作って遊ぼう&学校の応援

 小学校でオモチャを身近な材料で作っています。また、最近プログラミングで学校支援アプリを制作しています。

30年後の持続可能で心豊かに生きる地域づくりを目指して

2018-09-19 00:25:30 | 社会に開かれた学校
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内容の要旨は次の通りです。

○人づくり・地域づくりは、長期で町ぐるみの取組みが必要である。10年区切りの3期30年を取組み期間とした。2期3期を展望して1期10年の取組みについて述べている。
○「学校づくり」と「地域づくり」との関係は、学校を舞台にして、子供と子供、子供と大人、大人と大人などの「人間関係のつながり」を豊かにすることが学校も地域もよくすることにつながっている。“つながり”をキーワードとしてつながりの場を1期「学校で」2期「学校から地域へ」3期「地域で」として設けた。
○まず、町ぐるみの取組みとなるよう地域住民や各種団体企業等に呼びかけて説明会を行う。わかりやすく趣旨を説明して、できるだけ多くの賛同者を募る。その後も、根気づよく活動を紹介して浸透を図る。
○賛同者を集めて、緩やかなネットワークを形成した任意性の高い「地域学校協働本部(以下「本部」という)」を組織する。
○本部に「コーディネート会議」を設けて、コーディネート機能の要とする。その有効性は次の3点である。
(1)「私たちがします。」という主体性を持って学校への派遣者が決まる。連携協働に相応しい決まり方である。
(2)本部に“会議”が設けられたということは、本部構成員の「任意性の高い」人々にとって、様々なことを協議する場となってくる。コーディネート会議が様々な話題を話し合う会議に発展すると、そこから学校や地域の課題を解決して、みんなが豊かに暮らせる地域づくりが実現していくかもしれない。
(3)本部を整備するのは教育委員会だが、本部は地域のものでなければならない。自由に協議する場があるということは「自分たちの本部」という意識をより強くする。それぞれの地域によって様々な発展が期待される。
○学校支援地域本部では、コーディネーターがコーディネート機能の多くを担ってきた。学校支援であればこれでよいかもしれないが、地域学校協働活動は、地域住民や各種団体企業等が主体となった人づくり・地域づくりのための活動となる。コーディネーター(地域学校協働活動推進員)の役割は変わってくる。本部を機能させる運営・連絡調整役となる。


はじめに
  私は県統括コーディネーターとして、市町村教育委員会の皆さんに、地域学校協働本部の整備を呼びかけていますが、その本部の姿が私自身明確なものがありませんでした。
 その理由は、これまでの仕組み(学校支援地域本部)では、地域に呼びかけて学校支援ボランティアを集めることはあっても、基本的にコーディネーターが人捜しをする役割でした。そのためにコーディネーターの働きはその方の資質能力に大きく左右されました。当然、人材の発掘や養成には難しいものがありました。基本的に「お願いして来てもらう」関係ですので、ストレスは常に高いものがあります。活動やその前後のトラブルもよくあることです。あるコーディネーターは「一人のネットワークでは地域への広がりが無いのが一番の悩み。」と言っていました。
 学校支援では支援する人を探せばいいのですが、これからは人づくり・地域づくりに学校と地域がパートナーとなって連携協働して地域学校協働活動に取り組みます。そのためには、地域住民等が主体性を持って参加する必要があります。したがって、このようなコーディネーター一人に頼る体制は絶対に創ってはならないと心に決めています。 
 新しい体制を模索する中で鍵となったのが「地域住民、団体等が参画する緩やかなネットワークを形成した任意性の高い体制」と下記資料にある「人間関係のつながり」でした。
 このことから、地域学校協働本部の主体は、コーディネーターではなく、「地域学校協働活動で培われる“つながり”づくりは地域づくりにつながる。」ということを理解した地域住民、団体企業等が参画して創る体制こそが主体であるということがわかりました。大げさですが、地域住民のパワーを結集した地域学校協働本部を目指します。
 社会を変えようとするのですから一朝一夕には創ることはできません。昨年の夏の次期学習指導要領の説明会では「30年後の未来を指向したここ10年間の教育の在り方を示した。」ということを聞きました。各市町村で取り組んでいる人口ビジョンにおいては「2060年までに持続可能な社会を創る。」ということを掲げています。
 地域学校協働本部の整備についても、10年ごとの3期30年を持って、「地域とともにある学校づくり」「学校を核とした地域づくり」から「心豊かに生きる地域づくり」を成し遂げるビジョンを考えました。
 これからビジョンを紹介しますのでご覧ください。

地域学校協働活動推進のための地域コーディネーターと地域連携担当教職員の育成ハンドブック99ページ熊谷愼之輔 岡山大学大学院教育学研究科教授

2 地域と学校の連携・協働の在り方  
(1)「社会に開かれた教育課程」と「学校を核とした地域づくり」のつながり
 ア 「地域づくり」と「学校づくり」のつながり
 「社会に開かれた教育課程」と「学校を核とした地域づくり」のつながりを理解するには、まず「地域づくり」と「学校づくり」がつながっていることをおさえておく必要があります。
 「地域づくり」と聞くと、「学校づくり」とは関係ないと思われる方も多いでしょう。しかし、学校を舞台にして、大人と子供や、大人同士の「人間関係のつながり」、専門的にいうと「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」を豊かにすることが学校も地域もよくすることにつながっていることを見落としてはなりません。









1期
 「よりよい学校教育を通してよりよい社会を創る」という理念を共有する説明会を行い、地域の人々や各種団体に地域学校協働本部への参加を呼びかける。
 地域学校協働本部は、学校の求めに応じて、地域のボランティアを派遣するコーディネート機能のみを持つ簡単な仕組みからスタートする。
 その本部のコーディネート機能とは、学校から提出される「こんな人に来てほしい」という年間計画をもとにコーディネート会議で派遣する個人や団体等を決める。成員が自ら手を挙げて「やります。」と主体的に決めることができる。
 子どもたちや先生、地域の皆さんが、”つながる”経験を積むことで、共に生きること、心豊かに生きること、よりよい社会を創ることへの意欲が高まってくると思われる。

2期
 地域学校協働本部は、社会教育のフィールドにある任意性の高い体制であることから、これまでの学校での体験から得た子どもたちの課題は地域の課題ととらえて、それを乗り越えるために、独自の社会教育活動を始めたり、コーディネート会議の場で「課題を克服するために皆で何ができるか!」を提案して協議する場へと発展していくと考えられる。
 したがって、コーディネートの求めが提出されるのは、学校だけではなく、地域の皆さんからも出てくるようになります。
 また”つながり”づくりを地域の皆さんが担う分だけ、学校の役割は小さくなります。

3期
 地域づくりの基礎である”つながり”づくりの経験を重ねていくと、益々地域の教育力が高まっていき、地域づくりの活動が地域で行われて行きます。すると、学校は特別な存在ではなくなってきます。図のように、学校は地域の一つとなります。
 また、地域学校協働本部が地域づくりの中心的な協議の場となってくると、子どもたちのことだけでなく、子育てや福祉、安全、防災、地域などの色々な課題も協議されるように発展すれば、自治組織そのものとなります。
 この発展は一例ですが、地域によってどのように発展するかは楽しみですね。



〔趣旨の説明会〕
 これから、「人づくり」「地域づくり」をしようというわけですから町ぐるみの取り組みにしていかなければなりません。地域の皆さん・各種団体・企業などに参加を募って説明会を開きます。そこでは「よりよい学校教育を通してよりよい社会を創る」という理念の共有を図ります。
〔「地域学校協働本部」を組織〕
 賛同者を募って、緩やかなネットワークを形成した任意性の高い体制「地域学校協働本部」を組織します。左上図の○は地域の人々や各種団体・企業等です。
“緩やかなネットワーク”や“任意性の高い”という言葉は、社会教育のフィールドではよく使われる言葉で「社会教育団体は、それぞれが主体性を持って自由に活動する。」という意味合いだそうです。
〔コーディネート会議〕
 地域学校協働本部にコーディネート会議を設置します。その機能は、地域人材を求める学校の年間計画が提出されると、どれを誰が担当するかを決めていきます。「私たちがします。」と主体性を持って決まるので支援ではなく連携協働にふさわしい決め方となります。
〔コーディネート会議の意義〕
 地域学校協働本部に“会議”を設けたことに意義があります。最初は派遣者を決める機能ですが、会議の構成員はそれぞれ「任意性の高い」方々ですから、学校や地域の課題に対するアイデアが話し合われます。すると、本部を構成する地域住民・各種団体企業等が連携をもって動き始めることになります。
〔地域学校協働本部が地域組織として発展〕
 地域の人々が連携を持って、子供たちの教育や課題解決に動き出すということは“地域づくりの始まり”であり、“本部が地域組織となっていく始まり”でもあると思われます。このことによって、地域の人々を結集した自治組織に発展するところもあるのではないかと思われます。
〔地域学校協働本部に地域学校協働活動推進員(コーディネーター)〕
 この本部を全てボランティアで運営することはできません。連絡調整など責任を持って役割を担う職員が必要です。まずは、行政の職員が対応しますが、地域の仕組みとするためには、地域の皆さんの中から有償で任用することが必要です。



地域学校協働活動とは
 幅広い地域住民等の参画を得て、地域全体で子供たちの学びや成長を支えるとともに「学校を核とした地域づくり」を目指して、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う様々な活動です。
地域学校協働本部とは
 より多くのより幅広い層の地域住民、団体等が参画し、緩やかなネットワークを形成した任意性の高い、地域学校協働活動を推進する体制です。


 まず第一に地域住民、団体企業等で構成される体制を創ることから始めます。このことが推進・充実の成否を左右するので、力を入れて取り組みます。
 
 地域学校協働本部を整備する地域への説明会を開催します。これまで述べてきたことを分かりやすく説明します。(経験上、耳を貸さない方も多いですが、賛同者が少しでも多くなるよう妥協することなく根気強く取り組むことが大切です。) 地域学校協働本部の主体は、地域住民、団体企業等で構成される体制です。広く地域へ呼びかけて、主体性を持って参加します。この体制の全体を地域学校協働本部と言います。
 
 これまでの学校支援地域本部では,学校を支援することが目的でしたから、コーディネーターが支援者を探すというコーディネーター主体の体制でした。また、この体制ではコーディネーターの資質・能力によるところが大きく、地域への広がりや拡大していく需要に対応できないという課題がありました。
 したがって、学校支援地域本部を基盤とする場合、より多くのより幅広い層の地域住民や団体企業等が参画することで、地域学校協働本部にすることができます。








最後に
 
 社会の仕組みを変えていく壮大なビジョンをここに示しましたが、少しでも無理の無いように10年ごとの段階を持つようにしました。
 
 市町村では、できることなら首長部局も含めた町ぐるみの体制で取り組んでほしいと思います。どうしてもその理解が得られない場合は、教育委員会のみで取り組むことになりますが、その成果を大きく報道して啓発を図ってください。次の10年では必ず町ぐるみの体制で臨まなければなりません。
 
 地域学校協働本部にコーディネート会議を設定しましたが、“会議”を設定したことに意義があります。会議の構成員は“任意性の高い”人々ですから、何かの課題に気づいてその解決策を考えるときに、その場(会議)が活用できます。“会議”は“つながり”づくりのツールなのです。このことによって、学校(こども)や地域の課題の解決に向かう協議が始まります。その後は、連携・協働した取組みが始まります。
 
 “任意性”は、社会教育のフィールドでは当然のことです。地域学校協働本部も「地域住民自らが創っていく」という実感を持って推進されることが成果につながります。 




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