ちいさなちいさな いのりのことば

 * にしだひろみ *

あお

2018年09月11日 | Weblog
初秋の強さとさみしさを、この人は、こう表現する。



“九月の森ではふしぎなことがおこる。

春と秋がとなりあわせになっている。

黄色い葉と青々とした草。

色あせた草と、いまにもつぼみが開きそうな花。

あたたかい太陽とつめたい風。

おとろえていくものと、盛りをむかえようとするもの。

にぎやかな歌としずけさ。

そして、さみしさと喜びが。”


ニコライ・スラトコフ『北の森の十二か月』より




蝉たちは、みんなもう、いのちを全うしただろうか。

いつの間にか、あの声が、途絶えていた。

聴こえるのは、さまざまな虫たちの唄。



高くそびえ立つ杉に、少しもひるまず巻きのぼっていくのは、葛。

その紫の花は、燃えるような色。

目指すは、あの抜けるような青さの空か。



ふと足もとを見ると、息絶えた蝉。

何もかもを出し尽くし、仰向けに放心していた。

最期にその手足で、あの空を掴んだか。



わたしの夏も、去った。

日常のことをこなしながら、ふと、心をこめることを思い出し、

感謝に打たれ、時に考え、痛み、気づき。


日に何度も、空を仰いだ。

あの健やかで透明な青こそ、いのちが還る場所。

そう思いながら。



蝉も、葛も、わたしも、

みんな、あの青から生まれ、あの青を慕い、いつかは吸い込まれていく。



だからわたしも、燃えるように生きたい。

わたしのいのちを、余さずみな「想い」にかえていきたい。


あの青へと。
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