平和1丁目 ~牧師室より~

福岡市南区平和にあるキリスト教の平尾バプテスト教会の週報に載せている牧師の雑感

2012年2月12日 情熱の人々

2012年02月12日 00時00分11秒 | Weblog
       情熱の人々

 「日本に引揚げた人々」という高杉志緒さんの著書の第5章(「博多湾引揚げ援護局聖福寮」の思い出-内山和子氏談話聞書)を読んだ。当時長崎の実家にいた内山さんは、24歳の1946年7月に「ヒキアゲコジノセワ スミコミデキヌカ セイカツシンパイナシ」という一通の電報を受け取った。発信者は、福岡友の会の先輩の石賀信子さんだった。
 石賀さんは、1946年4月の全国友の会の方針により「ヒキアゲシヤトノシンルイヅキアイハジメタシヨウスシラセ」という一通の電報を受け取っていた。当時、博多港には、一日何千、多い日は一万人近い引揚者が上陸していた。そして、そのなかに、多くの引揚孤児がいた。引揚孤児たちの医療、食事、事務関係は在外同胞援護会関係の方々が受け持ち、保育面を福岡友の会がすることになったという。
 孤児たちのようすについて「一人一人をみると、やせ細って、骨と皮ばかりでお腹だけがふくれた、ひどい栄養失調症で歩けない子、真っ赤にただれた目や疥癬といった皮膚病を持っている子など、特に治療の必要な子どもとその兄弟です」また、時々部屋の隅で、それまでの習慣で荒塩を舐める子や不安のために安眠できない子、廊下を這いずり回る子や、青い柿を食べたり、ゴミ箱をあさる子などもいたという。この子たちのお世話を献身的にした20代の女性たちは、「引揚者との親類付き合い始めたし」という聖書の教えにも似た電報で心動かされた情熱の人々だった。


平良師