ちいさなちいさな いのりのことば

 * にしだひろみ *

ともだち*日々のつれづれ*

2014年12月24日 | Weblog

わたしの、一番ちいさなお友達は、二歳。

チワワのメスです。





お友達の愛犬。

名前は、エルモちゃん。

家族の一員として、とても大切にされています。

時々、わたしのところへも遊びに来てくれます。






エルモちゃんと仲良くなってから、驚いたことがあります。

エルモちゃんは、人間のように、いいえ、もしかしたら人間よりも、感受性が強く、感情表現が豊かなのです。

わたしも、実家で犬と暮らしていましたので、犬の天真爛漫さや、愛情深さ、忠誠心など、ひととおりわかっていたつもりでしたが、

エルモちゃんの感情表現は、わたしの認識を超えるものでした。




エルモちゃんと戯れながら、わたしと飼い主さんとがおしゃべりをします。

それが、エルモちゃんのお家での姿や、ちょっと恥ずかしいような様子の話題になると、このエルモちゃんは、尻尾を落とし、しょんぼりして、わたしと目を合わせないで、うつむいているのです。

“その話題は困るわ。体面がたもてなくなるじゃないの。”
とでも、言いたそうです。




久しぶりに会えた時、エルモちゃんは、わたしの胸に飛び込んできて、鯉のように跳ね回り、やがて落ち着いて、わたしの膝の上で丸くなります。

しばらく撫でていると、そのちいさな目から、涙がポロポロとこぼれ落ちます。

“うれし涙だね。”

飼い主さんが言うのです。





つい先日も、久しぶりにエルモちゃんが来てくれて、飼い主さんたちと、わたしの転居のことを話していました。

そうしたら、エルモちゃんは、それまでは嬉しそうに動き廻っていたのですが、急に静かになり、わたしの膝のところに来て、下を向いて額をこすりつけました。

そのままじっとしています。

全く動きません。

みんなでエルモちゃんの顔をのぞきこむと、ちいさな目から、涙がこぼれています。

しばらくの間、そうしていました。








エルモちゃんは、赤ちゃんの頃から、ほとんど声を出さない犬でした。

よほどでないと吠えませんし、吠えたとしても、その声は、とても小さいのです。

そして、体が弱く、とても敏感でした。


そんな風に生まれたエルモちゃんだからこそ、とても豊かで激しいほどの感情表現を備えていたのでしょう。







エルモちゃんが、わたしのためにこぼしてくれた涙は、ゴマ粒ほどの小さなものでしたが、

なんという尊さ、美しさでしょう。

言葉よりも声よりも、強く強く、想いが伝わってきました。



地面におちて、もう見えなくなってしまった、小さな小さな涙。

小さな体いっぱいに、感じてくれた気持ち。

忘れないわ。








わたしの、一番小さなともだち。

エルモちゃんのくれた愛情ほどのものを、わたしは何にもあげられていない。

でも、あのきれいな涙に恥ずかしくないように、これからのわたしを、生きていきたい。

















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