チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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時は管理教育「この時代を」第10章 ちぎれた鎖 その26

2015-05-12 19:50:29 | 時は管理教育「この時代を」
 まずは、キョウコちゃんのお母さんにお願い。
「はいはい。いいわよ。キョウコと、うちのお父さん・・・お兄ちゃんも書かせてもらうわね。うちからは四人ね。」
即興で作った嘆願書に、早速サインをもらえた。
「ありがとうございます!・・・あ、そうだ。これ、もっとたくさん作らなくちゃ。コピーとかしないとね。」
お礼を言いながら、それに気づいたユウにキョウコがほほえみながら、
「そうだね。」
 第一中学校職員室。
「部活を止めてるから、本当に静かだな。」
「そうですね・・・」
生徒たちの動揺と、警察の捜査と、報道の問題で、お盆までは部活動も活動停止。学校としてこれから、生徒にどんな指導をしていけばいいのか。
「生徒を死なせるような指導は、もう、絶対にダメですよ・・・」
「よさないか!誰も今回のことは予想しなかっただろ?・・・事故だよ。当たり所が悪かったんだ。」
だけど、今のままでいいはずがない。世間からも非難の声が上がってる。保護者も生徒も許さないだろう。しかし、
「再び学校が荒れるようなことになっては元も子もありませんしね。」
「今、一時的に認めているような自由は、続けれられませんよ。」
 コンビニで、コピーを取っているユウ。そうだ、お菓子を買おう。
「ありがとうございました。」
商品が入ったビニール袋と、紙の束を抱えて家に戻る。とにかく、行動あるのみだよ。私が動かなくちゃ、誰が動くの。もう、誰も学校で死ぬなんてことがないように。夜、タカクラユウの家。
「お父さん、お母さん、署名お願いします!」
ユウが差し出した嘆願書を見て、驚く両親。
「署名活動してるのか?お前。」
「うん!校則を変えるんだ。九月になったら、皆が幸せに生きられる第一中学になっていますようにってね!」