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宗教は人類にとって必ずしも必要なものではないとのこと

2012-01-27 10:36:28 | 読書ノート
パスカル・ボイヤー『神はなぜいるのか?』鈴木光太郎, 中村潔訳, NTT出版, 2008.

  認知科学的視点から宗教について考察した書籍。著者はフランス出身の人類学者だが、主な活動場所は英米のようである。宗教の機能についての通常の説明──「世界を説明する」「不安を取り除く」「社会に秩序と道徳を与える」「認知的な錯覚である」──は間違いだというのである。

  宗教は人類が進化の上で獲得した認知機能の副産物であるというのが、その基本的な主張である。人類は、進化の途上で形成してきた思考のクセのせいで、神や霊、それらによる因果関係の説明といったものを受け入れやすくなっている。しかし、宗教は必ずしも適応の面で必要なものではない。それはペットに対する愛情のように、遺伝子を広めるのに役には立たない。

  大半の内容は、ではどのような認知機能が、神や霊による因果的説明、儀礼、死に対する宗教的認識、教義などを産み出すのかを説明するものである。議論は錯綜しており、すっきりしたものではない。説明は丁寧だが、説得力の上で微妙なところもある。しかしながら、進化心理学を理解しているならば、細かいところを抜きにしても大胆で面白いアプローチだと思えるだろう。
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