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グレイナーの企業成長モデル

2008-12-04 00:00:40 | MBAの学び

ベンチャー企業の授業で、グレイナーの企業成長モデルの説明がありました。1972年にハーバード・ビジネス・レヴューに掲載された理論です。グレイナー教授は日本ではあまり知られていないようですが、この論文の引用は経営学の大御所であるドラッガーと並んでとても多いそうです。

最初、授業で説明を受けた時は、理解ができなかったこともあって、いまひとつピンと来ませんでした。しかし、後で、テキストを復習したり、書籍や文献に当たっていくにつれて、非常によく考えられていて、納得感のある理論だということを感じることになりました。

グレイナーの企業成長モデルを簡単に説明すると、
・ 企業は5つの顕著な発展段階を経て成長する。
・ 組織は危機を乗り切るために、一定の変革と革命を行わなければならない。
・ 危機を乗り越えて新たな成長段階へと進む。
というものです。さらに5つの発展段階をくわしく説明すると、
・ 発展段階には成長するためのモデルがある。
・ 同時に、危機も発生する。危機を乗り越えるモデルがある。
としています。

5段階の成長モデルと危機とは、
第1段階:創造性による成長と統率の危機
第2段階:指揮による成長と自主性の危機
第3段階:委譲による成長とコントロールの危機
第4段階:調整による成長と形式主義の危機
第5段階:協働による成長と新たな危機
となります。おそらくこれだけみても、何のことか分かりにくいですよね。以下に私が理解するに至った経緯とともに、この理論を説明します。

私の場合、グレイナーの理論を理解する手助けとなったのは
1.「死の谷」と「ダーウィンの川」の概念
2.神田昌典さんの著書「成功者の告白」(講談社+α文庫)
3.ミンツバーグの組織論~「H.ミンツバーグ経営論」(ダイヤモンド社)
の3つでした。

1の「死の谷」と「ダーウィンの海」は有名な概念ですので、ご存知の人も多いでしょう。「死の谷」とは優れた技術を持ちながら、新製品や新事業につながらない状況をいう。「ダーウィンの海」は製品化してから市場浸透までの段階にあるギャップ、生き延びるか滅びるかの生死を分ける試練をいいます。企業のライフサイクルでは創業期にあたります。死の谷、ダーウィンの海を越えるには何が必要か?と考えると、グレイナーの第1段階で言っている成長モデルの意味が分かります。神田昌典さんの「成功者の告白」では、創業時の起業家はアイデアがどんどん湧いてくる、創造力があって行動力もある、いけいけドンドンで前に進む軍人タイプであるといっている。事業の立ち上げには興味があっても、内部の管理は興味がないか、向いていない人が多い、そうなるとシステム化ができなくて、統率の危機が発生する、ということです。

2の指揮による成長と自主性の危機は、内部をシステム化し、機能別組織に分化し、指揮系統も明確化することで、組織は効率的に回り出していく。これが指揮による成長です。神田さんの本では、この段階で企業は「起業家」に代わって、「実務家」が必要だといっている。実務家はアイデアを具体化し、日常業務を効率的に回すタイプである。実務家の登場によって、企業はシステム化され、成長期に入っていく。ところが、組織が大きくなってからも指揮が強すぎると、現場はダイナミックに変化しているし、顧客や市場の状況に合わせた業務遂行、もっとエンパワーメントしてほしいという要求が当然のごとく出てくる。これが自主性の危機です。

3の委譲による成長とコントロールの危機は、権限委譲をしたらしたで、トップが把握できないままに現場がどんどん業務を進めていってしまう。企業は部分最適がはびこってしまい、全社的な視点でみると非効率な組織になってしまう。そこで、コントロールをして統制を利かせる必要がでてくる。このあたりはミンツバーグの組織論で述べている「事業部制」の組織の長所と短所に当てはまると思った。ミンツバーグは「事業部制」は自主性をほとんど任せる組織形態であるといっている。自主性を与えるのと代わりに業績管理システムを課すことになる。業績管理システムは事業部の内部に大きな影響を及ぼす。影響とはリスクをとるイノベーションを阻害し、起業家のように新しいことに手を出さなくなること。また、業績の成果を求めるあまり、社会的な影響を無視せざるをえなくなること。この悪い影響を指摘しています。

4の調整による成長と形式主義の危機は、部分最適に陥った組織を全体最適の方向へ向かわせるために、全社の調整機能を強化する。調整機能によって、企業はさらに効率的な組織運営が行われるようになる。これが調整による成長である。ところが、これが行き過ぎると、管理が強くなりすぎた官僚的な組織へと向かい、形式主義がはびこる。これはミンツバーグの組織論では、「機械的官僚制」にあたると思われる。ミンツバーグは機械的官僚制構造が決して悪いものだとは言っていない。鉄道や自動車メーカーのように、効率的、正確を求め、大量生産に最も向く組織と言っている。経営環境が安定して、スタッフ部門による調整、分析機能が最大限発揮できる。業務は標準化が進む。ただし、欠点を指摘する。欠点とは退屈な繰り返し作業、つきまとう統制感、柔軟性のなさなどを指摘する。

そこで、最後の5段階である「協働」という概念が出てくる。グレイナーは論文を発表した1972年には想像もしていなかったと思うが、協働という概念は、ネットワークが発達した現代の組織を言うのではないだろうか。個々が高い専門性と自主性をもって業務を遂行しているが、決してバラバラではなく、ネットワークの中で、情報と知識の共有が活発に交換されている組織のことである。言葉で言い表すほど実際は簡単ではないが、少しづつそのような組織に近づきつつあるというのは、多くの人が感じていることだと思う。

以上、グレイナーの理論を述べてきましたが、ベンチャー企業が成長していく過程で、段階に応じた成長モデルと危機を乗り越える処方箋があるのだということを学べたことは私自身、とても有意義でありました。



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