私はカツ活しています

2022年05月14日 | 日記・エッセイ・コラム
 予防接種会場で、
「ニンカツの方は大丈夫でしょうか?」と質問され、返答に窮してしまいました。
日常生活は体調次第で、特に制限はございません
 ニンカツという言葉が耳から離れず、しどろもどろな答えになってしまいました。
 ~活、という言葉が氾濫して、すでに定着しているものもあります。
 おそらく、就職活動が言いにくいので、「就活」と略されたのが始まりだとおもうのですが、いまや婚活、上記の妊活、就活をもじった「終活」、そして何を短縮したのかわからない「パパ活」なんても現れました。
 「~活」が滑稽なのは、「就活」の定着を契機に、~の部分があからさまだとちょっと言いにくい事柄を、活動をつけることで一般化し、それを短縮してあからさまさを緩和して、雑誌の記事などで面白おかしく使ったことから広まったからです。
 元々~活動というのは、火山活動のように、傍から観た状態の表現であって、自分が~活動をしている、というのは違和感があります。私は芸能活動をしている、救助活動をしているなど、その活動が特殊な場合なら通用するかもしれませんが、私は医療活動をしている、とは普通は言わない。それが「~活」の氾濫で、私は婚活中です、妊活中です、といった会話が無防備になされるようになってしまっていて、二重におかしいわけです。
 昔からある~活は、生活、これは短縮形ではなく漢語、映画会社の日活は日本活動写真、ホームルームの学活は学級活動の短縮で今の~活の元祖ですが、学活なんて言葉は今も使ってるのかしら?、このぐらいしかおもいつかないぐらい~活は一般的ではなかった。
 現代の「~活」の急速な普及の背景には、あのカツの存在も一役買っているとおもいます。
 カツは西洋料理のcutletがカツレツになり、カツと呼ばれるようになった料理ですが、代表選手のトンカツは語呂が良く、日本人では知らない人がいないぐらい一般化した料理です。「~活」の代表選手の「婚活」「妊活」も語呂だけでなく、中身もトンカツの衣に包まれて言いやすくなっているのではないかしら?
 ちなみにトンカツなど、肉類を油で揚げたものがカツで、魚類や野菜はフライになるようですが、串に刺さっていれば、野菜でも魚でも串カツになるようです。フライはfryで、野球のフライも上げるものですが、こちらはflyです。