ひさらのきまぐれ。

多趣味だけどどこかぼんやりな私(ひさら)の気まぐれブログ。
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中村不折コレクション「みんなが見たい優品展 パート7」(書道博物館)

2010年01月12日 | 展覧会(美術館・博物館)
中村不折の書はとても個性的で、覚えやすい特徴のある字です。
普段目にする機会は余り多くはありませんが、ドラマ「坂の上の雲」の影響か正岡子規が今ちょっとしたブームになっているようなので、不折の筆もちょこちょこと登場するのではないかなと思っています。
不折のコレクションを所蔵した書道博物館(不折の旧居)は、ドラマにも登場した子規庵の隣。そして勿論、子規と不折は親友です。
ドラマでも日清戦争の時子規が従軍記者として中国へ渡るシーンがありましたが、あの時一緒に行っている従軍画家が不折です。

台東区立書道博物館公式HP→http://www.taitocity.net/taito/shodou/index.html


不折記念室で展示中のゆかりの品々は、現在正岡子規との交流を中心にセレクトされています。病床にある子規のスケッチなどは、もともと画家である不折の本領発揮とでもいうようなしゃれっ気と親友に対する思いがあふれています。

メインの企画展は名品ぞろい。
流石に一周すると集中力が途切れぼんやりしてきてしまう重厚感です。
当然ながら、漢字だらけ、墨だらけです。

とても丁寧な題箋がついているので、一つ一つ読むのですが。これがもう、微に入り細に入り実に念の入ったもので、しばらく経つと頭がいっぱいになります。エリアで区切って休憩を挟みつついかないととてもとてももちません(笑
うれしい悲鳴です。

今回、私が改めてじっくり見たのは甲骨文でした。
その昔、占いに使われていた動物の骨です。
古い文字が書かれているものなら何でも集める不折ですから、当然この「古代の文字が彫られた骨」を集めてないわけがありません。

火にくべて割れた形から吉凶を占う、というその概念はよく知られていますが、実物をじっくり見る機会というのはなかなかないのではないでしょうか。

表に文字が彫られた様子は写真で見る機会がありますが、その裏がどうなっているか見たことがありませんでした。

これは占いの仕方にも関係することなのですが、裏にはたくさんの溝が彫られていました。
丁度「ト」の字が連なっているような感じで、線と点のようなくぼみがいくつも作られており、骨の厚みに変化をもたせています。これによって下から火であぶるとその伸縮差から「割れる」ということのようです。
初めて知りました。
ただ漫然と火に投げ入れて偶発的に割れるのを待つのではないんですね。
こういう細工をしたところを見ると、これがただの文字を書いた骨ではなく祭祀道具であることが納得できます。

尚、甲骨文には、表面に誰がいつ何のために占うか、書いてあります。骨占いの答えは単純にyesかnoのようで、抽象的なことや答えが数種類あるような問いかけには向いてない(?)ようです。
実際に占いに使われたものは、それによって王がどういう結果を読み解いたか、その答えも後から刻んであるそうで、これを読むだけでも古代の人々の生活の一部を覗いたような気になります。
出土品であるゆえに完全品というのはなかなか数が少なく、文字が読め、意味が通じるこれらは実に貴重です。
勉強になりました。

骨に文字を刻むというのはその昔の技術力のこともあり、なかなか難しいものでしょう。
不折のコレクションには、「手習いの骨」というのも残されています。
占いのときに多く使われる日を示す文字(甲子、戊辰などの干支で示す)をいくつも彫って練習したと思しき骨がありました。
そんなのまでコレクションしてる不折って、根っからの文字マニアだなぁ(笑)なんて微笑ましくなっちゃいました。

ガラスケースの中の古い大腿骨の断片を眺めてニンマリしている私…。
かなり危険な人に見えたかも?!




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