『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  197

2014-01-29 07:44:21 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 人々が人智を尽くしてパンをつくる一歩手前までに到達したといっていいところまできた。最初は大麦を煮て粥として食べていた。彼らは胃の中におさめるのに一手を省くことを考えたと想像される。それには砕いて胃の中に入れる、『いっそのこと粉にしてしまえ』と製粉を思い立ったのではなかろうかと私は考える。そこに未来に通じる道があった。脱穀した小麦を桶に入れ、石ですりつぶす事に始まり、石臼を思い付き、粉にして、水で練り、やや薄目に形を整えたものを厚く焼けたかまどのヘリに張り付けて焼いて口にした。『お~お、旨いではないか』ついにパンの原型ができたのである。原始時代の生活風景に思いをはせていただきたいと思う。パンの始まりである。パンを焼く石窯ができるのはローマ時代の初期の頃であると思われる。紀元前600年ころになって、ようやく、ワインを使っての醗酵技術が考えられた。これもワインで粉を練り、ほっておいたら練っておいた塊が大きくなっていたといった偶然が働いたのではなかろうかと推察している。また、原初の菓子パンが蜂蜜を使って、このころに登場して、現代に至っている。この時代、パンは、全粒粉で造られていたと考えられる。粉にした小麦粉からフスマを除いて、小麦粉の純度を高めてパンが造られていたかどうかについては定かではない。(このパンの項は、全く筆者の想像で書きました)

 オロンテスは、言うに違わず多忙である。パンを焼く作業よりも小麦を粉にする作業が大変であろうと考えた。彼は粉にした小麦、小麦粉を余裕をもって準備するにはについて脳漿を絞って考えた。
 オロンテスは、集散所との話し合いに持参するパンを丹念に焼き上げた。準備は整った。口には出しはしなかったが、初めて手を付ける仕事の分野であるだけに緊張していた。彼は今日の仕事を手ぬかりなくやり遂げることに意識を集中した。
 小麦搬入の作業は、一刻(2時間)くらいの時間を費やして難なく終えた。
 彼は、キドニアの集散所での考えられる仕事、作業内容を想定して、部下の中から、三人を選び、今日、同行させることにした。


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