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イ・ビョンホン&ヒョンビン&チュ・ジフン&東方神起&SE7ENがチョア!by acqua

★グエムル -漢江の怪物- -2006-★

2006-10-06 | K-Movie
韓国で4人に1人が観たというこの映画。カンヌでも評判良かったようなんですが、日本では苦戦してるということで、真相を確かめに観ることにしました(笑)。

簡単なあらすじ
ソウル市内を流れる漢江のほとりは市民の憩いの場所でもあった。そこで売店の店番をするカンドゥ(ソン・ガンホ)。店番中も昼寝は当たり前、お客さんに出すつまみにも手をつけるダメダメ男。
カンドゥの家族は、売店を経営している父親パク・ヒボン(ピョン・ヒボン)、中学生の娘ヒョンソ(コ・アソン)、大学を卒業しているものの学生活動に明け暮れていたため、就職すら出来ていない上に酒癖の悪い弟ナミル(パク・ヘイル)。そしてアーチェリーの選手の妹ナムジュ(ペ・ドゥナ)。
ナムジュのアーチェリー大会の日、いつもおだやかな漢江に見たこともない大きな物体の影が現れる。その物体を見るやじうまの中にカンドゥもいた。
その物体が突然陸上に姿を現し、河川敷にいた人々を襲いはじめた。
必死でヒョンソの手を引いて逃げるカンドゥだけど、転んだ拍子に繋いでいた手が離れて・・・。咄嗟のことに違う女学生の手を引いて走り出してしまうカンドゥ。走りながら振り向くと、ヒョンソはその物体に捉えられる寸前。シッポでヒョンソを捉えたその物体はそのまま漢江に帰って行ってしまった。
その物体は怪物(グエムル)と呼ばれた。グエムルが現れた漢江近郊は政府によって閉鎖され厳戒態勢がひかれ、政府は『グエムル』は致死性のある危険なウィルスを保持していると発表し、漢江周辺にいた人々を隔離してしまう。

ヒョンソはもう死んでると思ったカンドゥ。その夜、病院に隔離されているカンドゥに1本の電話がかかってくる。途切れ途切れだけどカンドゥの耳にはちゃんと聞こえていた。『お父さん助けて。』というヒョンソの声が!
家族以外だれもそのことを信じてくれない上に、直接グエムルに触れているカンドゥは最も政府&病院に目をつけられている存在だった。
しかし、ヒョンソを助け出すために病院を脱出するカンドゥ一家。
カンドゥ一家はグエムルと・・・政府、軍、アメリカ軍まで敵に回してヒョンソ奪還に乗り出すのだった。
    

『宇宙戦争』っていうトム・クルーズが主演してる映画を知っていますか?
見終わった瞬間、その映画を見終わった時と同じ感覚に陥ってしまいましたよっ
『宇宙戦争』のネタバレ入ってるので反転させます。→私感ですが、残念ながら『宇宙戦争』は佳作とはいえない部類に入ってます。こちらは怪物ではなく、侵略者が操る巨大ロボットが敵だったのですが、どちらの敵も『えっ?そんなんでよかったんですか?』っていう最後を遂げるんです

ウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズ、○○レンジャー等を見ながら育った私には、『怪物』はもう見慣れてる存在でした。
だから特に特撮やグエムルにも凄さを感じることはありませんでした

そしてこれまた韓国映画らしく、主人公は強靱なパワーと強運を持ってる存在ではなく、いつもあと少しの所でうまくいかない&愛情はいっぱいなんだけど力が及ばない・・・という最近よくある存在でした
ガンホssiはこういう役を最上級に上手く演じてます!そしてパク・ヘイルssiもだらしなさと頭の良さを持った弟役が嵌っていました
この2人、ポン・ジュノ監督の作品『殺人の追憶』のコンビですよねっ。そうそう、その映画にも出演してたキム・レハssi(ムンスク@甘人)も出演してました。
ペ・ドゥナssiも監督の作品に主演してるし・・・チーム ポン・ジュノ総出演って感じでしょうか^^。

この映画は見終わった直後は上でも書いたとおり『つまんない映画・・・』と思ったのですが、レビューのあらすじ書いているうちにあることに気が付きました。
『グエムル』ってあの怪物のことだけじゃなかったんだ・・・!!
見た目はグロテスクで人々を恐怖に陥れタダ1つの悪役に見えた怪物のグエムル。
でも、平凡に暮らしている民間人でグエムルの被害者でもあるカンドゥ一家からみると・・・ヒョンソからの着信を信じてくれず一切真偽を調べようとしない警察、ヒョンソ奪還に乗り出すカンドゥ一家を『ウィルス保持者』ということで追い回す政府や軍、民間人の危険も顧みず化学兵器『エージェント・イエロー(ベタな命名だわっ!)』を強制散布するアメリカ軍、そして劇薬品を『ほこりがきらい』という理由だけで漢江に流したエゴ丸出しの在韓アメリカ軍・・・これらも『グエルム』に匹敵する程の利己主義で危険な分子なんですけどぉーっ!!
そして大学まで出ているのに、学生運動に明け暮れた為今でも就職できずにいる人がいる現状、借金のせいで平気で友人を裏切ることのできる世の中。
そういうモノに対してのアイロニー的メッセージも読み取れる映画です。
怪物映画と思ってみるとがっかりしますが、社会風刺映画と思ってみると納得がいったりもします。
社会風刺映画だと思うと、あのラスト・・・まるで何事もなかったように暮らすあの様子も理解できます
あの事件の渦中の人物で被害者でもある存在だったのに、既に事件のNewsですら気づかないカンドゥ・・・。そして『ウィルス』が存在していないことなんて序盤に分かっていたのに、ようやく発表するアメリカ軍
のど元過ぎれば・・・ではありませんが、どんな凶悪な事件でも時間が経つと風化して無関心になってしまう現状。そして『正義』という名の下なら平凡に暮らす人々に配慮がない武力がまかり通り、例えそれが『判断ミス』でもごまかす権力者達。
監督は、『これが今の世の中だ!現実の姿なんだ!』ってことを痛烈に皮肉ってるのかもしれません
エゴと無関心は『グエムル』生成に加担し、権力・階級に関係なくどんな人でも『グエムル』になりうるってことでしょうか。

日本で受けない理由の1つに・・・世界の中で日本は比較的平和で豊かで自由だからってことがあると思いました。それだけ露骨な『グエムル』の起源要素が少ないから映画のメッセージにピンとこない気がします。

登場人物はいかにも韓国映画っぽいけど、ハリウッド映画なみに『ありえないっ!!』にも遭遇できるこの映画。
視点次第で面白くなったり、逆に全くつまらないと思われてしまう作品だと思いました。『グエムル-漢江の怪物-』ではなく、『グエムル-漢江の怪物-』として見ることをオススメします!

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2 コメント

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この映画の背景 (猫型人間)
2006-10-12 16:02:33
映画館に貼ってあった雑誌の紹介記事やパンフレットで見たのですが、韓国人にとっての漢江って「ニューヨーカーにとってのセントラルパーク」のような存在だそうです

その漢江に在韓米軍が「漢江は広いから大丈夫」と劇薬を大量に不法投棄。しかもその事実を隠して今度は化学兵器『エージェント・イエロー』を強制散布というのは、これだけで充分な社会批判だと思いました。

劇薬の不法投棄は2000年に実際にあった事件、怪物のモチーフは監督が高校時代漢江で見た黒っぽい物体だそうですが、なぜに今頃?と考えてみました。

そういえば今年はアメリカがスクリーンクオーター縮小を迫って来た事で、多くの映画人たちが死守運動を起こした年でした

ポン・ジュノ監督、この映画でアメリカに「これ以上自分達のフィールドに土足で踏み込むな!」と訴えたかったのかもしれません。



ラストシーン、雪の中にカンドゥの家1軒だけと黒々とした漢江の水辺が映っている場面は「The end」じゃなくて「To be continued…」とでも出てきそうで、ある意味そこが一番衝撃的でした。
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あんにょん! (acqua)
2006-10-13 01:19:39
実は最初、『この映画ってどーせアメリカをけなしたいだけなんじゃないの?』という先入観を持って見に行ったのですが、レビューを書きながら、実は同じくらい自国への批判も入ってるんじゃないかな~って思えました。

劇薬を捨てさせたのはアメリカ人だけど、それを止められなかったのは韓国人だし、政府がすぐ国民を統制したがることへの批判?って気もしました

そして、『核がある!』といって始めた攻撃なのに『出てきませんでした』状態だった『イラク攻撃』を痛烈に皮肉ってると思いました。沢山市民が犠牲になったのに、『正義』でまかり通ってる武力そのものな気が・・・。



であのラスト、やっぱりまだ何匹かいそうな感じでしたよねっ。『グエムル』予備軍は平凡に暮らしてる周りにもうようよしてるってことなのかしらん??
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