宗教論
寛政六年(1794)、 蟠桃は故郷神爪(現、高砂市米田町神爪)村の正覚寺住職に仏教問答めいた書簡を送っています。
十項目ほどのか条にまとめているが、彼の考え方がよく分かります。
その内、一つだけであるが読んでおきます。
・・・ある(仏教の)経典によると、西方十万億土の地には極楽と呼ばれる別世界があって、阿弥陀と呼ばれる仏がおられるとのことです。
しかしと地球の周囲は、日本里で計るとおよそ一万里(約四万キロ)で、西方十万億土という場所は、まったく見当がつきません。
十万億里というのは、地球を一万回ぐるぐる回る距離のことでしょうか。
インド、中国、日本はともにアジア州に属しています。その西はアフリカで、さらにその西は海を越えてアメリカ、さらに海を越えると日本に戻ってきます。
つまり、いくら西に向かっても極楽には到着できないのです。
蟠桃は、いくら西に向かってみても地球をぐるぐる回るだけで、極楽などにはぶつからないと断言する。・・・
彼の合理(科学的)主義が読み取れます。(no3430)
*『蟠桃の夢(木村剛立著)』(トランスビュー)参照
*写真:正覚寺(高砂市)米田町神爪:蟠桃の菩提寺)