チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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時は管理教育「この時代を」第6章 真夏の子どもたち その7

2014-11-27 16:56:02 | 時は管理教育「この時代を」
 マコトの自宅。お父さんが単身赴任先に帰って、またお母さんと二人の生活。まだ、お盆には早すぎるんだけど、お父さんが単身赴任してからの我が家の習慣で、それまでに、私とお母さんだけで、お母さんのほうのおじいちゃんおばあちゃんの家に行くんだ。
「えーと、日程はこれで決まりね。塾はお母さんが電話するわ。マコト、部活休まないとね。ごめんね。」
「ううん、いいよ。」
っていうか、部活を休めるっていうのが、むしろ、ホッとするかもしれない。
 次の日の朝。また吹奏楽部のために学校へ。汗を吸わない制服で、バイオリンを下げて歩きながら・・・部活休むって話、誰に言おう?部室兼活動場所である、音楽室。
「全員、グラウンド三週走れ!」
文化系と言えど、体育系とあまり変わらないのよね。サッカー部と陸上部の周りをぐるぐると、制服のままで。でも、この練習だけは参加させてもらえているから・・・
 肝心のパート練習、全体練習。ここからは完全に無視されてる。
「あ、そこ、もう一回。アハハハハ。」
この状況で、部活休みますって話、誰にしたらいいの?だいたい、部活は休んじゃいけないんだよ。誰に言ったら・・・仕方ない。部活が終わった後、一人、職員室へ向かった。やっぱり、顧問の先生に直接言おう。
「あの、吹奏楽部一年のアヤセです。」
顧問は不在だったけど、受け付けてくれた先生は、嫌そうな顔をしながらも、
「わかりました。おうちの用事なら仕方ないね、伝えておきます!」
どうしよう・・・かなり怒ってる。顧問の先生、本当に受け入れてくれるかな?
 で、帰省の日。朝早くからお母さんと新幹線に乗って。家の前にはもう、おじいちゃんとおばあちゃんが!
「こんにちは!」
「お父さん、お母さん、ただいま!」
私の横で、子供みたいにはしゃいでるお母さん。
「うん、お帰りお帰り。まあまあ、マコトちゃん、ちょっと見ない間に大きくなって。」
「そうね。中学になって、体も変わったかしら?」
「ん?わざわざ制服で来てくれたのか?」
おじいちゃんおばあちゃんには、入学式に来てもらってなかったから。
「ううん。この子が頭、固いだけなのよ。電信柱の三本以上先に行くときは制服でって校則にあるからって。」
「まあいいじゃないの?きちんと規則を守れるって大事なことよ、ね、マコトちゃん。」
お母さん、ため息をつきながら、
「本当、ここまで硬いとかえって心配だわ。生きていくには、柔軟性も必要なのよ。」