(イラク子供保護センターから)
2007年4月4日
イラクの子どもの状況についての簡単な報告
アザド・アフメド イラク子ども保護センター所長 2007年4月4日
イラクの子どもたちに直面している問題は多数あるが、主要でより重要なものとし
てそのいくつかについて、以下話したい。
第1に:
子どもたちに直接影響を与えるのが、全てのイラク人の問題である安全の欠如の問
題だ。バグダッドで毎日起こる爆発についてきっと聞いたことがあるだろうが、2005
年にバグダッドの小学校の近くで発生した爆弾の爆発は23人の子どもを殺し、2007年
4月にはキルクークのラヒム・アワ地区で新たな爆発事件が発生した-バグダッドの
アル・アインマ橋の事件の前でしばらく調べたら、何百人もの子どもたちの命を奪っ
たことが分かるだろう。そしてこのような事件が毎日起こっているのである。
言っておきたいが、爆弾の爆発は子どもたちを殺すことだけが問題なのではなく、
助かった残りの子どもたちに何も問題がないかといえばその正反対なのであり、生活
の中に安全がないということは子どもたちに様々な影響を与えるのである。このよう
な爆弾の爆発と様々なグループの間の内部抗争がどんなに子どもたちに影響を与える
のかは、容易に想像がつく。
何十人もの人々を殺し、首を切り取り、人体を切り刻むということが子どもたちに
どんな影響を与えるかを想像してみよう。このようなこと全てが6歳から7歳の子ども
たちの見ている前で起こっているのであり、父親になるにあたって、人生を生きるに
あたって、人間として、子どもたちの内部にどんなことを生み出すのかを想像し考え
てみよう。
その影響が人生の長い期間残ることは間違いない。
第2に:
政府とその関係機関の公式統計によると、少なくとも子ども一人を持つ両親のうち
の一方を失ったのが300万家族以上になる。両親のうちの一方をなくし誰からも同
情を受けない子どもが少なくとも300万人いるのであり、子ども達がどんなに否定
的な影響を受けるのかは容易に想像がつく。
第3に:
子どもに対する虐待や、非人道的行為や、厳しい労働や、学校や本を失うことや、
不健康な社会サービスを受けることや、ミルクも遊びも水も電気も遊びのための安全
な場所もない…など、そして貧困であり、貧困線以下の生活をしている家族は子ども
たちに莫大な問題をもたらすのであり、その影響は世界の他のどの国よりも大きい。
その上、マフィアや武装ギャング達が扱っている麻薬を子どもたちが吸うというの
は悲惨なことであり信じがたいことである。
2005年に保健省が発表した統計によると、バグダッドには麻薬を吸っている子
どもが7000人いるが、最悪なことに、この現象に対する対策は政府によって何も
行なわれていない。その結果、この数は日ごとに増大しているのである。
年齢が6から7歳の子どもに対して性的虐待を行い、10から12歳の子どもを妊
娠させるということがおこなわれている。イラクのほとんどの州で子どもとセックス
をする場所を見つけられる、ホームレスの子どもがゴミ集積場の食べ物を食べ、路上
で寝ている。イラク子ども保護センターの我々はこうしたことについてのドキュメン
タリー・フィルムを持っている。
第4に:
我々は別の問題も見つけることができるが、過去にはなかったもので、それはすな
わち、移住とホームレスである。
子どもたちがこの事象の最初の犠牲者であることは明らかである。
家族が町に住んでいて住む家がある子どもたちを見てみても、問題を抱えているの
だから、ホームレスであったり故郷に向けて移住してきたり、学校の中や古い家屋に
住んだり、その他、学校や家や健康や病院や医療など、生活に必要なものを失った子
供たちはどうなるのだろうか。宗教グループや部族の間の紛争から逃がれて故郷を離
れた人々にとってのその結果を例としてあげると、36万5000人が別の場所に住
んでいるのである。
我々イラク子ども保護センターはそうした子どもたちの生活について知るために子
どもたちを訪問したら、発展途上国の生活とも比較が出来ないし、正常な生活とさえ
も比較ができないということに気がつき分かったのである。
ショルージャ地区に近いバグダッド中心部のアル・メイダン地区を訪問した時,
我々は家族と子どもたちが古い家や泥だらけの家や壊れた家に住んでいて、電気や水
や生活の基礎的必要物資の話が全く聞かれないことに気がついた。
今日では子供たちにとって新たな問題が起こっているが、宗教の教義を教え込むな
どして、子どもたちを武装勢力に入れ、自爆攻撃を行って人が混雑する場所で自分の
身体を爆発させる準備をさせている。
盗みや犯罪を働いたと訴えられて、何千人もの子どもたちが、その多くは家族と一
緒に牢獄に入れられている。
私はイラクの子どもたちが被害を受けている状況をこのような短い報告によって明
確で完全な形で見せることはできないと考えている。ただ私は、イラクの子どもたち
の生活の実情を見せようとしたのである。
重要なことを見せたいのだが、私たちイラク子ども保護センターはドキュメンタ
リーを持っていて、それはグローバル化の21世紀にイラクの子どもたちの生活がど
んなものであるのかを誰でもが肉眼で見ることができようになっている。
(ここまで)