タイトル----学は立志より要なるはなし。第1011号 23.10.09(日)
『言志録』 6 学は立志より要なるはなし。
学は立志より要なるは莫し。而して立志も亦之れを強いるに非らず。只だ本心の好む所に従うのみ。
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〔訳文〕 学問をするには、目標を立てて、心を振いたたせることより肝要なことはない。しかし、心を振いたたせることも外から強制すべきものではない。ただ、己の本心の好みに従うばかりである。
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〔付記〕 物事を成就するには、立志だけでは駄目である。まず志を立てる。これは発心である。次は実行に踏み出す。これは決心である。これだけではまだ駄目で、これを成功するまで継続しなければいけない。これを持続心という。
とにかく、立志は人をしていきいきとさせることは確かである。
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私の青年時代、弟の友達が、勉強勉強といって一所懸命になっていたことがありました。あれから60年になりますが、その青年たちがどういう人生を送ったのか興味のある処です。それでも私は、貧乏世帯で進学する金がなかったからか、余り興味を示しませんでした。
当時私は、分けはわからないまま文学全集とか哲学書とか、買い求め読んだ記憶はあります。ただの恰好つけだったのかな、と自分でも分からないのです。
上の〔付記〕に書いた、発心・決心・持続心は大変大事なことです。昔は---長生き---という言葉はあまり耳にしませんでしたが、近年、健康で長生きという言葉を聞くようになりました。人生を謳歌し、長生きをしたい方は是非、発心・決心・持続心をスローガンにしてほしいと思います。
折角の人生に、自分らしいことで、人様のお役に立つものを残す、これは意義あることだと思います。忍耐も努力も大事ですが、あの人は良かった、いるだけで周囲が明るくなった、あの人とは多くの人が協調して物事に取り組んだものだ、言えるような、その人いわゆる「忠恕」という言葉を思い出すような存在でありたいと思います。
政治の世界でバラマキという言葉が喧伝されていますが、これは一見親切に見えるけれども、人々の背骨を蝕むことになりかねないのです。人々が働かなくなり、遊びギャンブル、異性交遊にうつつを抜かすようになったら、国家は一世紀せずして崩壊の憂き目に遭遇するかもしれません。
苦労して働いて、行燈のもとで活字を読み、そして社会に奉仕する気概を持つことが出来る人間になるべく、周囲は暖かいレールを敷設してあげるべきだと思います。