WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

おしっこがしたい!

2021年08月04日 | 今日の一枚(A-B)
◎今日の一枚 526◎
Bill Evans
Conversations With Myself

 昨日は、手術の後、一日中安静にしていなければならなかった。開腹した傷の痛みもさることながら、最も苦しかったのは導尿だった。尿道に管を差し込んで尿を出すのだ。痛い訳ではない。激しい尿意を感じるのだ。尿意を感じるのだが、出ないのだ。もちろん、勝手に尿は流れ出ているのだが、おしっこをした感じにならない。激しい尿意だけが続き、膀胱が爆発しそうだった。はっきりいって地獄だった。チューブは次の日の朝抜くというが、どう考えてもそんなにもつわけがない。精神は、ズタボロだった。
 2時間程のたうち回ったが、ベッドを少し起こして水を飲めるようになるなると、不思議とあの激しい尿意がひいていった。水をたくさん飲むと、尿意はどんどんひいてゆき、何とか朝までしのぐことができた。水を飲むと尿意がおさまることをなぜ誰も教えてくれなかったのだろう?

 今日の一枚は、ビル・エヴァンスの1963年作品、『自己との対話』である。3台のピアノによる、エヴァンスの自己との対話である。3台のピアノを弾くといっても構成的な演奏にならず、創造的なインタープレイが展開される。その意味では、内省的で実験的な作品である。リヴァーサイドの4部作でインタープレイの手法を確立した自信と、盟友スコット・ラファロを交通事故で失った悲しみと不安が、エヴァンスを自己との対話に向かわせたのであろう。
 今、私は病院のベッドで、ゆったりした心持ちでこのアルバムを聴いている。実験的な、あるいはちょっと難しそうな作品を聴くときは、細部にこだわらず全体的なイメージを聴く。これが私のやり方である。


 



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