『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第15章  エピローグ  6

2008-07-28 07:36:30 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 猛火を背後にして、父を背負い息子の手を引いてトロイの地を去ったアエネアスは、海路を逃げた。彼も地中海をさまよった。そののち、イタリア半島に上陸し、古代ローマ建国の基を築いたと伝えられているが、真偽の程は定かではない。しかし、彼の胸にあったのは、トロイ再興の夢であった。
 一夜で燃え尽きたトロイ城市は全く灰燼となっていた。生き残っていたのは、わずかばかりの老人たちであった。
 連合軍に助命されたのは、アンテノールだけであった。生き残った老人たちは、何故、アンテノールだけなのか。不審に思ういっぽうでは、彼が生き残ってくれていたことを喜んでもいた。
 彼は、生き残った老人たちとともに、死者たちを弔った。彼等、死者たちを弔うことは、生きている者の勤めであると、もくもくと、その勤めに力を尽くした。


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