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通勤手当は社会保険料の賦課対象

2014-04-03 | 書記長社労士 社労士
 「なんで社会保険料に通勤手当の額が入るの!遠距離通勤やと損やん!」って言われたけど…わたしに怒られてもねぇ…(^0^;)

 社会保険においては、報酬について、「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受け取るすべてのものをいう」と規定し、通勤手当等各種手当を保険料算定の基礎として取り扱われている。
しかし、民主党政権時代に、通勤手当を社会保険料の賦課対象とすることは公平性の観点から問題であるとの指摘があったこと等を踏まえ、当時の辻泰弘厚生労働副大臣の発意により、今日的な報酬等の範囲に関する検討会が、厚生労働省内に設置され、2012年の9月中に3回にわたって議論が行われたが結論には至らなかった。

 結論に至らなかった理由としては、「通勤手当を保険料の算定対象から除外することについては、他の手当と取り扱いを区別する論拠が必要といった理論上の課題」、「保険料収入の減少への対応という財政上の課題」、さらに保険料収入減を補うために保険料率が引き上げられたとしたら、企業規模、業種、所得水準などによる支給状況の違いによる「大企業から中小企業への負担の移転という社会的影響の課題」などがあったようだ。

 通勤手当(通勤費(交通費)実費相当額の全額又は一部の支給)の取り扱いは、各法律で、次の通りとなっている。

・労働基準法第12条 平均賃金の算定基礎 … 含まれる
・労働基準法第37条 時間外、休日及び深夜労働の割増賃金の算定基礎 … 含まれない
・最低賃金法第4条第3項 最低賃金の対象となる賃金 … 含まれない
・労働保険徴収法第2条第2項 労働保険(労災保険・雇用保険)の算定基礎 … 含まれる
・健康保険法第3条第5項・厚生年金保険法第21条 健康保険料・厚生年金保険料に係る標準報酬月額の算定基礎 … 含まれる
・所得税法第9条・第28条 所得税の課税対象(給与所得) … 1か月当たり10万円を限度に非課税

 ちなみに

「健康保険・厚生年金保険の通知」
 報酬の範囲について(昭和27年12月4日保文発第7241号 厚生省保険局健康保険課長)
御来示の通勤手当はその支給の方法として一応3ヵ月又は6ヵ月ごとに支給されているとしても、支給の実態は原則として毎月の通勤に対し支給され、被保険者の通常の生計費の一部に当てられているのであるから、これら支給の実態に基づいて当然報酬と解することが妥当と考えられます。なお取り扱いに当っては実情を調査の上適正を期されたい。

「労働保険の通達」
 通勤定期券(昭和25年1月18日付け基収第130号、昭和33年2月13日付け基発第90号)
問 ○○通運株式会社○○支社では労使間の協定書により通勤費として六ヶ月毎に定期券を購入し、それを支給しているが、このような通勤定期券の支給は法第十一条の賃金と解すべきか。
答 設問の定期乗車券は法第十一条の賃金であり、従って、これを賃金台帳に記入し又六ヶ月定期乗車券であっても、これは各月分の賃金の前払として認められるから平均賃金算定の基礎に加えなければならない。

 ところで、結論に至らなかった理由に「保険料収入の減少への対応という財政上の課題」というのがあることに違和感を持つ人もいるかもしれない。

「自分が払った保険料に、国庫負担が上積みされて、将来年金で貰うのだから、保険料が減っても将来貰う年金が減るので関係ないじゃないか、ましてや国庫負担も減るので国の財政負担も減るじゃないか」

 それは、年金の財政方式が、積み立て方式(将来の年金給付に必要な原資を、保険料で積み立てていく)ならそうなのだが、日本の年金の財政方式は賦課方式(必要な年金原資を、同時期の現役世代の保険料で賄う)が採用されているため、「保険料収入の減少への対応という財政上の課題」ということになるのだ。
働く現在現役の人が払い込んだ年金保険料を、現在の高齢者に支給する仕組みになっていて、この賦課方式によって「世代間扶養」が実現されているので、働く現在現役の年金保険料が減ると、高齢者に支払う時に困るのだ。
とほほ。

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1 コメント

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法的根拠はこれ (怒れる傷心者)
2014-04-03 13:07:00
通勤手当を賃金として認める法的根拠は民法485条にあります。
「労働債務の提供」
債権者(使用者)の場所迄、自らの労力を提供するために労働者(債務者)が移動することになります。
そして民法485条は
「弁済の費用については別段の意思表示がない限りは労働者(債務者)の負担とする。」
つまり、本来は通勤手当は支給されなくても文句を言えないのです。
しかし、労働条件で通勤手当支給となると、本来は労働者(債務者)負担が原則なのに別段の意思表示をしたことになります。
結果として、賃金(手当)が支給されたことになります。

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