アサヒグラフ別冊「映画と演芸」1956年4月号から、その頃来日していたウィーン少年合唱団の練習の模様です。
声楽家の木下保氏(1903-1982)が東京・駿河台のホテルに宿泊中の合唱団を訪れました。
↑ 左がアルト、右がソプラノ。練習はまずこの二人から始まる。トラック氏は伴奏を弾きながらめいめいの発声法や一字一句の発音、表情などを訂正する。二人は注意深くその言葉を聞いて歌ってゆく。こうして約20分間で立派な独唱部ができあがる。
↑ 独唱の二人の練習が終るころ。いつの間に入ってきたが気がつかないほど静かにみんなが並んでいる。日本のように形式的な敬礼などは一切抜きで。トラック氏はすぐ練習についての説明を始める。
↑ 僅かのリズムのずれや音程の狂いも決してききのがされない。すぐ演奏は中止。悪い者は完全になるまで何度でも歌わされる。時には立ち上がって真剣に指揮者と意見をたたかわせる者もある。
↑ 創立以来450年。何百人が四組にわかれ、一組はウィーンに、他は各国を廻っている。ステージでは白いセーラー服に黒ズボン。両手を後に組んで歌う。
↑ 母音の「イ」の口のかたち。
↑ 独唱の部分を練習するソプラノとアルトを歌う少年の口の形。口が無理なく自然に開かれているので、声は口の中、上あご、鼻腔、前歯などにひびいて深いニュアンスのある柔らかい歌声になる。
上から、「ウ」「エ」「オ」「ア」の模範的な口の形。このように無理をしなければ高い声も出やすいわけである。日本の子供もこうした歌い方をさせれば美しい声が出る筈だ。
↑ 「日本では無理に大きく口を開く子供の声は扁平でうるおいのないものになってしまうのです。ウィーンの少年は一人一人に合った口の開き方を教えられているのです。」
。。。なるほど、自然な声を出すには人それぞれ口の開き方がちがってていいんですね。
↑ 1956年12月20日NHKホール。総勢21名。
【朝日新聞、船山克氏撮影】
ウィーン少年合唱団のオールドファンにとってこの記事はたまらなくノスタルジーを掻き立てます。
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