[Aeneis's story] episode Ⅳ『建国の地へ』 To the funding of a nation 第１章 イピロスへ 21

　浜頭らとの話し合いに臨んでいた五人のうちパリヌルスを除いた四人が停留の浜に戻ってくる、オキテスとアレテスが持ち場へと戻って行く、アエネアスとイリオネスは、足元に波が立ち騒ぐ浜に立つ、海を見渡す。
　『おう、軍団長、大変なことを耳にしたな。お前どう考える？』
　『真偽のほどを確かめるですな。それ以外に考えることはありません』
　『そうか、それ以外にないか。お前もそのように考えたか。それをやる方策を考えてくれ』
　『解りました。考えます』
　『明日、アサイチから、その件について話し合う。我々がトロイを立ち去った、あの日以来二年の時日が経っている。かっての敵の地に足を踏み入れるわけだ、どのようにしてやるかを考えてくれ』
　二人の話し合いが緊迫感を呈している、二人は緊迫を解くニューアンスで雑談を交わす。
　『パリヌルスら三人も同席した席での話題だ。口外禁止を言い渡してくれ』
　イリオネスがオキテスとアレテスを呼ぶ、二人に口外禁止を申し渡す。
　『お前ら誰にも言っていないな。それでだな、オキテス。パリヌルスが戻ってきたら、その旨を伝えてくれ』
　『了解しました』
　オキテスがその件の重大さを認識する。
　『あ～あ、オキテス。明日、アサイチから会議をやる。その旨をほかの三人に伝えてくれ。話の内容についてはオロンテスにまだ言うな。会議の席で俺から伝える。平静を保て、いいな』
　『解りました』

　パリヌルスは船を陸揚げしている浜で浜頭らに船の新構造について説明している。
　船尾の舵の水切り板の動作環境を確かめる、『よし！いいな！』で船上の者に声をかける。
　『おう、操舵棒を握って左右に動かしてみてくれ！』
　『はいっ！』
　船上の者が操舵棒を左右に動かす、舵の水切り板が動く、その状況を注意深く見つめる、納得する浜頭、パリヌルスに声をかける。
　『パリヌルス殿、見ただけでは、効果のほどが解らんのう！この俺にその効果のほどが理解できる機会をアエネアス殿に相談してくれないかな？』
　『了解しました。統領と相談します。明日、昼までに返事します』
　『おう、よろしく頼みます』
　『解りました』
　『パリヌルス殿、船のこと丁寧に説明してくれましたな。ありがとう！礼を言いますぞ。いい返事を待っています』
　場を去る浜頭の一同を見送る、パリヌルスは船の説明をようやくにして終える。
　船尾に取り付けている舵構造の効果を知りたいという浜頭、彼らのことについてパリヌルスは頭をひねった。

　パリヌルスが船団の者らのいる場に戻ってくる、それを目にしたオキテスが歩み寄る、軍団長から言われている一件について伝える。
　『そうか解った！そうだろな、その真偽が解らないうちは、一同に伝えることは禁止で当たり前だ』
　『それについて、明日、アサイチに会議が招集されている』
　『解った！納得！』
　二人は打ち合わせを終える、オキテスは自船に引きあげていった。