逢いたくて逢いたくてたまらなかった木。
20代前半に、初めて出逢い、それからずっとわたしの心にあった木。
幾度も訪ね、幾度も力をくれた、大好きな木。
樹齢千数百年といわれる、大きな大きな木。
その木に、逢いに行ってきました。
(新潟県上越市 虫川大杉)
なんという大きさ。
なんという静けさ。
なんという尊厳。
言葉など、見つかりませんでした。
一緒に行った息子は、帰りに、こう言いました。
“どんな木でも、話ができていたのに、あの木は、それができなかった。もらったものが大きすぎて、言葉にできない感じがする。”
わたしは、ただただ見上げ、
そして、一切の違和感もなく染み込んでくるような、大きな大きな力(言葉にするなら、慈愛や、叡知)を、ひたすらに受けとり続けていました。
わたしも、この木が教えてくれたものを、すぐには理解できませんでした。
ですが、帰る頃に、ふっと、感じました。
昨年まで歩んできた道が、一段落し、いくつかの小道へと別れています。
どの道も、楽しそうです。
わたしは、どの道をいくのがいいのでしょう?
木は、そのヒントをくれました。
大事な、「動機」を、示してくれました。
ああ、そうだったわ、と、胸が熱くなりました。
木はみんな、大好きだけど、巨木は、特別です。
自分の本当のおじいさんのように、何でも知っている村の長老のように、大切で、かけがえのない存在です。
何年も逢いに行っていなかったわたしを、ちゃんと覚えていてくれた。
わたしが連れてきた息子を、いとおしそうに抱き止めてくれた。
わたしの問いかけに、いつも必ず応えてくれる。
木が大好き。
でも、それだけではもう満足できない。
木を大切にしたい。
護りたい。
木のためになることをしたい。
強く、そう思いました。
“巨木に逢いに行く会を、作ろうか?”
息子が言いました。
すごく素敵です。
わたしが心に決めたから、きっと、何か道を示すサインが来るでしょう。
しっかりキャッチできるよう、心を開いて、待っているところです。