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「『在職老齢年金』の減額制度、見直しへ 基準『62万円超』引き上げ案軸に検討」について

2019-10-15 | 書記長社労士 法改正 社会保険

「在職老齢年金」の減額制度、見直しへ 基準「62万円超」引き上げ案軸に検討 毎日新聞2019年10月9日 20時15分
 働いて一定額以上の収入がある高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金」について、厚生労働省は9日の社会保障審議会の年金部会で対象者を縮小する案を示した。現在は、賃金と年金の合計月額が60代前半で「28万円超」、65歳以上は「47万円超」で年金が減らされるが、減額基準を「62万円超」にそろえて引き上げる案を軸に検討する。


 このニュースについて良く聞かれるので、軽く解説。
今現在、ざっくり説明するとすれば、65歳までの年金受給者が働く場合、月の年金と賃金の1ヶ月相当分の合計が28万円を超えた場合、超えた分の50%分、受け取る年金が減額される。
65歳以上は、同じく月の年金(老齢厚生年金の分のみ、老齢基礎年金は除く)と賃金の1ヶ月相当分の合計が47万円を超えた場合、超えた分の50%分、受け取る年金が減額される。
さらに、これは理屈がなくて納得いかんが、70歳以降も厚生年金適用事業所に勤務している場合は、厚生年金保険の被保険者でないのに、65歳以上の方と同様の在職中による支給停止が行われる。
とにかく、これを在職老齢年金制度という(以下「在労」)
65歳以降の47万円ってハードル高くて対象者は少ないが、65歳未満の28万円は対象者が多く、せっかくもらえる年金が減らされるってことで、損した感が強く就労意欲を削る、という批判が多い。

 60代前半の在労対象者は、約67万人で、これによって削減できてる年金支給額は約4,800億円(2019年度末の推計値)。
大きな金額やけど、でもこれは特別支給の老齢厚生年金の対象者の制度なんで、男性昭和36年4月1日生まれまで、女性は昭和41年4月1日までに生まれまでしか対象にならないってことで、男性2025年、女性2030年で終わる制度、だから厚生労働省としてはあんまり問題にはしていない。
一方、65歳超の在労は、約41万人・約4,100億円(2018年度末)で、しかもこれは老齢厚生年金を受給されるすべての人に当てはまるってことで、将来にわたって適用されるので、うっかり「在労」が廃止されると、年金支給額が増えるってことで、財政的には痛い。


 だから、厚労省は、10月9日の社会保障審議会年金部会において、厚生年金保険料の算出に用いる「標準報酬月額」の最も高い等級が「62万円」であることを踏まえ、65歳以上を対象とした制度について、①減額基準を62万円超に引き上げ、または②全廃、の2案を示した。


 60代前半は、厚生年金の支給開始年齢の65歳への引き上げが完了(男性2025年、女性2030年)することを踏まえ、①自然消滅を待つ、または②62万円超に引き上げる、の2案を提示した。

 減額対象を縮小するのが軸となっていて、高齢者の就労拡大につなげる考えだが、笑えるくらいいじましくて、苦慮したことがにじむ、笑える数字。
部会の有識者からは効果への疑問や、年金財政の悪化を懸念する声が相次いだそうだが…(爆)。


 実はこれは、8月27日、同年金部会に示され公表された「2019(令和元)年財政検証結果」のオプション試算の中に以下の通り、織り込まれていることが前提ってことは留意すべき。

オプションB 保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択
①基礎年金の拠出期間延長 基礎年金給付算定時の納付年数の上限を現在の40年(20~60歳)から45年(20~65歳)に延長し、納付年数が伸びた分に合わせて基礎年金が増額する仕組みとした場合
②在職老齢年金の見直し 65歳以上の在職老齢年金の仕組みを緩和・廃止した場合
③厚生年金の加入年齢の上限の引き上げ 厚生年金の加入年齢の上限を現行の70歳から75歳に延長した場合
④就労延長と受給開始時期の選択肢の拡大 受給開始可能期間の年齢上限を現行の70歳から75歳まで拡大した場合、65歳を超えて70歳、75歳まで就労した者が、受給開始時期の繰下げを選択すると給付水準がどれだけ上昇するかを試算。
⑤就労延長と受給開始時期の選択肢の拡大(オプションB-④に①~③の制度改正を加味) 上記①~③の制度改正を仮定した上で、受給開始可能期間の年齢上限を 現行の70歳から75歳まで拡大した場合、65歳を超えて70歳、75歳まで就労した者が、受給開始時期の繰下げを選択すると給付水準がどれだけ上昇するかを試算。


 安倍晋三「不安倍増」内閣としては、今、老齢年金の繰り下げ支給をすれば「お得」ってことがアピールしたい。
しかし年金の繰り下げはなかなか選択されていないことに苛立っている(厚生年金受給者の1%程度、1.4万人しか選択していない、これは2016年数値だが、ほぼほぼ前からこの推移)。
みんなが老齢年金の受給を先送りしてくれたら、当面、年金財源の収支検証も先送りできるのに、って焦燥感があって、小泉進次郎が意味もわからず吠えてから「ねんきん定期便」の内容が変わってことがあった。
だから、今回の提案は、オプション試算を踏まえて、年金の給付水準の物差しになる所得代替率が好転するであろう、③と④から⇒⑤ってなのを視野に入れて、年金受給の「繰り下げ」を促進することが一番の目的であるのだろうな、と思う。

 ちゅうても、老齢厚生年金の繰り下げ支給については、メリットよりデメリットが多くて、この減額基準を「62万円超」にするということでは、「受給開始時期の選択肢の拡大」とはならないと思うのが実感。
そやな、老齢厚生年金の繰り下げ支給について、今度、書こうかな。

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