「職業は武装解除」(瀬谷ルミ子著 朝日新聞出版)はJCCPの理事をされているU先生のお勧めや、NPOCULLの他の理事のお勧めもあり読んだのだが、素晴らしい本であった。傾聴について今書いているわけであるが、この本の中でも紛争地帯での心のケアについて触れられていて、ある地域で5500人のうち四分の一の住人が、何らかの心のケアが必要という数字にも驚かされた(日本の大震災をふと想ったり)。
今日は、傾聴が自分にとって何だろうと考えている。もう、十年くらい前になるが、生き甲斐の心理学を学び始め、勉強会にも2-3回参加し傾聴の何たるかが少し判って来たころである。娘が深刻な問題に遭遇し困り果てていたことがあった。ちょうど傾聴を学んでいることもあり、真剣に傾聴したことを覚えている。そして、その傾聴がきっかけで事態が好転していった。
傾聴訓練で6つのポイントを学ぶが、「熱意」というものがある。嫌いとかのネガティブな感情、関心が持てない、そんなことで人の話を熱意をもって真剣に聴きけなくなくなる。それを乗り越えるためには前向きな人間観が必要である。当時、傾聴訓練もままにならなかったが、恐らく娘との絆を深めたのは、真剣さ(背後の人間観)だったと思う。
世の中には、人と会う仕事がある。営業、教師、医師、看護師、相談員、カウンセラー、心理療法家・・・。嫌いな人も好きになるような熱意で(その背後には前向きな人間観が必要だが)接するのがプロだと思う。
さて、最近停滞感をときどき感じている。何か、生ぬるいという感覚。その原因のひとつは、ある勉強会の時、人の話を熱意をもって聴けてなかった自分を発見したときであった。
ケアとは何か、熱意とは何か、もう一度反省しつつ考え直す時期に来ているのかもしれない。
傾聴力 3/10