インガルス一家のシリーズを読み終えたら、こちらの本も読みたくなり、図書館から借りてきました。
『大草原のおくりもの』
ローラ・インガルス・ワイルダー
ローズ・ワイルダー・レイン 著
ウィリアム・T・アンダーソン 編
谷口由美子 訳
角川書店 刊
ローラと娘のローズによるエッセイ。
ずっしりと厚い本です。
心に響く言葉はいくつもありましたが、
今日、この言葉を心に置いて過ごそう、と思ったところを、おひとつ。
*****************
(「野草の花束」 から引用)
今朝、うちの人が、野草の花束を持ってきてくれました。
うちの人は、もう何年もこうして花束を持ってきてくれるのです。
決して人が育てた花は持ってこず、いつも野原や森に咲いている野性の花を摘んでくるのです。
わたしは、その方がずっと美しいと思います。
(中略)
わたしたちは、ともすれば、カラスが光る石ころを集めて積み上げるように、いりもしないものをやたらに集めてしまっています。
オウムのようにべちゃくちゃと話しているうちに、ほんとうの意味がわからなくなっています。
新しい考えを次から次へと追い回しています。
昔の思想を、余計な新しい言葉で飾りたて、本来の意味をどこかへやってしまっています。
(中略)
「この世の中に、全く新しいものなど、一つもない」ということわざがあります。
わたしが思うに、これは、人生にはおびただしい真実と法があり、たとえわたしたちがいかに進んだ考えを持ったと思っても、それらの真実や法を越えたものではないという意味なのです。
いかに複雑な生活を送っていても、結局はこれらの真実に戻ることになるのであって、わたしたちは、同じ輪の中をぐるぐる回っていたことに気づくのです。
(中略)
わたしたちは、それぞれの生活の中で、自分自身を磨き、より簡素な生活に戻り、もっと素直な考え方をすることによって、もっと幸福になれるのではないでしょうか。
人生を価値あるものにするのは、生活の中にある素朴なもの、つまり、愛と責任、仕事と安息、自然によりそって生きることなのです。
温室で育てた花が、野原で摘んだ、美しく、かぐわしい花にかなうはずがありません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
簡素に、
素直に、
自然とともに、生きる時、
その人のまわりには、真実が、満天の星のように輝くのでしょうね。
小さな木箱ひとつが、少女であったローラの持ち物、宝物の全てであり、
それだけで満ち足りて暮らしていたように、
わたしも、
わたしと自然とを切り離すようなものは求めず、
少しの大切なものだけに囲まれて、
そして、まわりの人を大切に、
優しい気持ちで、
暮らしたい。
わたしが探しているものは、たぶん、そんな暮らしの中から見いだせる、真実なのでしょう。