested tweed jacket

2010-11-27 04:00:00 | 白井さん


 秋の深まりとともに我が住まいの周りの木々も次第に色づき始めてきました。現在、11月26日13時28分。

 ♪~静かな 静かな 里の秋 栗の実煮てます いろりばた~♪

 といった風情です(笑)。

 例えば、天高く澄み渡った青空の下、一面黄色に彩られた銀杏並木をその落ち葉を踏みしめながら歩く時、最も相応しい男の装いの一つはやはりツイードの服ではないでしょうか・・・。

 今回の“白井さん”は深みある青が実に印象的な一着。遂に、フランネルと並ぶ紡毛系素材のもう一方の雄“ツイード”が今シーズン初登場を迎えました。

 更にインナーには共生地のヴェストを配した“Vested jacket style”。白井さんのお話では、今日のような合わせ方に“Mixed suit”という表現を使っていたことも以前はあったそうです。限りある男の装いの範囲で如何にお洒落を楽しむか、という先達の智慧・ミクストスーツ・・・実に洒落ています(笑)。


  

 

 Oxford BD stripe shirt,  “Royal Stewart”tartan tie,  paisley pocketkerchief,  Gray flannel trousers,  Blue hose,  Brown suede semi-brogue shoes.

   

 カントリースタイルを楽しみたくなる晩秋の装いにはツイードのジャケットは欠かせませんが、私などは季節を意識しするあまり、ついついアースカラーを多用し過ぎて野暮ったい合わせ方になりがちです。まぁ、それ以前にセンスの問題があるのかも(苦笑)。

 またまた色の話で恐縮ですが、白井さんは、例えツイードの着こなしであっても、鮮やかな色を巧みに織り交ぜて、都会的で洗練された雰囲気を決して失いません。もちろん、白井さんなら仮に全身を茶系で纏めたとしてもそれは変らないのですけれど(笑)。

 『もっと明るい色にしたら?』

 白井さんが私によく仰る言葉です。やり過ぎは良くないですが、やらなさ過ぎもまた然り。ネクタイの色を迷った時、私は白井さんの言葉を必ず思い出しています。その言葉に背中を押され、今までできなかった合わせ方を発見したことがたくさんありました。私の勝手な解釈ですが、白井さんの言葉には“お洒落にはちょっとした冒険心も欠かせないよ”という意味が含まれているような気がしています。

 

 

 “CANARY YELLOW” cashmere muffler.

 

 そして、この日のお帰りは“カナリーイエロー”のカシミアのマフラーを巻いて。英国製のこちらのマフラー、なんと“50年モノ”とのこと!白井さんは簡単にさらっと仰っていましたが、ちょっと俄かには信じられないほど綺麗な状態が保たれていました。ご自身ではあまり仰ることはありませんが、白井さんは服であれ小物であれ、その使い方はとても丁寧で、綺麗な状態を保つための“ひと手間”を惜しまない、と感じることが多々あります。

 “ワードローブは見えるようにしておく”

 “小物は長く使える”

 白井さんがそう仰ることができるのはその“ひと手間”あってこそ!なのではないのかな、とも思っています。



Glen plaid over saxe blue pane suit

2010-11-25 04:00:00 | 白井さん


 今日はまず二つのニュースから・・・。一つ目は前回の更新について。

 おかげさまで、『A SHOE-SHINE MAN』は多くの皆様に関心を寄せていただき、11月23日には訪問者数(IP)639名、閲覧回数(PV)1,743回、アクセスランキングは1,498,744ブログ中、805位(gooブログ調べ)と、当ブログの過去最高アクセス数を記録しました。

 動画の撮影については、50年超のキャリアを誇る白井さんのシューシャイン以外は全てが初めての試みでしたので撮影前は不安だらけでしたが、今はやらせて頂いて良かったと、ほっと胸を撫で下ろしています(笑)。改めまして、白井さん、皆様、ありがとうございました。

  
 

 もう一つのニュースは当ブログのカテゴリー“白井さん”について。

 昨年の12月から始めさせていただいたこの項“白井さん”ですが、今年内を以って終了させていただくこととなりました。先日、白井さんにその旨をお話させていただきご了承も頂きました。

 これまで約11ヶ月間続けさせていただいた中で、勿論、思うところは多々ありましたが、やはり当初決めていた通り一年間で完結するのが最善と判断しました。今は明鏡止水の心境です。

 残すところ一月余りですが、全身全霊を傾けて“白井さん”撮影とブログ製作に臨みたいと思います。
 
     

 前置きが長くなり申し訳ありませんでした。

 今日の“白井さん”は『Glen plaid over saxe blue pane suit』。前回のリラックスしたカジュアルスタイルから一転して、今日はまことにオーセンティックな着こなしです。

 紳士のワードローブには欠かせない伝統的な柄であると同時に、“まだまだおまえではとても着こなせまい”と経験の浅い者を容易に近づけない“大人の風格”を漂わせるサックスのペインが入った白黒のグレンチェックは、男の髪がロマンスグレーに染まる頃からそれを纏う者の魅力をさらに引き立たせる魅惑的な素材ではないでしょうか。私見ながら、そのダブルブレスト3ピースは白井さんの代名詞的存在ともいえる一着。

 遠目は全身グレーに見える今日の装いに色味を加えているのはロイヤルブルーが鏤められたのハウンドトゥースのタイ。そして、タイと色合わせたホーズの先にはスウェードのセミブローグ“Benti Vegna”。今回はまさに“白井流”の代名詞的着こなしともいえる組み合わせ方ではないでしょうか。

 更にお帰りにさっと襟元に巻かれたマフラーにも青を合わせた白井さん。サックスブルーのマフラーは“フワッフワ”のカシミア・ガーゼ織りです。真冬は勿論のこと、オーバーコート直前といえるこの時期にも活躍するのがこのアイテム。小物類をこよなく愛される白井さんは巻物も大変お好きで、ワードローブの中にはカシミア、シルクを中心に30本を越すマフラー類をお持ちだそうです。マフラーは大切な“冬の名脇役”、私も毎年少しずつ増やしていきたいと思っています。

   

 この日は“シューシャイン”の余熱がまだ残っていました。動画のBGMに使わせていただいたカントリーの名曲から話題は自然とその方向へ進みます(笑)。失礼ながら、やはりカントリーには白井さんを熱くさせる大きな魅力があるようです。そろそろ師走。2年前の信濃屋さんのクリスマスパーティーで拝聴した白井さんの歌声が思い出されます(笑)。



“ A SHOE- SHINE MAN ”

2010-11-23 00:09:00 | 白井さん

 
 先日、“白井さんの靴磨き”を動画で撮影させていただきました。

 何はともあれまず上の写真をクリックしてみてください!

 動画サイト『You Tube』にリンクします。

 全編ノーカットです!





 “白井さんの靴磨きが見たい!!”

 今回の試みは、この項“白井さん”を始めた当初からずっと私の中で密かに暖めていたアイディアでした。その想いをようやく実現でき、そして初めて白井さんの靴磨きを拝見でき感無量です。まずは何よりも、この不躾なお願いを快く受けてくださり、撮影に際してはこれ以上無いほどの“シューシャイン”をご披露してくださった白井さんに、この場をお借りして改めてお礼を申し上げます。白井さん、ありがとうございました。

 左の写真は信濃屋さんのHP『信濃屋オリジナルシューズ予約会のご案内』(2006年11月17日掲載)に載ってる一枚。数年前、雰囲気のあるこの一枚の写真を見て“かっこいいなぁ~”と思ったその想いが今回のアイディアの源泉でした。

 今回の試みでも、上掲の写真のように上着を脱いで、愛用の靴を手に軽やかな手つきで磨く白井さんの姿が撮影できれば、との想いでいたところ、意外にも白井さんはかなりカジュアルな装いで撮影に臨まれました。なかなか拝見できない白井さんのプライヴェート・スタイルに初めは戸惑いましたが、その装いを選ばれた理由はすぐその後にわかりました。

 なんと、驚いたことに、白井さんはまさに本職のシューシャイナーさながらのやり方で靴磨きをされると仰るではありませんか!確かにスリーピース姿では無理な試みです(汗)。そして、私に白井さんが1960年代から長年愛用されてきたジョンストン・マーフィー(米)の最上位モデル“クラウン・アリストクラフト”シリーズのサドルシューズを履くように促され、その私の足元を磨くと仰るのです!

 これほど恐縮したのは生まれて初めてというくらいにビビッてしまった私でしたが、これほどの幸運もまた滅多にあることではありません。私は恐る恐る、白井さんが用意してくださった台の上に足を置きました。緊張で固まった身体はむしろ靴を磨くには都合が良かったのかも(苦笑)。

 『こうやってやらないと力が入らないでしょ。新しい靴なんかは特にそうなんだけど、最初にちょっと硬いキャンバスで思いっきり力を入れてこすらないとダメなんだよ。そうしないとワックスがすぐに剥がれてくるし、その後の光り方だって変わってくるんだよ。とにかく“基礎作り”が大事。』

 白井さんは新しい靴を購入された時は、ご自分で靴を履かれた後、台の上に足を置き、力いっぱい磨いて最初の“基礎作り”をされるのだそうです。まさに驚嘆すべき事実!
  


 白井さんは靴磨きにKIWIのワックスを愛用されています。使うのはそれのみ。他には硬めのキャンバス地、綿ネル、柔らかいネル、の3種の生地、そして水だけです。ワックスはたっぷり使うそうです。

 前述の“基礎作り”の手順は、まず最初にブラシにワックスをたっぷり塗りつけて靴全体に馴染ませます。その後硬めのキャバスで力をこめて“パンパン!”と小気味よく磨きます。

 ワックスをふき取る感じで磨いた後、今度は指にワックスを取り靴全体に塗りつけていきます。ここで“水”の出番。『ピッ、ピッ』と指で水を弾きながら靴に乗せ、再びキャンバスで磨きます。と、ここまでが大事な“基礎作り”。革の表面の毛穴を埋めていくイメージのようです。女性がお化粧で行う“下地作り”と全く一緒ですね!そういえば、あのIKKOさんも同じようなことを言ってたような・・・。

 その後は綿ネルを中指にきつく巻きつけ、人差し指を上から添えてワックスを丹念に丁寧にゆっくりと、トウ、足の甲、コバ付近、踵周り、履き皺の中にいたるまで全体に万遍無く塗りこんでいきます。ワックスの加減、水の加減、ちから加減、は経験で感覚的に憶えるものなので言葉では伝えられない、とのことです。

 『トウは最初に力を入れてこするから革の色が次第に剥げて白っぽくなってくるけど、反対に踵の方は色が濃くなってくるんだよね。あと、高い革使ってるからって光るって訳じゃないんだよね。意外と安くて質の悪い革のほうがよく光ったりするんだよ(笑)。』

 仕上げは、再び指で水を弾いて乗せた後、今度は柔らかいネル生地でやさしく包むように磨きます。

 そして、最後に親指で足先を“ピンッ!”と弾いて終了(笑)。この所作は、白井さんが“世界一上手い”と今もなお称え続けている靴磨きのお兄さんの真似なのだそうです。

  その後、白井さんは靴を手にとって再び綿ネルで磨き始められましたが、それは白井さん曰く“普段の手入れ”とのことです。

 『ゆっくり、ゆっくり、少しずつ、ね。自分でやる時は納得いくまで磨くから時間掛かっちゃって“商売”にはならないよ(笑)。』



 今回白井さんがご披露してくださった磨き方は、戦後、伊勢佐木町で進駐軍の兵隊さん達を相手に靴磨きをしていたシューシャイナーたちのやり方そのまま。当時高校生だった白井さんは、唯一持っていたという黒の革靴を履いてせっせと足を運び、その技を見よう見真似で憶えたそうなのです。1回で30円、米兵達はちょうど朝鮮戦争で景気が良く、100円とか、中には1$ポンっと置いていく者もいた、そういう時代だったとか。

 『米兵達は私服で磨きに来るんだけど、皆おしゃれして恰好つけてさ、中でも黒人の兵隊はさらにカッコつけてるんだよ。チャコールのフランネルのスーツに、鏡みたいに光らせたピッカピカの黒い靴履いてさ、もうそれ以上磨けないんじゃないかってくらいのね(笑)。それにピンクの靴下を履いたりしてさ、何処かにないかなって方々探したけど、当時そんなもんある訳ないよな(笑笑)。』

 シューシャイナーは5人ほど居られたそうで、5台くらいのシューシャインスタンドが並んでいたそうです。その中でも“世界一上手かったお兄さん”が白井さんのお目当てで、そのお兄さんに当たるように、と思いながら順番待ちの列に並んていたとか(笑)。

 『靴を磨いている間は米兵は新聞や雑誌を読んだりしているんだけど、その足元でシューシャイナーたちが日本語で米兵の悪口言ってたりしてさ(笑)。キャンバスをこうやって“パンッパンッ!”ってやりながらカッコつけて磨いてたよ。』



 『高校時代になると、さらにアメリカは未知なる憧れとなり、映画で見るシカゴのギャングのちょっと悪だけれどエレガンスなファッションに心ときめき、伊勢佐木町を流れるカントリー&ウエスタンと闊歩するアメリカ兵を羨望し、その魅惑的な空気が私のファッションへの興味へとつながっていきました。』(信濃屋さんHP・白井俊夫のおしゃれ談義より)

 当時の情景を想像してみますが、それを結像させるにはあまりに縁少なく、当時の写真なぞ何かないかとネットを検索しても、なかなかこれといったものは見当たりませんでした。せめて動画の中だけでも当時の雰囲気を少しでも出せたらと、BGMには白井さんが大好きなカントリー&ウェスタンの、その中でも“神様”と讃えられている“ハンク・ウィリアムス”の名曲の数々を使わせていただきました。

 白井さんの10代から20代の頃はカントリー&ウェスタン華やかなりし時。以前ちょっとだけ白井さんから伺ったのですが、白井さんがカントリー&ウェスタンが好きになったのは、やはり当時の時代背景が大きく影響しているそうです。その後様々な音楽が日本に現れ続けても、白井さんはカントリー&ウェスタン一筋。着こなしや靴磨きと同じで、白井さんは些かも“ブレ”ません

 『僕のやり方はただただ単純に光らせるだけ。革に良いとか悪いとかも全然考えないよ(笑)。でもこのやり方で50年以上履けてる靴があるんだからそれで充分でしょ。どんな靴でも、それが一万円の靴でも十万円の靴であっても、手入れしていれば綺麗に履けるんだから。』



 最後になってしまいましたが、今日の着こなしを。今回はかなりカジュアルな装いでしたので、流石の白井さんも撮影を躊躇されていましたが、これこそ貴重な機会なので私は迷うことなく撮影させていただきました。動画でばっちり写っちゃいますしね(笑)。

 今回の靴磨きにあたり白井さんが選ばれたのは、普段着として使われているマロ(Malo伊)のカシミア・スウェーター。このブログ初のピンクです(笑)!以前、
 
 『俺はね、“俺は何色だって似合うんだ”と思ってず~っとやってきたよ。』

 と仰っていた白井さん。でも、今までピンクは一度も出番が無く、私は“さすがにピンクだけはお嫌いなのかなぁ・・・”と思っていたのですが、やはり白井流。これで主だった色は全て登場したことになりました。

 スリップオンはバス(米)のウィージャン。こちらも“ご近所までちょっと”という時に履かれる普段着用だそうですが、それでもピカピカです(汗)。

 そして初のジーンズはこだわりのラングラー(Wranglar 米)。

 『ジーンズといったら“ラングラー”(笑)。カントリーといったら“ラングラー”、テキサスといえば“ラングラー”。リーヴァイスとかも何本かあるけど、やっぱりラングラーしか履かないね。』

 とのこと!お帰りは軽めのダッフルにキャプテンキャップとカシミアのガーゼ織りのマフラー。

 靴磨きも、カントリーも、そしてラフでカジュアルな着こなしでも、やっぱり一本の筋が“ビシッ”と通っている、それが“白井流”なんですよね。



Glen plaid over red pane suit

2010-11-18 04:00:00 | 白井さん


 『あれはチョークストライプじゃないね。』

 久々の前回訂正からスタートです(笑)。前回の濃茶のフランネルスーツのストライプを、私は“チョークストライプ”と書いてしまいましたが、これは誤りで、

 『まぁ、“ペンシルストライプ”ってところじゃないかな。』

 と、白井さんからご指摘がありました。フランネルといえばチョークストライプ!という私の思い込みがいけませんでした。謹んで訂正させていただきます。

 因みに、前回のスーツに使われていた生地はカルロ・バルベラ(伊)のもので、1998年、白井さんがミラノのテーラーでスーツを仕立てられるにあたり、その年のピッティ・ウォモの会場でルチアーノ・バルベラ氏に“何か良い生地はないの?”と聞かれたところ、その翌日、ヴィエラ本社からルチアーノ氏のご子息・コラードさんが生地見本を携えて白井さんを訪れ、その見本の中から“じゃあこれでいいや”と、白井さんがかの生地を選び、後日、今度は父上のルチアーノ氏がヴィエラからミラノのテーラーに生地を運び入れる、というたいへん大掛かりな手間がかかった“ちょっといわく付き”な生地、そして服なのだそうです。う~ん・・・それってある意味かなりの“贅沢”!(笑)

  

 さて、今回は白黒のグレンチェックにはっきりした赤いオーバーペインが入ったダブルのスーツ。白井さん曰く、

 『ルチアーノが好きで同じような服をよく着ていたよ。』

 という今回の生地もやはり“カルロ・バルベラ”とのこと。私にとって赤(もしくは青)のペインが入った白黒グレンチェックのスーツは、大人の落ち着きと洒落者の遊び心、という二つの性格を併せ持つ、経験ある紳士のための一着、というイメージ。ただ、以前白井さんが仰っていましたが、色、柄の大きさ、ペインの入り方などなど、ご自身のイメージにぴたりと合う“これは!”というものは簡単には見つからないそうで、これは例えばツィードのグレーのヘリンボーンやグレーフランネルなども同様で、伝統あるオーソドックスな色・柄ほどいざ選ぶとなるとこれがなかなか難しいのだそうです。でも、そう仰る時の白井さんはいつも嬉しそうですが(笑)。

   

 サックスの縞のシャツはフライ(伊)。フライはこのブログに最も多く登場している“Camiceria”の一つですが、今日の1枚は白井さんが愛用されている多くのフライの中でも最も初期のもの。白井さんが1986年にイタリア・ボローニャにあるフライの工場を初めて訪れた際に購入された一枚なのだそうです。ご存知の方も多いと思いますが、フライを最初に日本に紹介されたのは白井さん。それはつまり、この一枚に白井さんが袖を通された時から始まった、ということになるのかもしれません。

 縞のタイは“セッテ・ピエゲ”。この言葉も今では私ですら知るほどに広く認知されていますが、白井さんがイタリーでこのタイを購入された当時(’90前後)の日本では全く知られていなかったそうです。

 『ちょっと締めにくいんだけどね(苦笑)。』

 とのことでしたが、シャツ同様、こちらも“ちょっといわく付き”な品のようでした。

   

 さて、この日は、柔らかな物腰と穏やかなお話のされ方でいつも私にお声をかけてくださり、このブログにもコメントを頂いたことがあるLechner様がご来店されていて、私もLechner様と白井さんとの服飾談義に割り込ませていただきました。寒さも次第に厳しくなり始めた折ですので、話題は自然とコートについてのあれやこれやに。

 確固たるご自身のスタイルをお持ちのLechner様は、

 『僕は今の時期はギャバディン、そして春先にはコットンを着たくなるんですよね。』

 と仰りつつ、

 『贅沢してます(笑)。』

 とご謙遜されていましたが、白井さんは、

 『それは贅沢というより“こだわり”ですよ。』

 と称えておられました。信濃屋さんのお客様と白井さんの服飾談義には何気ない会話の端々にもお洒落の“要諦”が鏤められていて私には勉強になることばかり。

 一方私は、この日紺のブレザーに紺地の縞のネクタイを合わせるという暴挙に打って出てしまい、

 『もっと明るい色を選ばないと。』

 と白井さんからすかさずダメ出し(汗)。これは例えば、生成り色のジャケットに似たような色の替えズボンを合わせる(これも私が今夏に犯した悪例ですが汗)のと同じで、およそコーディネートとは呼ぶに値しない、

 『最もやっちゃいけないこと。』(白井さん談)

 なのです(涙)。以前、白井さんから“紺の服に紺のネクタイって色合わせが相当難しいから滅多にしない合わせ方だね”と伺っていたにもかかわらず、“やっぱりやるんじゃなかった”としばし反省・・・。

 でも、こうして白井さんから直接教えていただけることがどれほど価値あることかは言うまでも無いことですし、最近はたまにですが、

 『それ良い色だね。』

 と、ネクタイの色を褒めていただくことも、まだまだかなりピンポイントではありますが(汗)、あるんですよ(笑)。