深いエメラルドの美しい髪を持つ、
ナイスバディな、美人OL、
エリスおねーさん。
独身、23才
そのまま、いない歴。
まだまだ鮮度は、ピチピチです。
仲間たちからは、いつも姐御扱いされてますが、
なかなかどうして、
セーラー服とかコスプレしても、
まったく違和感なしの若々しさです。
・・・きっと若さは永遠とでも、勘違いをなさっているのでしょう。
お肌の曲がり角は、
ヘアピンカーブを描くようにやって来るというのに・・・。
エリスねーさん「そんな勘違い、してねーよッ!
・・・甘い恋とか、
ちゃんと妄想してるって。
んんっ、言ってて恥ずかしいな。」
ある春先の寒い夜。
今宵も、エリスねーさんは、
愛するマイこたつの中に、
まるで首を出した亀のように、深くもぐり込んでいます。
せっかく天から授かった、その美貌もむなしく、
浮いた話の一つもなく、
今の今まで、
だらだらとコタツで、長い時を無駄にしてきました。
エリスねーさん「べ、別にいいだろうょ。
寒い夜なんだから、ゆっくりさせてくれよぅ。」
- おおっと!! 危険なワナが発動した。 -
エリスねーさんは、
我が家のほかほかマイこたつの中から、
見知らぬ地へと、ワープしたのでした。
エリスねーさん「うぉぅ!?」
波乱に満ちた世紀末をなんとか乗り越え、
時ははや、新世紀21。
情報世界の先駆けとして、
スマートフォンが世を席巻する、通信会社の三国時代。
危険な誘惑や、ワナがあちらこちらと、
ちらほら顔を出す、まさにサバイバルな近年。
21世紀生まれさんも、もう立派なJKさんですね。
いつの時代も、お父さんは娘が心配なものです。
エリスねーさん「女子高生じゃなくて、悪かったねっ!」
いえいえ、OLさんの需要もなかなかなものですよっ。
スキルのある女性は、素晴しいものです。
エリスさんは、免疫少なそうなんで、
ワナ避けスキルはお持ちではなかったようですね。
残念です・・・。
エリスねーさん「ば、バカにすんなー!
・・・確かにその通りなんだが、
そこら辺のチャンスは、もうちょっとくれよぅ。」
ワナ避けとして、有り難い効果を持つ、
弟分のためぞう君の姿を、
最近は、あまり見かけないようになりました。
そのせいか、
コロッとワナに落ちていく、
エリスねーさんでした。
エリスねーさん「た、ためぞ~~ぅ!
早くお使いから帰ってきて~ぇ!!」
そんなソウルな叫びも届く事はなく、
ブォォォォォーーンッ!
というワープ音の中に、
消えていくエリスねーさんでした。
こたつのテーブルの上に、無造作にポイッと置かれている、
ためぞう君のトランシーバーとか、
とっさに握っとけば、よかったですネッ!
エリスねーさん「アドバイス、遅っせえよッ!!」
・・・それは、古の時代。
タタタ、ターランッ♪ ターランラン♪
エリスねーさん「な、なんだ!?」
鉄という技術を手にした人類は、
その塊をつるぎや、槍へと作り変え、
群れを成し襲い来るモンスターや、
人間同士のささやかな領地争いに、
明け暮れる日々を送っていました。
妖異(ギーガ)と呼ばれる外敵に、
生存圏をじりじりと削られながらも、
共に手を取り合い、それに抗う事もせず、
我が身可愛さに、同胞を盾とし、
その種を繋いでいたのでした。
エリスねーさん「オ、オープニングでも始まったのか!?
てか、どんな時代に飛ばしてんだよ、コラッ!」
エリスねーさんは、ワープしたばかりで、
よろよろしてます。
一度、戦闘不能になって、回復したばかりの状態のようですね。
エリスねーさん「や、やべーよぉ!
た、ためぞう、助けてくれよォ!!」
純白な絹地のウエディングドレスをその身に纏い、
強烈な二日酔いから復活したような、
青ざめた表情のエリスねーさんは、
芝の上に敷かれた、白のクロスの上に、
美しい姿で寝かされています。
おとぎ話ですか?
エリスねーさん「わたしに聞くなよッ、
あたたっ、身体が動かねー・・・。」
実は、春のブライダル特集にモデルとして登場する予定を、
明日に控えたエリスねーさんでした。
独り身に染みる冬のような寒さに、
ふらふらと、こたつの温もりに誘われ、
いつもの赤いジャージに着替えるのを忘れていたようですねっ。
エリスねーさん「ありえねーだろ!!
貸衣装着たまま、こたつに潜り込むほどの、
うっかりさん設定なのか、わたしは!?」
とっても高額なこの衣装に、シミでも付けては、
エリスさんのこよなく愛する、ナナハンのカスタムバイクは、
その弁償として、消え去ることになるかもしれません。
エリスねーさん「お、恐ろしい事をさらっと言うなーッ!」
動かなければ、汚れることもありませんので、
安心してくださいね。
周囲では、守る城塞都市側の兵士と、
侵攻する軍勢の激しい攻防戦が繰り広げられていますが、
運よく、かやの外といった感じなので。
エリスねーさん「何だよ、そんなデンジャラスゾーンで、
戦闘不能っぽいってよッ!
すんげー、あぶねーじゃんよ。」
おやまあ、美人度アピールでござるか~?
そりゃ、そんなドレス着て寝っ転がってるからって、
真っ先に、狙われそうって意味でしょうか。
実際、端から見たら眠れる美女感バリバリですが。
エリスねーさん「そこまで自意識過剰じゃないってw
てか、ナレーションぽく語ってるヤツ誰だよ!?
出て来いよッ、こらっ!!」
・・・出ちゃっても、いいですか?
◇ エリスねーさんに選択肢でぇす!
→ ・ ホイホイ付いてきたっぽい、謎なヤツを引っ張り出す。
・ うかつに出すと余計にややこしくなりそうだから、放置。
・ もう少し様子を見て、ヒロイン気分に浸っておく。
エリスねーさん「放置だよ、
・・・きっとロクなことにはならないから。」
おお、放置プレイですね。
では、先に話を進めちゃいますー。
エリスねーさん「ちゃっちゃと、頼むョ・・・。」
ぶっちゃけた話、
ガチでエリスさん、狙われてますよっ。
良かったですね、ホントに今回はヒロインでした。
どちら側の兵士さんたちも、
煌く羽を舞い散らしながら降りてきた、
エリスさんの姿を見て、
城塞攻防戦から、エリスさん争奪戦へと、
目的が変わっちゃってます。
戦利品には手を出すな、の暗黙のルールで無事なだけなので、
劣勢になった方が、無理やり来ちゃうかもしれません。
決着、着いちゃった時も、
それはそれで、めんどくさい事になりそうです。
舞い散る羽の演出は、こちらでやっておきましたので、
経費などはお気になさらないで下さいネ。
エリスねーさん「ま、マジなのか・・・。
いや、ちょっとまて、
そりゃ独り身が寂しいからって、
いくらなんでも、それかよッ!
選ぶチャンスくらいは、下さい・・・。」
あらあら、もしかして、
久々のヒロイン抜擢に、照れちゃってますか?
そうですね、
そこにある、手鏡でも見てはいかがでしょう。
せっかく、準備してるんだから、使ってくださいよ。
エリスねーさん「あ、ホントにある。」
エリスねーさんは、その理不尽な脱力に抗いながら、
何とか鏡を手にします。
エリスねーさん「んっ・・・、
なっ!
ちょっとまて、なんじゃこりゃ!?」
手鏡の向こう側にいるねーさんは、
とても若々しく、
まさに純真無垢な、可憐な乙女さんになってます。
年頃は、15~6才のピチピチな感じで、
まさにマジカルな感じで、変貌を遂げておりました。
エリスねーさん「おお・・・、
近頃のアンチエイジングって、
マジ、ハンパねえのな。」
そんなレベルを遥かに超ちゃって、
『あの日の君』 にまで戻っています。
まさに奇跡です。
いい仕事をしたと自負しております。
◇ エリスねーさんが、おねーさんではなくなった!
キララ、キラ、キラ、キラァァーーン♪
エリスさん「・・・。
それでいいのか、
浮かれてる場合か、私。」
第三次・ルクミラン城塞都市戦、
と後に呼ばれるこの戦い。
なだらかな平原に築かれた、
堅牢な石造りの城壁を覆い尽くさんと、
南方の都市国家連合の軍3万5千が、
守備軍8千に対して、
完全包囲を敷いています。
この時代では、かなり大規模な戦いです。
衝突する歩兵隊同士は、激しく火花を散らし、
打ち鳴らす高い金属音が、周囲を緊張させます。
攻めあぐむ歩兵たちに、
前列へと移動する、千騎を超える騎馬隊。
その蹄は、大地を揺らし、
城塞の手前、敵側の弓隊の射程前で、隊列の槍先を揃えます。
一方の守備側の兵士は、一斉に槍衾(やりぶすま)で迎え討つ構えです。
こうして、僅かな沈黙が流れます。
騎馬隊の突撃告げる角笛が、総攻撃の合図となるのです。
エリスさんは、
この空気感に覚えがありました。
そう、そこは間違いなく、
彼女が生まれ育った蒼の星、
エグラートの大地でした。
始まりの大地、エグラート大陸。
かつては、遥か南方までをその領土とし、
数々の英雄や、戦士たちを輩出してきた、
この星、最大の大陸です。
エリスさん「ファールスの月が無い!?
どういうことだ、
・・・フォーリナの存在すら感じないぞ。」
エリスさんは、困惑しているようです。
それも、そのハズ、
本来なら、この強い日差しの照りつける日中にあっても、
この星の月であるフォーリナは、
青白く見えているはずなのです。
エリスさんは、その理由を悟ると、
背筋に寒気が走ります。
エリスさん「六極神の戦いがまだ続いている世界なのかッ!
まずいぞ、このまま争いなんてむやみ続けてたら、
ヤツらに付け入る隙を与える!!」
愛すべきこの大地はまだ、
フォーリナの三神の加護を受けていない、
無防備な世界だと、
その三神に『ジラ』という神の名で連なるエリスさんは、
置かれた場所が、いかに危険であるかということを、
思い知るに至るのです。
エリスさん「南方、ルクミランといえば、
過去に、無益な争いで、
おろかな厄災を招いた都市の名だ。
これがその・・・、
私がエグラートの大地に抱かれる前に起きた、
星の半分を失うキッカケとなった戦いなのか。」
それは、エリスさんがこの地に生を受ける、遥か以前のお話です。
現在のエグラート大陸を中心とする数多の国家や勢力は、
雷帝セバリオスを筆頭とする、
フォーリナの神々と、
魔王ディナスの支配するファールスの月による、
強力な二重構造のシールドで、星の表面が覆われ、
妖異に対する一定の加護を得ています。
ですが、その加護を受けていないとなれば、
とてつもない脅威に、常にさらされ続けている、
滅びと、淘汰を繰り返す、
混沌の時代という事です。
何故なら、妖異とされるギーガに対抗する事の出来得る、
『戦士』が、ほんの僅かしか存在していないのです。
エリスさんの予感通りに、
都市国家連合の本隊の方から、
悲鳴が残響となって響き渡ります。
最悪の展開に、突入したようです。
エリスさん「・・・ギーガの進入を許したか。
戦力の問題じゃない、問題なのは質の方だ。
このままだと、瞬く間に都市ごと闇に呑まれるだろう。」
そう言うエリスさんは、
自由の利かない身体で、その身を起こし、
落ちていた鉄のつるぎを握りしめます。
エリスさん「!? 私の戦士能力が遥かに落ち込んでいる。
まさか、戦闘経験までもが巻き戻されているのかっ!!」
つるぎを杖に、膝を折るエリスさん。
星の引力がその身体にはまだ、ずしりと重い様子です。
エリスさん「甘えてるんじゃねーぞ!!
ここには、
私しか、戦士がいないんだ。
私が、戦うしかない。」
そんなエリスさんの前に、
一人の少年剣士が現れます。
光線の輝き次第で、その色彩を無限に変化させるような、
美しく無垢な、銀髪を持つ少年。
その背丈は、エリスさんにはやや及ばないが、
端正な顔立ちに、白磁のように澄んだ肌。
軽装の鎧をその身に着け、立ち上がるのを制止するように、
少年は、凛々しい姿で、エリスさんにこう告げるのです。
銀髪の少年「天使様は、この僕がお守りします。
だから、まだゆっくりとその羽を休めていて下さい。」
強い意思に溢れる少年の、その美しい紫の宝石の様な眼差しは、
エリスさんを静止するには、十分でした。
エリスさん(・・・。
こほん。
べ、別に、いいなぁとか思ってないからね。
というか、大丈夫なのかこの展開は!)
エリスさんは、英雄誕生の目撃者になったような気持ちになります。
エリスさん(これ、やべーよッ!
英雄っていゆうか、まんま勇者誕生じゃないか。
ためぞうのエンディングが、
この私をキッカケに始まってしまっちゃうよぉ~~!
やばいよー、マジやばいって!!)
でも、天使様とか慕われちゃってるのに、
謎の少年君の足引っ張って、
活躍の邪魔しちゃうのは、いかがなものなんでしょうね?
エリスさん「なんて試練もって来るんだよ、もうっ!」
ちょっとすねた様な顔も、可愛らしいエリスさんでした。
エリスさん「だから、やめろって!」
その2に続きます。
ナイスバディな、美人OL、
エリスおねーさん。
独身、23才
そのまま、いない歴。
まだまだ鮮度は、ピチピチです。
仲間たちからは、いつも姐御扱いされてますが、
なかなかどうして、
セーラー服とかコスプレしても、
まったく違和感なしの若々しさです。
・・・きっと若さは永遠とでも、勘違いをなさっているのでしょう。
お肌の曲がり角は、
ヘアピンカーブを描くようにやって来るというのに・・・。
エリスねーさん「そんな勘違い、してねーよッ!
・・・甘い恋とか、
ちゃんと妄想してるって。
んんっ、言ってて恥ずかしいな。」
ある春先の寒い夜。
今宵も、エリスねーさんは、
愛するマイこたつの中に、
まるで首を出した亀のように、深くもぐり込んでいます。
せっかく天から授かった、その美貌もむなしく、
浮いた話の一つもなく、
今の今まで、
だらだらとコタツで、長い時を無駄にしてきました。
エリスねーさん「べ、別にいいだろうょ。
寒い夜なんだから、ゆっくりさせてくれよぅ。」
- おおっと!! 危険なワナが発動した。 -
エリスねーさんは、
我が家のほかほかマイこたつの中から、
見知らぬ地へと、ワープしたのでした。
エリスねーさん「うぉぅ!?」
波乱に満ちた世紀末をなんとか乗り越え、
時ははや、新世紀21。
情報世界の先駆けとして、
スマートフォンが世を席巻する、通信会社の三国時代。
危険な誘惑や、ワナがあちらこちらと、
ちらほら顔を出す、まさにサバイバルな近年。
21世紀生まれさんも、もう立派なJKさんですね。
いつの時代も、お父さんは娘が心配なものです。
エリスねーさん「女子高生じゃなくて、悪かったねっ!」
いえいえ、OLさんの需要もなかなかなものですよっ。
スキルのある女性は、素晴しいものです。
エリスさんは、免疫少なそうなんで、
ワナ避けスキルはお持ちではなかったようですね。
残念です・・・。
エリスねーさん「ば、バカにすんなー!
・・・確かにその通りなんだが、
そこら辺のチャンスは、もうちょっとくれよぅ。」
ワナ避けとして、有り難い効果を持つ、
弟分のためぞう君の姿を、
最近は、あまり見かけないようになりました。
そのせいか、
コロッとワナに落ちていく、
エリスねーさんでした。
エリスねーさん「た、ためぞ~~ぅ!
早くお使いから帰ってきて~ぇ!!」
そんなソウルな叫びも届く事はなく、
ブォォォォォーーンッ!
というワープ音の中に、
消えていくエリスねーさんでした。
こたつのテーブルの上に、無造作にポイッと置かれている、
ためぞう君のトランシーバーとか、
とっさに握っとけば、よかったですネッ!
エリスねーさん「アドバイス、遅っせえよッ!!」
・・・それは、古の時代。
タタタ、ターランッ♪ ターランラン♪
エリスねーさん「な、なんだ!?」
鉄という技術を手にした人類は、
その塊をつるぎや、槍へと作り変え、
群れを成し襲い来るモンスターや、
人間同士のささやかな領地争いに、
明け暮れる日々を送っていました。
妖異(ギーガ)と呼ばれる外敵に、
生存圏をじりじりと削られながらも、
共に手を取り合い、それに抗う事もせず、
我が身可愛さに、同胞を盾とし、
その種を繋いでいたのでした。
エリスねーさん「オ、オープニングでも始まったのか!?
てか、どんな時代に飛ばしてんだよ、コラッ!」
エリスねーさんは、ワープしたばかりで、
よろよろしてます。
一度、戦闘不能になって、回復したばかりの状態のようですね。
エリスねーさん「や、やべーよぉ!
た、ためぞう、助けてくれよォ!!」
純白な絹地のウエディングドレスをその身に纏い、
強烈な二日酔いから復活したような、
青ざめた表情のエリスねーさんは、
芝の上に敷かれた、白のクロスの上に、
美しい姿で寝かされています。
おとぎ話ですか?
エリスねーさん「わたしに聞くなよッ、
あたたっ、身体が動かねー・・・。」
実は、春のブライダル特集にモデルとして登場する予定を、
明日に控えたエリスねーさんでした。
独り身に染みる冬のような寒さに、
ふらふらと、こたつの温もりに誘われ、
いつもの赤いジャージに着替えるのを忘れていたようですねっ。
エリスねーさん「ありえねーだろ!!
貸衣装着たまま、こたつに潜り込むほどの、
うっかりさん設定なのか、わたしは!?」
とっても高額なこの衣装に、シミでも付けては、
エリスさんのこよなく愛する、ナナハンのカスタムバイクは、
その弁償として、消え去ることになるかもしれません。
エリスねーさん「お、恐ろしい事をさらっと言うなーッ!」
動かなければ、汚れることもありませんので、
安心してくださいね。
周囲では、守る城塞都市側の兵士と、
侵攻する軍勢の激しい攻防戦が繰り広げられていますが、
運よく、かやの外といった感じなので。
エリスねーさん「何だよ、そんなデンジャラスゾーンで、
戦闘不能っぽいってよッ!
すんげー、あぶねーじゃんよ。」
おやまあ、美人度アピールでござるか~?
そりゃ、そんなドレス着て寝っ転がってるからって、
真っ先に、狙われそうって意味でしょうか。
実際、端から見たら眠れる美女感バリバリですが。
エリスねーさん「そこまで自意識過剰じゃないってw
てか、ナレーションぽく語ってるヤツ誰だよ!?
出て来いよッ、こらっ!!」
・・・出ちゃっても、いいですか?
◇ エリスねーさんに選択肢でぇす!
→ ・ ホイホイ付いてきたっぽい、謎なヤツを引っ張り出す。
・ うかつに出すと余計にややこしくなりそうだから、放置。
・ もう少し様子を見て、ヒロイン気分に浸っておく。
エリスねーさん「放置だよ、
・・・きっとロクなことにはならないから。」
おお、放置プレイですね。
では、先に話を進めちゃいますー。
エリスねーさん「ちゃっちゃと、頼むョ・・・。」
ぶっちゃけた話、
ガチでエリスさん、狙われてますよっ。
良かったですね、ホントに今回はヒロインでした。
どちら側の兵士さんたちも、
煌く羽を舞い散らしながら降りてきた、
エリスさんの姿を見て、
城塞攻防戦から、エリスさん争奪戦へと、
目的が変わっちゃってます。
戦利品には手を出すな、の暗黙のルールで無事なだけなので、
劣勢になった方が、無理やり来ちゃうかもしれません。
決着、着いちゃった時も、
それはそれで、めんどくさい事になりそうです。
舞い散る羽の演出は、こちらでやっておきましたので、
経費などはお気になさらないで下さいネ。
エリスねーさん「ま、マジなのか・・・。
いや、ちょっとまて、
そりゃ独り身が寂しいからって、
いくらなんでも、それかよッ!
選ぶチャンスくらいは、下さい・・・。」
あらあら、もしかして、
久々のヒロイン抜擢に、照れちゃってますか?
そうですね、
そこにある、手鏡でも見てはいかがでしょう。
せっかく、準備してるんだから、使ってくださいよ。
エリスねーさん「あ、ホントにある。」
エリスねーさんは、その理不尽な脱力に抗いながら、
何とか鏡を手にします。
エリスねーさん「んっ・・・、
なっ!
ちょっとまて、なんじゃこりゃ!?」
手鏡の向こう側にいるねーさんは、
とても若々しく、
まさに純真無垢な、可憐な乙女さんになってます。
年頃は、15~6才のピチピチな感じで、
まさにマジカルな感じで、変貌を遂げておりました。
エリスねーさん「おお・・・、
近頃のアンチエイジングって、
マジ、ハンパねえのな。」
そんなレベルを遥かに超ちゃって、
『あの日の君』 にまで戻っています。
まさに奇跡です。
いい仕事をしたと自負しております。
◇ エリスねーさんが、おねーさんではなくなった!
キララ、キラ、キラ、キラァァーーン♪
エリスさん「・・・。
それでいいのか、
浮かれてる場合か、私。」
第三次・ルクミラン城塞都市戦、
と後に呼ばれるこの戦い。
なだらかな平原に築かれた、
堅牢な石造りの城壁を覆い尽くさんと、
南方の都市国家連合の軍3万5千が、
守備軍8千に対して、
完全包囲を敷いています。
この時代では、かなり大規模な戦いです。
衝突する歩兵隊同士は、激しく火花を散らし、
打ち鳴らす高い金属音が、周囲を緊張させます。
攻めあぐむ歩兵たちに、
前列へと移動する、千騎を超える騎馬隊。
その蹄は、大地を揺らし、
城塞の手前、敵側の弓隊の射程前で、隊列の槍先を揃えます。
一方の守備側の兵士は、一斉に槍衾(やりぶすま)で迎え討つ構えです。
こうして、僅かな沈黙が流れます。
騎馬隊の突撃告げる角笛が、総攻撃の合図となるのです。
エリスさんは、
この空気感に覚えがありました。
そう、そこは間違いなく、
彼女が生まれ育った蒼の星、
エグラートの大地でした。
始まりの大地、エグラート大陸。
かつては、遥か南方までをその領土とし、
数々の英雄や、戦士たちを輩出してきた、
この星、最大の大陸です。
エリスさん「ファールスの月が無い!?
どういうことだ、
・・・フォーリナの存在すら感じないぞ。」
エリスさんは、困惑しているようです。
それも、そのハズ、
本来なら、この強い日差しの照りつける日中にあっても、
この星の月であるフォーリナは、
青白く見えているはずなのです。
エリスさんは、その理由を悟ると、
背筋に寒気が走ります。
エリスさん「六極神の戦いがまだ続いている世界なのかッ!
まずいぞ、このまま争いなんてむやみ続けてたら、
ヤツらに付け入る隙を与える!!」
愛すべきこの大地はまだ、
フォーリナの三神の加護を受けていない、
無防備な世界だと、
その三神に『ジラ』という神の名で連なるエリスさんは、
置かれた場所が、いかに危険であるかということを、
思い知るに至るのです。
エリスさん「南方、ルクミランといえば、
過去に、無益な争いで、
おろかな厄災を招いた都市の名だ。
これがその・・・、
私がエグラートの大地に抱かれる前に起きた、
星の半分を失うキッカケとなった戦いなのか。」
それは、エリスさんがこの地に生を受ける、遥か以前のお話です。
現在のエグラート大陸を中心とする数多の国家や勢力は、
雷帝セバリオスを筆頭とする、
フォーリナの神々と、
魔王ディナスの支配するファールスの月による、
強力な二重構造のシールドで、星の表面が覆われ、
妖異に対する一定の加護を得ています。
ですが、その加護を受けていないとなれば、
とてつもない脅威に、常にさらされ続けている、
滅びと、淘汰を繰り返す、
混沌の時代という事です。
何故なら、妖異とされるギーガに対抗する事の出来得る、
『戦士』が、ほんの僅かしか存在していないのです。
エリスさんの予感通りに、
都市国家連合の本隊の方から、
悲鳴が残響となって響き渡ります。
最悪の展開に、突入したようです。
エリスさん「・・・ギーガの進入を許したか。
戦力の問題じゃない、問題なのは質の方だ。
このままだと、瞬く間に都市ごと闇に呑まれるだろう。」
そう言うエリスさんは、
自由の利かない身体で、その身を起こし、
落ちていた鉄のつるぎを握りしめます。
エリスさん「!? 私の戦士能力が遥かに落ち込んでいる。
まさか、戦闘経験までもが巻き戻されているのかっ!!」
つるぎを杖に、膝を折るエリスさん。
星の引力がその身体にはまだ、ずしりと重い様子です。
エリスさん「甘えてるんじゃねーぞ!!
ここには、
私しか、戦士がいないんだ。
私が、戦うしかない。」
そんなエリスさんの前に、
一人の少年剣士が現れます。
光線の輝き次第で、その色彩を無限に変化させるような、
美しく無垢な、銀髪を持つ少年。
その背丈は、エリスさんにはやや及ばないが、
端正な顔立ちに、白磁のように澄んだ肌。
軽装の鎧をその身に着け、立ち上がるのを制止するように、
少年は、凛々しい姿で、エリスさんにこう告げるのです。
銀髪の少年「天使様は、この僕がお守りします。
だから、まだゆっくりとその羽を休めていて下さい。」
強い意思に溢れる少年の、その美しい紫の宝石の様な眼差しは、
エリスさんを静止するには、十分でした。
エリスさん(・・・。
こほん。
べ、別に、いいなぁとか思ってないからね。
というか、大丈夫なのかこの展開は!)
エリスさんは、英雄誕生の目撃者になったような気持ちになります。
エリスさん(これ、やべーよッ!
英雄っていゆうか、まんま勇者誕生じゃないか。
ためぞうのエンディングが、
この私をキッカケに始まってしまっちゃうよぉ~~!
やばいよー、マジやばいって!!)
でも、天使様とか慕われちゃってるのに、
謎の少年君の足引っ張って、
活躍の邪魔しちゃうのは、いかがなものなんでしょうね?
エリスさん「なんて試練もって来るんだよ、もうっ!」
ちょっとすねた様な顔も、可愛らしいエリスさんでした。
エリスさん「だから、やめろって!」
その2に続きます。
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