29Lib 分館

図書館・情報学関連の雑記、読書ノート、音楽ノート、日常生活の愚痴など。

初期ダイアナロス・ミーツ・ボサノバ

2017-03-15 21:05:45 | 音盤ノート
Julie Dexter & Khari Simmons "Moon Bossa" Brash Music, 2007.

  R&Bとボサノバの混交。Khari SimmonsはJivaのリーダー。ボーカルをとるJulie Dexterは英国出身の黒人女性歌手で、喉だけで歌う──すなわち全身を使わない、あまりソウルフルではない──初期ダイアナ・ロス系統のボーカルスタイルである。彼女は、現在アトランタ在住らしく、そこでカーリ・シモンズと知り合ったようだ。

  シモンズ作4曲(共作含む)とデクスター作1曲が収録されているけれども、本作はカバー曲が良い。ジョビンの'Wave'は定番だし、セルジオ・メンデスの'Salt Sea'あたりは予想の範囲内だが、Everything But The Girlの'My Baby Don't Love Me'、Basiaの'Promises'、Swing Out Sisterの'Fooled By A Smile'は趣味が分かる選曲である。英国ブルーアイドソウルおよび英国AOR系が好きなわけね。デクスターの控えめですっきりとしたボーカルスタイルはボサノバアレンジとよく調和しており、オリジナルとは異なった魅力を引き出している。特に'My Baby Don't Love Me'はEBTGのオリジナルを超えており実に素晴らしい。これらの他にはリミックス曲がボートラとして収録されている。

  英米盤の曲数は14曲だが、P-Vineによる日本盤は15曲ある。名義も「ジュリー&カーリ」に変更され、ジャケットも日本盤では水色を背景にドリーミーな馬のイラストとなっている──一方、オリジナルの英米盤では二人の写真を掲載している。日本盤ではあまりソウルっぽさを強調したくなかったのだろう。確かに女性ボーカリストによる洗練されたポップアルバムとして非常に聴きやすく、カーリ・シモンズ関連ではこれを最初に手に取るべき傑作だと感じる。

  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする