熱帯魚・金魚・犬

愛するペットとの日々

ある少女の物語

2006年10月02日 | Weblog
私のパパとママは私が7歳のときにいなくなってしまった。
交通事故。

それからしばらくして私には「おとうさん」と「おかあさん」ができた。
あと「おねえちゃん」も。

「おとうさん」はパパの弟で
すごくやさしい。

パパは私のことをよく大きな声で怒ったけど、
「おとうさん」は私がよくないことをしても
静かな口調でそれがいけないことだと教えてくれる。

「おかあさん」も「おねえちゃん」も
すごく私にやさしくしてくれた。
私は突然家族の中に割り込んできたのに。


1年経って「いもうと」ができた。
当たり前のことだけど
家族のみんなの目は妹に集まって、
私にかまっている時間が少なくなって
私はやっと、
なんとなく家になじんできた。


そして「いもうと」が小学生になるときに問題がおきた。
部屋が足りなくなったから。

家は「おとうさん」と「おかあさん」の部屋、
「おねえちゃん」の部屋、
それに私の部屋。
私はなんだかもうしわけない気持ちでいっぱいになって
でもどうしたらいいかわからなくなって、
少しずつ自分の荷物を片付けて部屋を空ける準備をしてみたりした。
だって私がいなければ何にも問題はおきなかったから。

もともとあんまりしゃべらなかったけど、
食事のときにぜんぜん話をしなくなった。
その頃から「おとうさん」と「おかあさん」は
小さな声で何かをと相談するようになった。
私はどんどん、どんどん、どうしたらいいかわからなくなってた。


そしてもうどこかにいってしまおうと思っていた
ある日の食事のときに「おとうさん」がこういった。

「リハウスしよう」

今から考えると「おとうさん」は私の変化に気づいてくれてたんだと思う。


「みんなの部屋がある家に引っ越そう。」

「おとうさん」のひとことでずいぶん私は楽になった。
いつも首と胸の間あたりに詰まっていたもやもやが、
少しずつ消えて、新しい家の話にも入れるようになった。


家族みんなでどんな家にしたいか話をしてるときに
「おねえちゃん」が「おとうさん」に聞いた。

「おとうさんはどうしたいの?」

「おとうさんは別にいいよ」
新聞を読みながら「おとうさん」は静かに答える。

「またぁ」
「おとうさん、いつもそうなんだからぁ」

「おねえちゃん」と「いもうと」が
「おとうさん」をからかうようにして笑ってると
「おかあさん」がこういった。

「おとうさん、書斎が欲しいのよねぇ」

わたしはその言葉をきいた瞬間に
じっとしていられなくなった。
ほんとに、ほんとに「おとうさん」にありがとうを言いたかった。
私を引き取ってくれてありがとう。
育ててくれてありがとう。
自分のことを我慢してまで、
ほんとに、ほんとにありがとう。


でも言葉が口にでるより前に体が動いてた。
わたしは、おとうさんの手を引っ張って
家の近くの不動産屋さんに走っていた。


カウンターに座って、
息をきらせて私は言う。

「書斎のある家、お願いします!」

おとうさん、ありがとう。
言葉にできないけど、私はおとうさんの望みをかなえたい。
そしておとうさんの顔を見る私。
喜んでくれてるかな、おとうさん。

おとうさんは私のほうを見ると
静かにこういった。






「お前がきめることじゃないだろ」




というCMをきっかけにした妄想。

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