チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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ADHDとともに「君の星座」第14章 鋼鉄の意志を その22

2014-07-07 18:54:11 | ADHDとともに「君の星座」
 布団越しに、車が入庫する音。お父さん、お母さん、帰ってきたんだ。急に、下の部屋が騒がしくなる気配。それから、三十分ぐらい経っただろうか?・・・二人の足音だ。私の部屋に向かってる。
「・・・ハルカ。」
お母さんの声。お父さんの気配も。でも、あえて布団にこもっている。合わせる顔がなくて。
「実はな、こころのクリニックに行ってきた。」
お父さんの声に起き上がらざるを得なくなり。お父さんとお母さんに顔を合わせたら、話さざるを得なくなった。
「この間ハローワークに行ったらら、担当の人から、週二、三日のアルバイトに行けって言われて・・・」
「うん、それでいいじゃないか。」
え!
「お母さんもそう思うわ。お母さんたちだって、まだすぐには死なないわよ。」
 これからフルタイムで働く、そして、親にも安心してもらう、そう思って行動してきたのに・・・その親が、アルバイトでいい、なんて。
 三日間、全くと言うぐらい食べてない。でも、それを続けていてもいけない。ちょっとずつ。一口でもいいから。次の日。
『お父さん、お母さんへ。ここ何日か心配かけてごめんなさい。私ももうちょっと冷静になって考えなければいけないと反省しました。朝早いですが、今日は運転免許の更新に行ってきます。本当にごめんなさい。』
早朝、置手紙をして出かけていった。免許試験場は遠いし。乗り物の本数も少ないからね。
 ブロロロロ・・・五年前に見た風景。あまり変わってないかな?そうだな・・・これからの働き方。免許試験場は物凄く混んでいる。更新の人だけでこれだけ。免許持ってる人って本当に多いんだな。優良ドライバーだから、講習もあっという間に終わり。
 免許試験場前のバス停。あと十五分は来ない。周囲の風景を見渡しながらまた思考を深める。私、何が不安だったんだろうな?
『週に二日、三日から働いたほうがいい。』
あ、そうか!来たバスに乗り込む。私、ひょっとしたらフルタイムで働くことが不安だったのかな?二回も解雇されて心がぼろぼろになって。ブロロロロ・・・それに、これから障害を明かして働くんだよ。

障害を明かして働いたら、何が変わるだろうか?

できそうなことからやってみたらいいんだよ。で、自信をつけたら、次のステップに進む。本格的に働く前に一段階置くと言う考え方だ。
 見慣れた町並みに帰ってきた。そうだよ、人生は長い。一つ段階を踏んで、最終的にフルタイムの仕事について自立する。そうだよ、そういう方法もありだよ!

よし、決まった!

繁華街。ビル街の空を見上げて急にめでたい気持ちになった。ちょっと昼ごはんを奮発しよう!
「すみません、ランチセットください!」
やっと、食事らしい食事を取れるようになった。