湖南オヤジのlast stand

50代オヤジのささやかなチャレンジ記録です。

2017 UTMB(TDS) 完走記録 (5)スタート~T3

2017-09-10 17:12:23 | ランニング

UTMB (ウルトラ トレイル マウント モンブラン)

最近はその規模の拡大に伴う、商業主義の拡大で、個人の自由な冒険心から始まったアメリカの ウエスタンステイツ 100 のようなレースから見れば、違和感がある大会システムになってきて、アンチUTMBの動きもあるみたいです。(野山を駆け巡る楽しみに規制をかけるな!!)

(UTMBももともと、冒険心、面白さからは始まっているが、すぐにシャモニーのシーズン端境期のビジネスにも結びつき、スポーツブランドの商売も後押しし、その後、エントリー認定レースなど、今の仕組みが出来上がっている。)

ただ、フランス、イタリア、スイスの昔からの魅力的な山岳リゾート地が結びついて、モンブランという絶景の中で普通の努力では達成できない「価値」を得られる、というチャンスに引き寄せられることは自己実現の欲求が高次にある人間の性であり、私は否定しない。(これを否定すれば今のオリンピックの汗と涙をすべて否定しなくてはならない。多くの可能性がシステムの中で潰れていく現実は直視しなければならないが、これは難しい問題。)

それにしても、イギリス、フランスという国はISOやEUの仕組みづくりは言うまでもなく、物事の標準化、システム化をうまくやってしまうなぁ、とエントリーからUTMB(TDS)の流れを経験してつくづく感心してしまった。

 

・・・・・・・・

 

で、私が参加したTDSとは Sur Les Traces des Ducs de Savoie の略称で、サヴォワ公爵領土の跡地に沿って、というような意味で、かつてのモンブラン一帯にあったサヴォワ公国を走る、という意味でUTMBとはニュアンスが異なるコース設定のレースです。

(サヴォワ公国:現在のイタリア北西部(シャモニー入りで紹介した道中のエリア)とフランス東部サヴォワ地方やジュネーヴも含んでいたすです)

コースはUTMBとはほとんど被らず、スイスに入らない、時計回り。

UTMB申し込み段階で、目論見としては2016UTMFを完走して、UTMBのエントリー権ポイントを獲得する予定であったが、レースが集中豪雨で途中中止。

結局、UTMBポイント未達。

実は2017年は勤続表彰年で、旅行代金の幾何かの補助と休暇の消化が義務づけられるので、この機会を逃したら、こんな山岳レース、普通のサラリーマン生活では絶対出れないので、奥さんの了解も取り付け何とか参加したかった。

それで、迷ったのは・・・UTMBの101kmレースCCC(クールマイヨールーシャンペックスーシャモニー)か、趣の違う119kmのTDSか迷うにことになるのだが・・・山の景色の雄大さはTDSが一番、という情報と、累積標高が7200mでエントリー倍率がまだ低い、という2点でTDSをポチリ。で運よく当選。ハイキングの延長で走り出した私は「絶景」という言葉に弱い・・・

 

それで、なんやかんやと8月30日、3時起床。

朝食のパンを胃にねじ込み、寝ている奥さんの安全登山を祈って部屋を出る。

 

出てから、「あれ、クールマイヨール行きのバスってどこから乗るの??」という状態。パンフは部屋。戻るか、と思ったらそれらしき姿の人たちが三々五々同じ方向に移動している。

これこれ、とついて行き、4時過ぎのクールマイヨール行きの大会バスに乗車。この展開、どこかで経験が・・、あれ、奥三河といっしょだ。

うたた寝していたら、クールマイヨール到着。

登りが始まるコース傍のスポーツセンターに向かって歩いていき、デポジットバック預ける。

その後、スポーツセンターで待機。

中は暖かいが・・・トイレに向かった途中のアイスアリーナは・・寒かった!

(後で知ったが、ここトルデジアンの表彰会場。小野選手があの中央で表彰されたそう・・)

5時半にはスタート地点に入っておこうと移動。

既にトップ集団は整列開始。

インターネットで見るトップ選手を身近に見ながら、後方の空きスペースに行くと、なんと、ず~~と後ろ。

まぁ、序盤は体調チェックで無理しないつもりなので気にしない。

日本人も結構参加しているはずだが周囲では数名。会釈で挨拶。

・・・・・

 

2017年 UTMB(TDS) 制限時間33時間 目標タイム30時間15分

(この後、目標タイムを29時間30分で設定しなかったことを大いにに悔やむことになるのだが・・)

で、私の状態は

 胃腸:3日間の洋食食べ過ぎで胃もたれ

 体重:確実に3kgオーバー

 足腰:座骨神経痛は慢性化、夏場は水分コントロールが悪い体質で足は浮腫み状態。

と、大丈夫か???という状況。

そこで、薬物依存。

 ロキソニン:6時間に1回

 ガスター10:12時間に1回

 足攣りに、マグオンエナジージェル、芍薬甘草湯

と、マグオン以外はいつもの組み合わせ。

ロキソニンとガスター10を飲み込んだらフランス語でカウントダウン開始。

 

6:00スタート スタート1818名

おんたけでトラウマとなってしまった最初のカットポイント T2 突破は9:30を予定。

 Pirates of the Caribbeanのテーマ曲が鳴り響き、これから困難に突っ込んでいくんだ!と会場テンションはMAX

だが、

・・・進まない。

 

のそろの前に進むと、クールマイヨールの繁華街。ここから流れが動き出す。

街を抜けスキー場への登りに向け下り

夜が明けてきて登り開始

ジグザグと続く行列。動きは進むがさすがに抜けない。まぁ、焦らない。

少し斜度が緩むと皆さんペースアップ。のんきに写真撮っている私はあっというまに順位を下げる。

ぜーぜー

けっこう急登。さすがスキー場。ぜーぜー、息が上がってきた

 

13℃。肌寒いが半そででやり過ごせる。最初のリフト終点を超えると

一度斜度が緩み 7km地点 7:23 T1 COL CHECROUIT Maisn Vieille 1463位(順位は後日LiveTrailで確認)

723mのハイクアップ。

ここから緩やかな登りが続き渓谷に下っていく

 

皆さん、ペースが上がる

で、私はやっと、体も温まり心拍が落ち着いていたところ。 

皆さん大して走りませんが、一歩一歩が速い。やはり足長族には勝てない~~~

振り返ると・・・渓谷の対岸を進んでいるのがわかる。

ガスが出てきた。

追い抜くことなく淡々と進む。

ガスが切れると渓谷の風景。氷河の跡がよくわかりますね・・

気温が上がってきたせいか、しばらく

こんなガスの動きの中を進む。

さすがに皆さん走り出す・・かと思えば速歩ばかり・・・

トレイルルートは外れてはいけない区間なので抜けない。

そうこうして渓谷への下り開始。

さすがに皆さん走り出すが・・・

こんなガスの動きの中のモンブランを見ると

トレイルを外れてパチリ、パチリ・・・どんどん抜かれる。ハハハ・・汗;

日が高くなってきて

お、お~~!! 来てよかった~~~うるうる。

奥さんは反対側から見てるのかな~~と思っていたら

11km地点 8:40 Arete du Montfavre  標高2409m 1598位(順位は自分ではレース中はチェックしないので不明)

進んだらGMH ヘリスキーの救急ポイントもある。

けが人? 急病? 待機?

と考えていたら 

皆さん、一気に加速。大分抜かれていたので私も慌てて走り出す。 

牛に注意の意味がやっと解る。牛の放牧地でした。 

 どんどん降るが・・・下りなのに、なんか体が重く切れが悪い。

走れれば豪快なダウンヒルだが体調今二つなのにここで足を売り切ってしまうわけにはいかない。

焦らず自重。 

大分渓谷に降りてきた。お~~アルプスの牧歌的風景・・・ 

 昔の牛飼い小屋? 廃れています。

渓谷に降りて流れを登って走る。だが、走らなければならない緩斜面でスピードが出ない~~

食べすぎの胸やけはまだ収まらず、座骨神経痛は激痛はないが痺れだす。

彩の国100の経験ではこの症状が出たら右腰、臀部が痺れだし、ストレッチしながら進む羽目になるはず。

とほほ・・・

と、体調は困ったもんだが、なにせ景色が良すぎるので心は癒されます。

(時たまレースを忘れハイキング気分になるのが困った状態だが・・・) 

15km地点 9:20 T2 Lac Combal 標高1970m  1623位

 

計画が9:30なので10分貯金。 

胃腸は今一つだが計画ではエイドではしっかり食べることにしてるので、噂のスープスパゲッティとパンをゆっくり食べる。(というか猫舌なので熱くて速く食べられない)

給水していて水の隣を見ると何やら白いミルクみたい飲料をフランス人が補給している。

???と試しにマイカップで飲んでみると無味無臭。味のないコメのとぎ汁を飲んでるみたい?

What's this ?

Energy Drink、 STC!

お~~、これがあの高価なSTCのドリンク。おなか問題なければ次も飲んでみよう・・・

 ここから、いよいよ激坂の峠超え!!

 

エイドでまったりしていたら、あらら周りがどんどん少なくなっている。

再開したら・・・アリのように続く列。ペース遅いぞ!!

ちょっと上がってまた下って

流れに沿って進み

コース以外に出るなの標識。ちょっと焦ってくる。フラットなのに抜けない。

いよいよ登り返し。

上を見上げると頭の上にアリさんの行列・・・

モンブランが晴れてきたが

高度が上がっているとは思えない・・・

とジグザグを登っていくのだが、息が上がるのは当たり前だが、ついに、腰のしびれが本格化。

ジグのコーナーの都度、ポールで支えて腰のストレッチ。この間、どんどん抜かれる・・

振り返ると後続がだんだん少なくなり、あれれ、最終集団???

困った~~~

 

ぜーぜー、もう少しで峠超え。

ふ~~、よっこらしょ。

19.7km地点 10:48 COL DES CHAVANNES 標高2584m  1728位(本人は知らないが本当に最終集団・・大丈夫か?)

ここで、昨日お世話になった中国の男性が到着。写真を撮ってあげたお礼に私もパチリ。

一息いれながら二人で話していると彼曰く、ここからT3まで16kmの下り基調。ペース配分が大切ですと教えてくれる。(日本語)

よく勉強されていて感心・・雲がほぼ切れたモンブランを見れた幸運に感謝し

再開。下りの始まり。どうするか。16kmも下りを走り切れるはずがない。

そうだ、ボーイスカウト走法。40数えて40歩く。

 渓谷のガスが切れてくると

右手は広大な牧草地帯 

左手は美し稜線・・ 

なかなかよいペースで降りていく。幸い、薬も効いてきて座骨神経痛は鈍痛程度。

胸やけも収まってきている。

あとは体が軽くなればOK。まだダル重い状態。 

そうこうして右手の風景が変わり巨大な岩壁・・ 

 

風景が変わってくる。モンブラン周辺の山々がこれからの主人公・・・ 

 前にいた赤いウエアの人を抜いたら・・・う~~先は長い。

 やっと、渓谷に降りていくトレイルがはっきり見えてくる。

 降りて川を渡って対岸へ

渓谷左手、逆層です・・・ 

 川を渡りながら進むと

 小さな村。あの奥の樹林帯を進んで左に回り込んで行くことになる

この辺からたんたんと走ってきた効果か、体の血が回りだした感じがしてきて調子が上がる。 

一気に下る!! 

本日初めて激走!!動けて自信回復。 

日本で慣れ親しんだトレイルの雰囲気。 

 俄然元気が出てくる。

 ここもボーイスカウト走法。

回り込むと・・・のどかです。 

あの奥の丘陵地帯を目指す。 

たんたんと進んで 

対岸に誘導されて 

対岸を進む 

 

下り基調が終わり牧草地帯を登っていくが・・・

泥道、牛の糞、雨が作る雨水溝で・・・走れない!!

 ぐちゃぐちゃ進んで正面の丘陵に乗り

 牧草地の作業道。ここは走れる。

 

対岸の牧草地帯が奇麗です。あの奥を 

 乗り越えると

 小さな湖。

牛に注意の意味が改めて解る・・ 

 俺の道に入るな!とにらまれる!

 湖を回り込み

向いの山を登るが・・

急登!!! ぜーぜー 

登り切った向こうがエイド。 

36km地点 13:51 T3  COL DU PETIT SAINT BERNARD 標高2182m 1743位

計画は14:00 まだ貯金はある。あまり抜かれなかったので順位は横ばいか・・

 ここで、パンやらクッキーやらフルーツなどつまみ給水。

ここでまたSTCのドリンクを一杯飲む。これ効くかも・・・

ともう一杯。ここで日本から持参したエナジーパウダーの使用は見送り。

給水の度にこのSTCのドリンクを飲むことにする。

 

 

 

さて、36km、8時間弱動いておっさんのトレランモードにやっと火が入った模様。

ロキソニンを胃に放り込んで、追い上げを決意。

(本人はこの時点で本当に最後尾集団近くにいることを知らない。続く) 

 

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6 コメント

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Unknown (走るおやじ)
2017-09-13 23:43:42
凄い!何もかもがデカイですね~
Re:Unknown (湖南オヤジ)
2017-09-14 00:13:01
おかげで纏めがフィニッシュまでなかなかたどり着きませ~~ん。(*_*; もうしばらくお待ちを。
Unknown (走るオヤジ)
2017-09-14 23:41:37
いえいえ~  ゆっくり纏めてください!!

ものすごい経験です(憧)
Re:Unknown (湖南オヤジ)
2017-09-15 00:28:18
もう一度走ってる気分・・・・(^^;
Unknown (cd)
2017-09-16 16:57:43
すごい景色。
走るの持ったいない・・・って思ってしまいます(笑)
Re:Unknown (湖南オヤジ)
2017-09-17 12:02:01
そう思って、写真をバシバシ撮っていたら、タイムを思いっきりロスしてました。(-_-;)

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