うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

ECLIPSE....(12145)

2012年05月11日 15時47分23秒 | うべプラネタリアン
Eclipse「食」。
Eclipse とは 不調、病、不安定など普段とは違う状態を示す。確かに普通じゃない。
The Moon eclipses the Sun などと「月が太陽を隠す」というときに動詞としても使う。
だから昔のように「蝕」を当てるのがいいかもしれない。

日食は Solar Eclipse。日食に、部分日食(Partial Solar Eclipse)、
皆既日食(Total Solar Eclipse) と金環日食(Annular Solar Eclipse)がある。
“Annular”とは“環状の”という単純な意味だから、そこに“金環”という言葉が持つ
華やかさや謎めいた響きはない。
月食は Lunar Eclipse で、部分月食と皆既月食はあるが、金環月食はない。

食の予報は昔の為政者の専権事項だった。
お抱えの天文官が予報をしたら、極秘事項として皇帝は民衆に食の様子をいいように利用した。
予報通り起きなかったら目も当てられない。天文官は職を失うだけではない、首が落とされた。
逆に予報も事前情報もないままに、突然食が始まったら、これも首切りものである。
昔は食は命がけの出来事だったのである。
うまくいけばお褒めはあったかもしれないが、対外的には皇帝の得意である。
どう転んでもまさしくECLIPSE不調この上ない。

源平盛衰記の中にも、木曾義仲軍と平家軍の戦の真っ最中に金環食が起き、
源平ともにひどくあわてたとの記録があるそうだが、今年の大河ドラマなら、
いいタイミングだからうまく使ったらいいだろう。
天文現象は、メカニズムの解明はなくとも、今よりもっともっと身近であったに違いない。

巨大太陽黒点....(12144)

2012年05月11日 14時18分38秒 | うべプラネタリアン
今、大きい黒点が出ている。
眼視(もちろんフィルターを通して)でも確認できる。
3月半ばにも大黒点が出て、オーロラが活発化した。北海道くらいの低緯度でも
オーロラが見られるのではと期待された。結局それは見られなかったが、
この度も同程度の大黒点なのできっとそうした影響が出るだろう。

金環食に向けて日食メガネを入手した方は、リハーサルをかねて太陽を見たらいい。
ただ、眼視となるとよほど目をこらさないと見えないので、無理をしないことだ。
できればフィルター付きの適切な双眼鏡か、太陽を投影板に映してみるのがいい。

6/6に金星の太陽面通過があるが、太陽面に映じた金星のシルエットよりでかいだろう。
そのときまでこの黒点が見えていたら格好の見ものになる。
金星の実サイズは地球とほぼ同じなので、太陽の黒点の大きさとの金星=地球の比較が
できるからだ。この状態が持続していなくても、黒点のサイズをよく記憶しておき、
「金星の太陽面通過」の際思い出して、太陽本体の“どでかさ”を得心すればいい。
だから、「金環食」というより「金星の太陽面通過」の際の観察リハーサルに
向いているかもしれない。