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かつてのMBA(経営修士)学びレポート

教育における方法知について考えるPART.3   ~創発戦略から~

2008-11-22 10:02:25 | 大学教育・学び
前回は「方法知」における「態度」の大切さを書きました。
3つめの未知の状況や異なる価値観を受け入れる態度について、別の角度から考えていきたいと思う。

現在通っているMBAでは、「戦略論」を学ぶ機会が多い。基礎科目のひとつでもある「経営戦略徒マネジメント」があるし、「マーケティング」や「ベンチャー企業経営」の授業でも「戦略」は当然、触れられます。
戦略論には大きく分けると「市場ベースの戦略論」と「資源ベースの戦略論」がある。全社はポーターやコトラー、後者はバーニーに代表される。ところが、多くの方もご存知のミンツバーグはどちらにも属さない戦略論を提唱した。
「創発戦略」といわれるものです。

「創発戦略」とは、「知らず知らずのうちに生まれてくる戦略、あるいは何らかの意図があったとしても次第に形成されてくる戦略(H.ミンツバーグ経営論 ダイヤモンド社)」と呼んでいる。「戦略における学習」の視点が大切だとも言っています。

創発戦略が成功した事例は、『企業戦略論』(J.B.バーニー著 ダイヤモンド社)に書かれています。
・ホンダ :1960年代、アメリカの二輪車市場に初めて進出した。「大型で馬力の大きい二輪車を売ること」が戦略であった。しかし、全く売れなかった。中産階級が求めていたのは、小型スクーターであった。ホンダは戦略を変更し、小型スクーター市場で成功し、その後、大型バイクを市場に導入することができた。
・ジョンソン&ジョンソン :もともとは医療機関向けの殺菌ガーゼと医療用ギプスのメーカーだった。あるとき、医療用ギプスに対して皮膚に炎症を起こるというクレームが寄せられ、ギプスにパウダーを添えるようにした。それからまもなく、消費者から「パウダーだけを買いたい」という声が寄せられ、一般消費者向けパウダーを発売した。
・マリオット・コーポレーション :ホテルで有名なマリオットはもともとレストラン事業を営んでいた。レストランのひとつがワシントン郊外のフーバー飛行場に近いところにあった。レストランのマネジャーは乗客が機上での食事を買い求めるために自分の店にやってくることに気づいた。創業者のJ.マリオットがこれに注目し、イースタン航空と交渉し、一人分づつパックしたランチを飛行機に届けるビジネスを確立した。 

これらの創発戦略が成功した事例と方法知の態度を結びつけるのは少々強引かもしれませんが、「自分たちの外部と内部環境を真摯に受け入れる態度」が「方法知を学ぶ」ことに大きく作用し、その結果として「うまくいく」ことにつながるのだと思います。

もともと、日本人には日和見的なところがあるといわれます。農耕民族だったから天候を気にすることが多く、それが習性になったのかもしれません。一方、狩猟民族は、狙いを定めて狩りに行く。とても対比的です。
日和見的な態度には良いところがあります。企業であれば、それは顧客から学ぶ態度であり、現場から学ぶ態度です。日本企業には戦略がないといわれることも多いようですが、こういった創発戦略こそが多くの日本企業が採用した戦略であるといえるのではないでしょうか(さきほど紹介したとおりアメリカ企業も創発戦略で成功しているのですが)。それが、日本企業の強さではないでしょうか。



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