真鶴文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
以前、「センセイの鞄」では谷崎潤一郎賞も受賞して、映画化もされています。
なんとも、独特な、ほんわか、曖昧な筋書きで、ストーリーが感じられなくて、テーマも感じられない、独特の雰囲気で、これが川上さんか!!!
って思っていました。
今回の、真鶴は、それに冷たさ・暗さ・怨念といった要素を加え込んだ小説に感じられます。
娘・「百」が身篭ったのも知らずに失踪した夫、「礼」。
もう13年にもなるのに・新しい恋人も出来てるのに、夫への思いを断ち切れず、
21時っていう日記のメモと、失踪したと思われる真鶴への旅が繰り返される物語。
「うらみはするが、かたちでうらんでいるのではない。こもった奥底の、体の芯が夫をうらんでいるのだ。」23ページと手厳しいが、想いは後半・募るばかり。
その、深層心理・心の奥底・襞に渦巻く感情を表現するにはとても、長けている作家だと思えるようになった。
そして、女という幽霊も、周りに付きまとうとなると、なかなか付いていけない状態になりつつ読み進むことになる。
どっちかというと、嫌いな小説になる。
感動がないじゃーないか!!
これを進んでいる小説という解説者がわからなくなる小説です。
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