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2000年に刊行され、江戸川乱歩賞を受賞した首藤瓜於の原作の映画化、原作は未読だが、予告編の出来がよくて、観たかった映画。
期待に違わず見応えのあるサスペンスアクション映画に仕上がっていた。
知能と身体能力は人間離れしているが感情がない、特に痛みというものを感じない、しかし悪に対してはひじょうに敏感で徹底的に潰しにかかるという脳男、キャラの立ち方が凄まじい。
そんなむちゃくちゃ難しいキャラを生田斗真は演じきった、きっと彼に演技についての代表的な役だということになるだろう、ほんとに見事。
彼はこの役に挑むにあたり、感情を消すために数ヶ月、極力、人に会わなかったということだ、その努力であの目の演技が出来たのだろう、って納得してしまう。

映画の出来としては良いとは言えないかも知れない。
脳男の生い立ちを説明するのに無駄にくどくしたのにも関わらず説明し切れていない、爆弾魔に翻弄される警察の動きがとてもあり得ないし、特に脳男の護送を襲われる時ってのは思わず失笑してしまうくらい、クライマックスの病院でのシーンはあまりにもご都合主義過ぎてとほほと涙まで滲んでしまう、そして江口洋介演じる刑事がせっかくの生田斗真の演技の出来まで台無しにしかねない、ほんまミスキャストや。
そして、脳男のスーパーマンぶりは納得できるのだけど、しかし痛みを感じないとは言え、肉体はサイボーグでも何でも無い生身の人間なのだから、壊れる時は壊れるはず、しかし壊れない、というのはもうお話しのリアリティからいうとほんま寒すぎる。

それでもこの映画は「ダメな映画」とは言えない、何か不思議な魅力があって、引き込まれた。
なんとも言えない魅力を感じた映画だ、だから続編を期待しする、きっともっといい映画になると思う。
ずーっと曇っていたのに、ラストのシーンだけすっきり青空、これも続編への伏線かな?(^_^)ニコッ
敵キャラも頑張っていたなあ、緑川紀子を演じる二階堂ふみ、水沢ゆりあを演じる太田莉菜、異常者ってな香りをふんだんに醸し出していた、まじキモ怖かったし。
若干、最後の病院のシーンでは緑川のキャラがぼけちゃったのが残念だったが、これは役者の問題ではなくて脚本・演出の問題。