WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

アート・ペッバー・カルテット

2008年01月12日 | 今日の一枚(A-B)

●今日の一枚 205●

Art Pepper

Art Pepper Quartet

Watercolors0001  東北地方上空には寒気団が到来しているということで、本当に寒い一日だった。ヘットコーチを務める高校女子バスケットボールチームの練習ゲームに付き合い、一日中、暖房のない、底冷えのする体育館にいたおかげで、身体の芯から冷え切ってしまった。その冷え切った身体と敗戦で傷ついた心を癒すべく、ひとり自室にこもり、酒をすすっている。今日、BK1から届いた村上春樹・和田誠『村上ソングス』のページをめくりながらだ。

 アート・ペッバーの1956年録音作品『アート・ペッバー・カルテット』。このような傷心の夜にふさわしい、夜、ひとりで聴く音楽だ。独り言を言うかのような、あるいは密やかな鼻歌のような、訥々とした語り口が好ましい。久しぶりのペッパーだが、こういう音楽を聴くと、「やはり、僕はペッパーが好きです」といいたくなる。私がジャズにのめり込むきっかけは、ペッパーだったのだ。

 《ロンリー・ペッパー》などと語ったのは誰だっただろうか。この作品を語るには適切な表現ではあるが、私としては日本語で《孤独》とか《感傷》とかいった方が、フィットする気がする。カタカナ言葉を使うと妙に尻軽なイメージを抱いてしまうのは私だけだろうか。伴侶として連れ添った女性に捧げたというオリジナル曲、③Diane の醸し出す物悲しさは、筆舌に尽くしがたい。

 酒を飲みすぎるのはいつものことではあるが、今夜はいつになく深酒しそうだ。たったひとり、自室で、ペッパーを聴きながら……。

 


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