労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

【メモ】ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用

2022-08-25 | 書記長社労士 労務管理

 ジョブ型雇用とは、企業があらかじめ定義した職務内容(ジョブ)に基づいて必要な人材を採用する制度で、職務の内容(ジョブ)は職務記述書(ジョブディスクリプション)に明記され、従業員にはその職務に基づいたスキルや仕事内容が求める。「仕事に人をつける」を具体的に実践する制度とも言われている。

〇概念
【ジョブ型雇用】「仕事に人をつける」
【メンバーシップ型雇用】「人に仕事をつける」
〇職務
【ジョブ型雇用】特定された職務に労働者を雇用する
【メンバーシップ型雇用】職務は特定されない
〇配転
【ジョブ型雇用】配転には労働者の同意が必要
【メンバーシップ型雇用】配転は職務命令の行使による
〇賃金
【ジョブ型雇用】職務によって賃金が決定される
【メンバーシップ型雇用】能力(人)によって賃金が決定される
〇評価・査定
【ジョブ型雇用】は俗語の評価・査定は想定されない
【メンバーシップ型雇用】評価・査定を行う
〇契約内容
【ジョブ型雇用】契約内容は個別契約書で定める
【メンバーシップ型雇用】契約内容は就業規則で定める
〇職務がなくなれば
【ジョブ型雇用】職務が無くなると解雇(ただし、濫用法規)
【メンバーシップ型雇用】職務がなくなると配転


 日本企業の雇用制度は、「メンバーシップ型雇用」と呼ばれており、ジョブ型雇用と対をなす概念となっており、採用は新卒者の一括採用を基本として、採用のタイミングでは明確な職務(ジョブ)を提示することなく、採用後の研修とジョブローテーションの中で、経験やスキルを身に着けていくという制度である。「人に仕事をつける」という考え方で、まずは会社に帰属するということを第一義とし、次に将来性や現在の業務状況等を加味しつつ、どちらかというと企業に長期で在籍することを前提として、社内研修やOJTによってスキルや専門性を徐々に身に着け、最終的に従業員の成果を最大化することで企業にメリットを生むという人事制度だ。
メンバーシップ型雇用である日本と、ジョブ型であるアメリカ、ドイツとも比較しておく。

〇タイプ
【日本】メンバーシップ型
【アメリカ】ジョブ型
【ドイツ】ジョブ型
〇職務の定義
【日本】明確化されていないケースが多い。
【アメリカ】職務記述書に明確化されている。
【ドイツ】職務記述書で明確化。企業個別のものだけではなく、組合、商工会等で全国共通の職業像が合わせて明確となっている。
〇賃金体系
【日本】職能資格制度に基づいた年功序列型が基本。ただし近年、役割給や成果給の割合が増加。
【アメリカ】職務グレードに応じて支給
【ドイツ】職務グレードに応じて支給。ただし職能型の要素も加味されている傾向。
〇採用
【日本】新卒一括採用が基本で採用時は明確な職務が決まっていないケースが大半。雇用流動性が高まり、中途入社も増加傾向。
【アメリカ】新卒の一括採用はなく職務が新設、空きが発生したときに行う。職務記述書をもとにして採用。
【ドイツ】新卒の一括採用はない。職務記述書をもとにして採用。
〇キャリアアップ
【日本】定期異動に伴って経験やスキルを積みながら、30代中盤から管理職に昇格していくのが一般的。
【アメリカ】キャリアアップが必要な場合は、転職で外部市場に求めることが一般的。スキルアップは個人の努力が基本。
【ドイツ】職業像に合わせて教育が行われるため、若い年代で専門分野が決定される傾向。キャリアアップが必要な際は、社内の異動を優先、異動先が外部で転職というケースが多い。
〇解雇
【日本】制限が厳しく、余程のことがない限り発生しない。
【アメリカ】職務がなくなれば解雇が一般的。
【ドイツ】職務がなくなった場合、社内における異動をまず検討。解雇に対する制限は日本以上に厳しい。


 なお、「ジョブ型雇用=成果主義」ではない。
解雇の自由度の高さはジョブ型雇用といっても、解雇権濫用法理(労働契約法第10条)の適用がある以上、容易とはいえない。
一方で、「メンバーシップ型雇用」では、就業規則による集団的労務管理が可能で配転命令権も有しているが、ジョブ型雇用では、その利便性が失われることに留意が必要。
さらに「労働条件の変更」について、有期の契約・無期の契約については、有期の場合、契約更新時に労働条件の変更を打診することになるが労働者がこれに応じない場合には雇い止めもあり得るが労働契約法19条の要件を踏まえた慎重な検討が必要であり、無期の場合であっても労働条件の変更を打診した際に労働者が応じなければ変更解約告知があり得ることになるが、労働契約法16条の解雇権濫用法理の適用を踏まえた慎重な検討を要する。

 「ジョブ型雇用」がトレンドといわれる要因
①経団連によるジョブ型雇用へのシフトの提言【2020年版 経営労働政策特別委員会報告(2020年1月21日 一般社団法人 日本経済団体連合会)】
②在宅勤務/テレワークの定着による影響

 「メンバーシップ型雇用」でやってきた日本企業が、ジョブ型雇用制度を検討する際、向き合い方の留意点
①本来型のジョブ型雇用にすぐ至るものではないはず
②必要なのは企業の目的実現のため、さらにはそこで働く社員がどうあるべきかであり、ジョブ型雇用導入自体が目的となってはならないはず
③ジョブ型雇用をメンバーシップ型雇用との対立軸とせずに、むしろメンバーシップ型雇用との共存および補完的存在としてスタートすることが現実的なはず
④ジョブ型雇用制度導入の検討を進めることによって、現行の職務・組織・従業員の成長・パフォーマンス発揮の改善、あるいはメンバーシップ型雇用における課題の解消を探ることが先決なはず
⑤いずれにせよ、ジョブ型雇用やメンバーシップ型雇用はあくまでしくみであり理念ではないはず



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