地方議会を再生する 相川俊英

くしくもNHKスペシャルで「わが町の議会が危ない」というタイトルで地方議会の問題を取り上げる

番組を放送していた。ほとんどの国民にとって議員は尊敬の対象にならない職業であって、特に地方

議員はその働きぶり、政務活動費の不正使用など悪いイメージ一色で政治不信から近寄りたくない存

在になりつつある。


しかし昔のように余裕があった時代には関係なく済まされたことが、議会の出来不出来で自分たちの

生活に影響を受けることが分かってきて、将来に対する不安から議会の本当の会買うを求める声も上

がっていいる。ほとんど表面化していないところでも疑問を持ち、問題のあぶり出し、実際に議員に

働きかける市民も増えている。引っ越ししてまだ2年の私の近所でも町の行政に関して話が出来る人

もいて、心強く思う。


本書では地方議会で実際に会買うに取り組んだ実例が書かれている。綿密な取材で得た情報が元に

なっているので実にリアルだ。複雑な人間の感情によって、孤立する議長が驚くべき粘り強さで改革

に奔走するが、そのエネルギーは凄まじいばかりだ。理によって動く人間は本当に少なく、利に動く

人がほとんどだから大変さは想像以上だ。


すでに収入による格差が拡大しつつあり、これからは住む場所の行政によっての格差がさらに広がる

住まいの決定も行政サービスを確認してからの世帯も増えている。住む場所の環境は自らの生活に直

結する。行政は他人事では済まされなくなった。


地方議会を再生する　　　　相川俊英　　　　　集英社新書