労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

「ボーナスの支給日在籍要件の有効性に関する事案」ってのが東京社労士会の会報11月号に掲載されていた

2021-11-29 | 書記長社労士 労務管理

 ボーナスの「支給日在籍要件」とは、給与規定などで、労働者が賞与(臨時給、ボーナス)支給に在籍することを支給要件として定めることによって、使用者は、支給日前に退職した労働者に、賞与を支給しないことができるという制度のこと。
そもそも賞与は、賃金の後払い的性格を持っているとともに、生活保障的意味、将来の労働への意欲向上など、多様な性格をもっており、そもそも支給対象期間における勤務を対象として支給がされているのが現状。
では、「支給対象期間における勤務を対象として支給」されるのだとしたら、支給日に在籍していないことをもって支給しないという、「支給日在籍要件」が有効かどうか、ってのはしばしば争いになっている。

 実は「支給日在籍要件」について、自分がまだ労働組合本部に専従になる前、職場の中央委員だった時代(30年ほど前だ)。
当時、当社では60歳以降の継続勤務として、①通常継続勤務(フルタイム、基本給+各種手当て+賞与有り)、②短時間継続勤務(健保・厚年未加入のパートタイム勤務、完全歩合給のみ、賞与無し)だった。
定年退職した先輩が②を選び、「支給対象期間」は正社員の時に全期間在籍したが、賞与支給日は賞与無しのパートタイム勤務で、ボーナスの支給がなかったことが問題となった。
①を選んでいたら、賞与支給に在籍していれば、「支給対象期間」のうち、正社員期間と通常継続勤務期間によって、賞与規定に則り、支給額が按分されるという内規があったが、そもそも②短時間継続勤務には賞与を支給しないのだから、その内規が適用されない。
先輩に、そういうルールだといくら説明しても納得してもらえず、会社の制度であるにも関わらず、自分の賞与が支給されないのは「自分の味方をしない中央委員のせいだ」と逆恨みされてしまった。
それまでとっても可愛がってもらっていたのに、これを機にめっちゃ関係が悪くなって、そのままギスギスしたまま先輩の退職まで(いや、退職後まで)、無視され、非難を吹聴されてしまうことに至ってしまったという痛恨の思い出がある。
なかなか人望のある先輩だったので、職場全体でも、職場をぎくしゃくさせた私に対する風当たりが強くめっちゃ困惑した。
自分としては、会社の制度の問題で、労働組合の支部の一委員である自分ではどうしようもないことなのに、先輩は会社に対してその怒りを持って行くわけでなく、なんで自分に八つ当たりするのだと、どうしても納得出来なくて、ふてくされていて、自分から関係修復することもなく、突っ張り倒したという若気の至りもあって…。

 東京社労士会の会報では、支給日要件の判例について、4つの類型に分けて紹介されていた。
【定年退職者】
JR東日本事件 東京地判 平29.6.28 ⇒ 当該企業の経営上の裁量に関する事項として合理性が認められるとした事例

【退職日を自ら選択した者(任意退職】
大和銀行事件 最小判 昭57.10.7 ⇒ 支給日在籍要件を有効と判断し、退職者からの請求を認めなかった事例

【有期契約が期間満了により終了した者】
京都新聞事件 最小判 昭60.11.28 ⇒ 定年退職者と同様に退職者を自ら選択することが出来ない有期雇用労働者についても、支給日在籍要件を有効とした事例

【整理解雇された者】
リーマンブラザース証券事件 東京地判 平24.4.10 ⇒ 整理解雇は、労働者自身の帰責事由がないにもかかわらず使用者側の事情により解雇されるものである上、定年退職等のケースと異なりその退職時期を予測できるものでない以上、このような場合にまで一律に支給日在籍要件の適用を及ぼすことは、合理的な理由を乱すことが出来ないとし、自己都合退職、定年退職の場合については、支給日在籍要件は有効であるが、整理解雇の場合については退職時期を予測できないため、無効であると判断した事例


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 孫1号・2号&V3@「枚方市民... | トップ | 【2021.8.27】第2回自動車運... »

コメントを投稿