健康楽園。

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エクスタシー。

2005-09-06 | 読んでみた。finding.
エクスタシー

集英社

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この村上龍さんの小説、物語の舞台設定は過激だが、根底に流れるのは女性賛歌。そして豊かな雑学披露だと思う。
あこがれの南フランス・プロバンスのニースとモナコの丁度真ん中あたりにある、客室30しかないオーベルジュ、サン・ジャン・カップ・フェラには行ってみたくなるし、各種カクテルも飲んでみたくなる。
「フランクシナトラというカクテルは、ワイルドターキーにタンガリーのジンをブレンドしたものだそうで、カナディアンクラブとフブソリュートのウオッカを混ぜたカクテルがゲーリークーパーという。また、コニャックとシェリーを混ぜると、ジャンギャバンとなる。」P185.
ハバナから2時間のリゾート地・ヴィラデーロでペニーモレの歌も聴きたくなる。
「頬が僅かに丸く優雅な印象を与えている。こういう女が好意を寄せてくれたら男はどうやって身を守ればいいんだろう。僕の中のブレーカーが下りてしまった。ヒューズがとんだのだ!」P76
「女の子は男の子より複雑ですから、ただの射精で終わる男の欲望の回路なんて理解するのはとても簡単ことだったわ。女と男じゃ宇宙とミミズくらい違うのさ。」P84
「彼女に備わったバリアのようなものはひとかけらも崩れていなかったのだ。これほど絶望を訴えている女を前にして何もしてやれることがないという思いは、自分で自分のランクをさらに下げることになった。」P94
「いま自分が何が欲しいのか自分でもわかっていたし、他人にもアピールすることができたから女にも人気があったのよ。あの男のエネルギーの素は唯一元気な時の自分のレベルを設定して、他の自分を憎むことだったの。」P168.
「どうすればそれほど自然に無視できるのかと思うほど見事に無視する。意識して無視するわけでないし、バリアのようなものを張っているのでもない。レイコがすぐ傍にいて、僕の方を見て何か喋っているのでなければ自分の存在が自分で信じられなくなるようなそんな感じだ。レイコ自身やレイコの視線の果てに何があるのか気になってしょうがないのだ。こういう女が、あらゆる関係性を断って生きていけるような女が・・・・・・・・・・・・。」P279
と、このような調子だ。この作品3部作の最初という位置づけにあって、「メランコリア」「タナトス」へと続く。
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