<訃報>茨木のり子さん: 凛としたその生き方を全うするように一人で逝ってしまわれました。
Excite<訃報>茨木のり子さん79歳=詩人
大好きな詩人でした。『倚りかからず』というその詩集をプレゼントして欲しくて、誕生日まで待って半ば強引に夫と娘に買ってもらいました。妻らしいこと母親らしいことが満足に出来なくなる中で私の気持ちを知って欲しかったからです。
でも、思うように動けないもどかしさと痛みの中で倚りかからること甘えることが当たり前になっていました。
本棚から埃をかぶった詩集を引っ張り出して来て読み直しています。自分を取り戻すかのような思いです。
『倚りかからず』 茨木のりこ
もはや
できあいの思想にはよりかかりたくない
もはや
できあいの宗教にはよりかかりたくない
もはや
できあいの学問にはよりかかりたくない
もはや
いかなる権威にもよりかかりたくない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
よりかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
●もう一つ私にとって大切な詩を
『自分の感受性くらい』
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子さん、ありがとうございました。
Excite<訃報>茨木のり子さん79歳=詩人
大好きな詩人でした。『倚りかからず』というその詩集をプレゼントして欲しくて、誕生日まで待って半ば強引に夫と娘に買ってもらいました。妻らしいこと母親らしいことが満足に出来なくなる中で私の気持ちを知って欲しかったからです。
でも、思うように動けないもどかしさと痛みの中で倚りかからること甘えることが当たり前になっていました。
本棚から埃をかぶった詩集を引っ張り出して来て読み直しています。自分を取り戻すかのような思いです。
『倚りかからず』 茨木のりこ
もはや
できあいの思想にはよりかかりたくない
もはや
できあいの宗教にはよりかかりたくない
もはや
できあいの学問にはよりかかりたくない
もはや
いかなる権威にもよりかかりたくない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
よりかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
●もう一つ私にとって大切な詩を
『自分の感受性くらい』
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子さん、ありがとうございました。
書きかけで投稿せずに溜まっているものもあるのですが、茨木のり子さんのことは後回しにはできませんでした。
紹介していただいてとてもうれしいです。
茨木のり子さんの詩がずっと好きだったものです。
訃報に接して、残念な気持ちでいっぱいです。
いつも叱咤激励されるこれらの「詩」が
たくさんの方の心の支えなんだなと
あらためて感じました。
自分のブログに、こちらの記事をリンクさせていただきました。もし、不都合でしたらお知らせください。
御邪魔しました。では。