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日本の中小企業を元気に!~税理士・谷口勇一先生を訪ねて(前編)~

2011年04月06日 | 経営に学ぶ

実は、今回訪問した谷口先生の事務所のお隣は、洋菓子店のシャトレーゼ。ケーキやアイスクリームが安くておいしいので、以前からよく買い物に訪れていました。そのお隣に5年前に開設されたのが谷口先生の税理士事務所。中小企業診断士の資格を取るための受験勉強で、財務関係が一番苦手だった私ですが、それだけにちょっと気になる存在でした。でも、何となく「税理士先生」というと敷居が高く、なかなかお会いする機会のないまま、これまで過ごしていたのです。

ところが、昨年度の第3期『経営革新かが元気塾』に、なんと谷口先生が参加しておられるではありませんか!聞けば谷口先生は『かが元気塾』の運営母体である加賀商工会議所青年部で『かが元気塾』実行委員となったのをきっかけに、自らも参加してみようと受講されたとのこと。すでに税理士という経営の専門家であるにもかかわらず、第3期では素晴らしい成果を上げておられました。

 写真は寺前加賀市長を招いての成果発表会でプレゼンされる谷口先生

そうしたご縁で、今回お忙しい中にお時間をいただき、谷口先生の元気のもとを探ろうとインタビューに訪れたわけです。それではさっそく先生の登場です。

 

平野:先日は東京マラソンに参加されたそうですが、いい色に日焼けされていますね。マラソンは学生時代からやっておられたのですか?

谷口:いいえ。中学高校時代はハンドボールをやっていました。大学に入って、今度はスキーを始めたのですが、これに夢中になってしまいまして・・・。夏からアルバイトで資金を貯め、冬はスキー場を転々としてペンションやスキーのインストラクターのアルバイトもやっていました。

平野:夏も冬もアルバイトですか。

谷口:冬場のペンションのアルバイトは、宿と食事が確保できるうえに空いた時間にスキーができるので、なかなかいいバイトでしたね。スキーのインストラクターとしては、修学旅行でやってくる生徒たちに教えたこともありました。大学時代は、ほとんどアルバイトとスキーに明け暮れていましたね。


 

平野:大学では、税理士になるための勉強をしておられたのですか?

谷口:いいえ。大学は政治経済学部で、卒業論文はマーケティング関係でしたね。とくに税理士になろうと思っていたわけではありません。

平野:卒業後は、北國新聞社にお勤めになったそうですね。

谷口:金沢の出身なものですから、大学卒業と同時に地元に戻ってきたわけです。北國新聞社では販売部に配属になりました。

平野:販売部では、どんなお仕事をされていたのですか?

谷口:県内各地で、北國新聞の販売店をやってくださる人を開拓するという仕事です。知らない土地に出かけていき、販売店をやってくれそうな人を探すというのは大変でしたが、やりがいのある仕事でした。

平野:苦労されたことはなかったのですか?

谷口:苦労と言えば、部数を伸ばすことを求められるので、それだけの実力を持った人を開拓していかなければならなかったことでしょうか。

平野:具体的には、どうやって探されたのですか?

谷口:その土地にある支局に頼んで地元の有力者を紹介してもらったり、商店街に飛び込んで販売店を引き受けてくれそうな人を口説いたり・・・販売店をやるには、それなりの商売の経験がないと無理なので、ほかの商売との兼業も多かったですね。

 

平野:そうやって人材を発掘してこられた経験が、今のお仕事でも「人を見る目」として役に立っておられるのかもしれませんね。ところで、いつごろから税理士になろうと思われたのですか?

谷口:税理士を目指そうと思ったきっかけは、新聞の販売店をやろうという人に収支見込みなどの数字を示さなければならず、そのために作成した財務諸表を面白いと思ったことですね。それで簿記の勉強を始め、さらに税理士試験を目指すようになったんです。

平野:税理士試験と言えば、超難関資格。よく挑戦してみようと思いましたね。

谷口:ちょうど入社後5年を経て、将来に対していろいろと考えた時期だったんですね。北國新聞社の同期だった妻の実家が加賀市山代温泉で呉服屋をやっていましたので、呉服屋を手伝いながら税理士の勉強をしようと思って、北國新聞社を退社しました。

平野:思い切った決断ですね。でも、呉服屋さんというのは全く違う世界ですね。

谷口:ええ。退社後は妻の実家の呉服屋を手伝いながら勉強していたのですが、何か違和感があるんですね。自分が一生やっていける仕事とは思えなかったんです。それで呉服屋の仕事はやめて、税理士試験の勉強に集中することにしました。

平野:その後は小松市の税理士・吉田功先生の事務所にも勤めておられたそうですが・・・

谷口:ええ。呉服屋をやっているときに、あるセミナーで偶然吉田先生の講演を聴く機会があって、いきなり「職員として採用してほしい」とメールでアタックしたんです。その時は良い返事はもらえなかったのですが、3,4か月後、突然お電話をいただいて面接を受けることになり、先生の事務所でアシスタントとして働かせていただくことになりました。それで先生の所には4年間お世話になり、その間も税理士を目指して勉強をつづけたわけです。

平野:すごい行動力ですね!でも長い受験勉強の期間、ずいぶんと大変だったでしょうね。

谷口:ええ。結局、受験を思い立ってから10年かかりました。マラソンと同じで、持久力があったから続けられたのでしょうね。でも好きなことをやっていたのですから、つらいとは思いませんでした。かえって勉強していないときの方が不安でしたね。

平野:長い受験生活を支えていたものは何ですか。

谷口:勉強を続けていくうえでのモチベーションになったのは、「自分の特殊技術で、自分の名前で仕事がしたい」という強い思いでした。つまりは独立開業志向ですね。

 


税理士を目指して、10年にわたって勉学を続けてこられた谷口先生。東京マラソンで快走してこられたように、真のマラソンランナーらしく力強い方です。新聞社の販売部での経験は「人を見る力」として、また呉服店での経験は「人に接するしなやかさ」として、現在のお仕事に生かされているのだと感じました。

それでは後編は、谷口先生の税理士としてのご活躍についてご紹介します。

※「後編」は、「前編」の前にアップしてあります。


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2 コメント

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税理士の仕事 (北方 康弘)
2011-04-07 11:33:56
若い人の新規設立を手伝いたいとありました。
会社は試験無しで誰でも設立できます。
でも起業した以上は成功させなければ、
誰かに迷惑が掛かります。
成功させるために絶対必要なのは総資本回転率と総資本対経常利益率がその業界の平均値を上回ることが出来て初めて成功すると私は思ってます。
その業界平均値を税理士さんが全て知り、
その投資額は正しいか提案できる事が大事です。
でも税理士さんは時として節税だけを目的に仕事をさせられて居ます。残念な事です
是非、新しい起業した人達の成功する為の手助けを
して上げて下さい。
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好きなこと。 (谷本 義典)
2011-04-08 08:40:24
やはり仕事は好きなことに限りますね。

私も今の仕事に好きですし遣り甲斐があります。「人を見る力」はついているかは分かりませんが好き嫌いは無いですが、得て不得手はあると思います。

谷口さんと加賀元気塾で知り合って沢山の元気をいただきましたし、プレゼンの内容や話し方もたいへん勉強になりました。

私自身 悲しいことに我はサブのスペシャリストだと自覚してます。

もし、会社を興すとしたら何が何でも谷口さんにご相談します。

後編も楽しみにしてます。
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